ストリートな空気感、メニューにはマヨコーン。ジャンクなピザ? と思いきや、食べれば唖然。ピュアな甘さのとうもろこしペーストにサルシッチャにオーガニックマヨに自家製焼肉ソースにミルキーなモッツァレラの良質なハーモニーが山椒でピリッと束ねられたネクストレベルの味わいが殴りかかってくる。「たしかにクレイジー!」と店名に納得してしまうのが6月に国領にオープンしたピザ屋『CRAZY PIZZA』だ。
手掛けるのは“国領の奇跡”ともいわれる名イタリアン『Don Bravo』のオーナーシェフ・平雅一さん。レストランで磨き上げられた創造性と技術力が炸裂する“料理としてのピザ”は、生地から挽きたての全粒粉と強力粉に、玉ねぎ水とホエイを合わせた特別仕様だ。「これまでコース料理の最後でお出ししてきたピザを、カジュアルに食べてもらえる場所を作りたかったんです」と平さん。彼の考えるカジュアルは、安くて手っ取り早いものではない。味と質の良い食事を生活の中に気軽に取り入れてもらいたい。その思いが背景にあるからこそ、“キッズアワー”も画策中だと言う。「店の前は中学校。僕の母校なんです。今後、子供達にオーガニックの不揃い野菜を使ったピザを数百円で食べてもらえたら、なんて考えてます」。もはや食育の域で街の飲食店の意義を捉え直す平さん。彼は美味しいのその先を見つめている。
ホールのマヨコーン¥3,200に、パクチーを効かせたアジアンなマリナーラ¥600(1/4カット)、爆量モッツァレラにひれ伏すクレイジーマルゲリータ¥900(1/4カット)など常時6種類ほどのピザに目移り。ドリンクも、コーラ以上にピザとのペアリングが極まるほうじ茶コーラ¥700や、オリジナルレモンサワー¥700など多彩。テイクアウト可。
CRAZY PIZZA 東京都調布市国領町3-10-37 TEL:080・5382・2660 11:30~14:30、16:30~21:00 水曜休
ひらの・さきこ 1991年生まれ。フードエッセイスト。著書にエッセイ集『生まれた時からアルデンテ』(平凡社)。
※『anan』2020年7月1日号より。写真・清水奈緒 取材、文・平野紗季子
(by anan編集部)