食事に気を付けようと思っても、こってりしたものや濃い味付けがやめられない人は、味覚が狂っている可能性大。
「ダイエット成功のキモは、食欲のコントロール。食べることが抑えられず太りやすい食事を好むのは、味を感じる力が鈍っているから」と話すのは、ダイエット外来医師の工藤孝文先生。
「味は、舌の上の味蕾(みらい)という細胞で感知されます。脂肪の多いものや濃い味付けに慣れてしまうと、薄味のヘルシー食では満足できなくなるのです」
そこで重要なのが、味覚の矯正。そして、それをサポートするのが“出汁”。
「出汁に含まれる天然の旨味成分は、淡泊な味付けでも脳に満足感を与え、食欲を抑える作用が。さらに、脂肪燃焼、デトックス、美肌効果も期待できます」
取り入れ方は簡単。基本は、かつお節、煮干し、刻み昆布をミキサーにかけて粉末にしたものを出汁としてスープに入れるだけ。さらに、自分の太りタイプを診断して、それぞれに合わせた食材をプラスすれば、効果的に痩せることが期待できる。
「まずは、味蕾の細胞が生まれ変わる、2週間を目安に続けてみましょう」
痩せる基本の出汁
【作り方】
かつお節30gと煮干し10gをフライパンで炒り、刻み昆布10gとともにミキサーにかけ粉末状にする。1日大さじ1杯で10~14日分。お湯150~200mlに大さじ1を入れて1日1杯飲むだけでも効果的。
かつお節
旨味成分の“ヒスチジン”が食欲の暴走を強力に抑制。
まさに栄養の宝庫、かつお節。満腹中枢を刺激し、食欲抑制を促す“ヒスチジン”のほか、味蕾の細胞を活性化し、味覚を正常化する“亜鉛”、幸せホルモン・セロトニンを作り、ダイエット中のイライラを解消する“トリプトファン”、血中のコレステロールを下げる“タウリン”、骨の形成に欠かせない“カルシウム”を含有。
煮干し
基礎代謝をアップし、アンチエイジングを助ける。
筋肉の質を上げ、基礎代謝を高めるのに欠かせないタンパク質が豊富な煮干し。血液をサラサラにするオメガ3脂肪酸“EPA”“DHA”ほか、カルシウムもたっぷり。さらに、全身の細胞を活性化し、老化を予防する“イノシン酸”も多く含む。頭もはらわたも取らずに粉末状にすることで、これらの栄養を丸ごと摂取することができる。
刻み昆布
食物繊維が腸内環境を整え、デトックス作用を促進。
海藻特有の食物繊維“フコイダン”と“アルギン酸”が腸内環境を整え、糖質や脂質の吸収を抑制。また、旨味成分の“グルタミン酸”が豊富に含まれ、イノシン酸を含む煮干しと合わせて摂ることで、さらなる旨味の相乗効果が実現。満腹中枢に関わる脳内ホルモン・レプチンの働きを安定させ、食欲をコントロールする作用が。
自分のタイプを知ろう!
あてはまる項目が多いものがあなたのタイプ。
溜め込み型【過食】
□イライラしたり、不安になりやすい
□甘いものが大好き
□食事の時間や睡眠時間がバラバラ
□食事制限しても体重が減らない
□肩こりや腰痛が気になる
たるみ型【基礎代謝低下】
□お腹がすいてなくても食べてしまう
□便秘がち
□お腹まわりに脂肪が溜まりやすい
□お尻が大きい洋ナシ体型
□目の下にクマができやすい
むくみ型【水毒】
□少食なのに太っている
□下半身がむくみやすい
□色白でぽっちゃり体型
□体が重だるく疲れやすい
□慢性的な冷え症
いかがでしたか? ここからは、太りタイプ別、基本の出汁にそれぞれプラスしたい食材をご紹介します。
この出汁で“溜め込み型”を解消
痩せる基本の出汁+緑茶
さっぱりとした味わいでどんな料理にもマッチ。
【作り方】
基本の出汁を作るときに、煎茶、玉露など好みの緑茶5gを合わせてミキサーで攪拌。基本の出汁で作ったスープに市販の粉末緑茶を加えてもOK。日本人になじみが深く、スッキリした緑茶の風味は様々な料理に合うので、パスタなど他のメニューに混ぜても。
この出汁で“たるみ型”を解消
痩せる基本の出汁+生姜
生姜とスープのコラボで効率的に体を温める。
【作り方】
生姜はすりおろしたり、千切りにしてスープに使用します。熱により成分の効果が発揮されるので、必ず加熱するか、食材が熱いうちに加えるのがポイント。市販のチューブの生姜を利用してもOK。料理に利用するほか、紅茶やほうじ茶に混ぜて飲むのもおすすめ。
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この出汁で“むくみ型”を解消
痩せる基本の出汁+干し椎茸
戻し汁も戻した椎茸もフル活用で水分代謝促進。
【作り方】
干し椎茸を各レシピの分量の水に浸して冷蔵庫で6時間以上置く。時間がない場合は分量の水を熱湯にして約10分つけておく。干し椎茸の戻し汁に、基本の出汁を加えて使用。出汁をとった後の干し椎茸も栄養の宝庫なので、スープの具として大活躍。
くどう・たかふみ ダイエット外来医師、東洋医学・漢方医。『1日1杯飲むだけダイエット やせる出汁』(アスコム)ほか、著書多数。
※『anan』2020年2月5日号より。写真・大嶋千尋 取材、文・安田光絵
(by anan編集部)