BTS、ワールドツアー日本公演DAY2レポート。ライブで提示した進化と、守りたいもの

(P)&(C)BIGHIT MUSIC ※写真はDAY1

BTSがついに帰ってきた。高揚感と笑顔に溢れたワールドツアー日本公演DAY2の様子をレポート。おかえりなさい、BTS!


東京ドーム2日目は、開演前の会場に不思議な一体感があった。1日目には途中で自然消滅していたウェーブも、この日は会場全体で成功させていた。初日は、期待と不安と緊張とでファンは気もそぞろだったが、2日目は落ち着きを取り戻し、期待と少しの冷静さでステージに向き合えたのではないか。おそらくそれは、7人も同じだったように思う。セットリストや舞台構成は基本的に1日目と同じだ。違ったのは、彼らが1日目よりも会場の空気を落ち着いて掴めていたということ。結果論にはなってしまうが、2日目の7人は、心なしか肩の力が抜け、自分自身がその舞台に立つことを楽しめる余裕を持てているようだった。曲中のちょっとした仕草の余白やラップの揺れ方、ボーカルの伸び方、それにMCの予測不可能さにそんなことを感じた。

1日目とは少しずつヘアスタイルを変えた7人は、セットリスト冒頭を安定感抜群に駆け抜ける。「Aliens」や「RunBTS」のSUGAのラップに彼ならではの音色と切れ味が炸裂していたところや、Jung Kookが空中キャッチした自撮りドローンカメラにVが映り込みに来るあたりに、前述の余裕を感じる。

最初の挨拶では、初日に日本語で呼びかけたRMが、この日は「Tokyo! Make some noise!」とアジテート。Jinは、1日目の最後に大盤振る舞いした投げキッスを、序盤でやるそぶりを見せつつトークに戻るという、思わせぶりな様子でARMYを盛り上げた。「Like Animals」で瞼を閉じて体を揺らすJung Kook、「FAKE LOVE」でのVとJung Kookの熱のこもったボーカルの応酬。それと対照的に精神的な静けさが感じられた「SWIM」「Merry Go Round」。そのステージひとつひとつに、聴く者の心をより抉る熱量が宿っていた。

「2.0」から始まったBTSのフィジカルが強調されるセクション。衣装は全員1日目とは異なるカジュアルルック。「NORMAL」でJinが両手でマイクを持って丁寧にラストフレーズを歌う姿が印象的だったのに続いて、JiminとVがプチ漫才を繰り広げる。「ARMYが可愛すぎて滅!」と、Vが日本で流行りのフレーズを繰り出して会場を盛り上げると、「Not Today」からは、5万5000人から湧き上がる大きな掛け声と、7人の熱気とが競い合うようにどんどん熱を上げていく。Jung Kookが「あっつい、あっつい。情熱がアッツい」と息を切らしながら言えば、j-hopeの「Ineed...」にRMが「What you need?」の合いの手を入れながら「Body to Body」へ。この日も巻き起こった「アリラン」の大合唱に、Jiminが「本当にありがとうございます」と丁寧に礼を述べるのに続けて、「会いに行きます!」と「IDOL」でドームを一周。この時、RMが移動椅子に座っている姿を見て、彼が3月のカムバック直前に足首を怪我し、それが癒えるのを待たずに舞台に立っていたことをようやく思い出した。それくらいに彼はこの2日間、ステージに全力で挑んでいたということだ。

1日目とは違うツアーグッズに着替え、一面紫色に染まった会場に「Come Over」を届けて始まる最後のセクション。「隣の家の猫のタマも知っている」(RM)という紹介から、Jung Kookが『呪術廻戦』の領域展開ポーズをして「Butter」を歌い出すと、Vはダンスににゃんこスターダンスを挟み込む。そんなVの、「領域展開、ダイナマイト!」という威勢のいい掛け声で始まったのは、もちろん「Dynamite」。思いがけないファンサービスに、会場のARMYを笑顔にした後も、最後のキックをする振付でメンバー同士でふざけ合ったりと、7人がリラックスした姿を見せる。そして彼らを待ち受けるのは、もちろん“BTSカラオケ”。この日の1曲目は「DOPE」。会場から大合唱が巻き起こる中、JinがソロパートのダンスをMVさながらに踊り切る姿に、会場は皆、着ていないはずの白衣が見えたのではないだろうか。続けて聞こえたピアノにメンバー皆、驚いた顔を見せながら「FOR YOU」へ。初めてシングルとしてリリースされた日本オリジナル曲だ。美しいメロディに優美なダンスが乗るこの曲の間中、7人はずっと客席のARMYを見ながら幸せそうにしている。SUGAは自分のパートそっちのけで、大きな声で歌うARMYひとりひとりの顔を、サブステージから嬉しそうに見つめていた。

『ARIRANG』制作において彼らが向き合い続けた「何を守り、何を変えるべきか」という問い。彼らはまだその問いの真っ只中にいるが、洗練されたステージだけで構成することもできたであろうこのワールドツアーに、“BTSカラオケ”なるコーナーを設けたのは、狭い作業室から発信していた頃から変わらない、彼ら自身の思いを守りたかったからではないだろうか。ファンにとっても彼らの飾らない姿を目にする嬉しい時間だが、彼らにも、ARMYと丁寧に心を通わせることに集中できる時間が必要だったのだろう。ステージ上で笑顔をはじけさせながら愛おしそうに客席を見つめる彼らからそんなことがうかがえた。

2日間を締めくくる挨拶では、RMが「僕は、映画館でスマホを消して、2時間、ひとつの作品に集中する時間がすごく好きです。今日は皆さんが、スマホよりも自分の目で僕たちを見てくれました。それが本当に嬉しかったです。皆さんが僕たちを映画の主人公にしてくれました」と日本公演だからこその思いを伝える。兵役中に日本語を全部忘れたというJiminは、初日に続きポケットから四つ折りの手紙を取り出し、「僕たちが軍隊に行っている間、僕たちのことを忘れてしまうのではと心配していました。でも、その心配はスッキリなくなりました。たった2日だけだったので、時間があっという間に過ぎてしまいましたね」と読み上げると、Vは、「また日本に戻ってくるから、その時まで少しだけ…鉄板焼きとか和牛食べて待っててね」と語った。その「少しだけ」を信じながら、“あの頃”と変わらない、圧倒的なグローバル・ポップスターにまた会える日を楽しみに待ちたい。

SET LIST

1 Hooligan

2 Aliens

3 Run BTS

<MC>

4 they don’t know ’bout us

5 Like Animals

6 FAKE LOVE

7  SWIM

8 Merry Go Round

<VCR>

9  2.0

10 NORMAL

<MC>

11 Not Today

12 MIC Drop

13 FYA

14 Burning Up (FIRE)

<MC>

15 Body to Body

16 IDOL

<VCR / ARMY TIME>

17 Come Over

<MC>

18 Butter

19 Dynamite

20(DAY 2)

1. DOPE

2. FOR YOU

※日本オリジナル曲

<ENCORE>

21 Please

22 Into the Sun

Profile

BTS

2013年に韓国でデビュー。RM、Jin、SUGA、j-hope、Jimin、V、Jung Kookからなる7人組。3月にThe 5th Album『ARIRANG』をリリース。現在、ワールドツアー「BTS WORLD TOUR‘ ARIRANG’」を開催中。『BTS THE COMEBACK LIVE|ARIRANG』がNetflixにて世界独占配信中。

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取材、文・只野亜良紗

anan 2500号(2026年6月17日発売)より

Ⓟ&ⒸBIG HIT MUSIC Ⓟ&ⒸBIG HIT MUSIC / Netflix
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No.2500掲載

王道エンタメの矜持

2026年06月17日発売

55年間ときめきを追いかけ続けてきたananがこのメモリアルな号で特集するのは“王道エンタメ”。市川團十郎さん、反町隆史さん、辻村深月さんなど、それぞれの世界で王道を歩んで来られた方々のインタビューを通して、各ジャンルにとっての王道とは何かを探ります。

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