
漫画『マリッジランドリー』の作者、タカハシノブユキさんにインタビュー。
もしかしたら自分の感情にフタをしているのかなと
理想の結婚相手を探す王道ストーリーを軸にしつつ、マンガならではのコミカルな設定が効いている本作。著者はイラストレーターとしても活躍する、タカハシノブユキさん。着想は「絵の面白さ」にあった。
「こんな場所にこんな人が、みたいなビジュアルイメージから物語を作っていくことが多いのですが、コインランドリーにいる宇宙服姿の人が、『ボクは天使だ』と名乗るシーンが最初に浮かびました。結婚願望のない女性を主人公にしようと思ったのは、僕が誕生日に面白半分で行った占いがヒントに。『結婚願望がおありですね』と聞かれて『いや、ないです』と答えたら、『そんなことはないです!』と強めに返されたことがあって(笑)。ムッとしつつ、もしかしたら自分の感情にフタをしているのかなと思えてきたのです」
朝日日出(あさひ・ひので、30歳)は恋愛に夢を持てず、結婚願望も皆無。その理由は、彼女以外の家族(祖母・母・姉・妹)がみな恋多き女で、計10回の離婚歴があるから。そんな日出の前に、天使と名乗る謎の男が現れ、「ブサイクデブ、借金イケメン、歳の差既婚者。このなかの誰かと結婚する」とまったく嬉しくない予言をする。

Ⓒタカハシノブユキ/KADOKAWA
「もし僕が女性で誰かと結婚することになったら、必ず何かを妥協するんだろうなと思って。訳アリ男性のイメージを極端にしたら、こんな3人になりました」(※左のコマ参照)
勝手な予言に憤慨した日出は、それを覆す理想の結婚をしてやろうと決意。同時に、自らの本当の気持ちと向き合うようにもなっていく。
「僕の周りにも、『この人はもっとわがままに生きていいのにな』と思うような女性がいました。気になる人に声をかけたら、すぐに発展しそうなくらい魅力的なのに、どうして動こうとしないのだろうって。考え方が凝り固まっていたり、環境が足かせになって勇気を出せないのかもしれない、などと想像を膨らませて日出に当てはめていきました」
しかしながら、描くのが最も難しかったと振り返るのも、この女性キャラクターの心理だったそう。
「女性を主人公にして物語を作りたいという思いがずっとあったのですが、いざやってみると、なんて捉えにくいんだろうと悩んでしまいました。家族の業を背負っているから結婚したくないはずなのに、行動している…何なんだこれはって(笑)」
その迷いがむしろ読みどころだったりもするのだが、無責任なのか親身なのかわからない、天使のアドバイスがさらに揺さぶりをかけてくる。日出は3人のうちの誰を選ぶのか、あるいは選ばないのか…。思い込みや縛りから解き放ってくれる、天使の声。それを導き出すのも、結局は自分の心次第なのかもしれない。
Profile
タカハシノブユキ
マンガ家、イラストレーター。著作に『恋、ヒトゴトに及ぶ』。「パラレルリープ・シンドローム」(既刊5巻)を『ヤングキングアワーズ』で連載中。
information
『マリッジランドリー』上・下
結婚に失敗してきた家族と暮らす朝日日出が、コインランドリーに現れた謎の天使と、訳アリ男性たちとの出会いを通して、自らと向き合うラブコメディ。KADOKAWA 各968円
anan 2500号(2026年6月17日発売)より






























