職場の、家族の悩みが再びリアルに刺さる! ドラマ『晩餐ブルース Special』が優しく突きつけるもの

3月28日放送のテレ東『晩餐ブルース Special』。連ドラから1年後、復職した優太(井之脇海)、食堂を開いた耕助(金子大地)、そして葵(草川拓弥)の3人が再び直面する、仕事・家族・人間関係のリアルを描く。職場でのジェンダーバイアス、父のネグレクト、「断言力」の功罪──。ゆるくて深い"晩活"ドラマの余韻を、じっくり味わって。

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    3月28日、テレ東で『晩餐ブルース Special』が放送された。この作品は、2025年1月23日(22日深夜)から3月27日(26日深夜)まで放送されていた連続ドラマのスペシャル版。

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    連ドラでは、ドラマディレクターとしてテレビ局で働く田窪優太(井之脇海)が、高校の同級生の佐藤耕助(金子大地)や共通の友人・蒔田葵(草川拓弥)と再会。仕事に忙殺されていた優太に対し、耕助が「『晩餐活動』(略して晩活)しようよ?」と持ち掛けるところからスタートしたのだが、スペシャルドラマでは、3人の1年後が描かれる。

    プロデューサーは、『30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい』や『今夜すきやきだよ』、『SHUT UP』の本間かなみ。脚本を前作に続いて『今夜すきやきだよ』、『SHUT UP』を手掛けた山西竜矢、監督も前作と同じく『マイスモールランド』の川和⽥恵真が手掛けている。

    連ドラ版の最後では、ドラマディレクターを休職していた優太だったが、約半年を経て職場に復帰したところから始まる。一緒に「晩活」をしていた耕助、葵とは、一緒にシェアハウスに住むことになり、新たな生活が始まっていた。彼らはそこで、亀の「みどりさん」を飼うことに。

    前作でも彼らの前には、さまざまな悩みが立ちはだかっていたが、今回も新たな悩みに直面することに…。

    職場復職した優太を待ち受ける、新たな試練

    復職した優太は、職場でドラマのチーフ監督に抜擢される。はりきる優太だが、打ち合わせでは、スタッフからの具体的な質問に、すぐには答えられず、迷ってばかり。そんな姿を見たスタッフは、「方針決定してから話してもらっていいですかね。ブレられて振り回されるの、こっちもきついんで…」と言われてしまう。このときの女性スタッフの、少しふるえたような声がリアルだ。

    優太はしっかりしなきゃと考え、はっきりと部下に方向性を示せるように、『「断言力」を鍛える』という本や、『リーダーは悩まない!』、『人の上に立つということ』といったタイトルのビジネス書を読んだりと、前向きだった。

    しかし、今度はドラマを成立しようとはりきるばかりに、それに振り回されるスタッフが現れる。優太はまたも会議の場で、あるシーンを「思い切って削除したい」と伝えるとスタッフから、「エンタメとしてはいいと思うんですけど、大事な部分が消えちゃう感覚があって」と言われてしまう。優太は、時間と予算を考えて、削除を進める。「断言力」がついたことを先輩ディレクターの木山高志(石田卓也)は褒めるのだが…。

    「割り切る」ことをやめた日

    このドラマの職場の悩みはいつもリアルすぎて刺さるものがある。優太の同僚で、ドラマのプロデューサーである上野ゆい(穂志もえか)は、前作では自分の企画ドラマに対して意見をすると、男性スタッフから、「コンプラ女王」と揶揄されたり、「個人的な趣味」で発言していると言われることもあった。

    今作でも、予算を伝えていたものの直前になって足りないと訴える男性スタッフに、先月からわかっていたことだからその時点で相談してくれればよかったとか、すり合わせる時間を持とうと伝えると、そのスタッフからは「指示だけ出してる人にはわかんないかもしれないですけど」とか「好きなようにしてください」と言われ、さらに「またぴりぴりしてるよ」と聞こえよがしな陰口を言われてしまう。この空気感がまたリアルで、見ていて一緒にモヤモヤしてしまう。

    ゆいは、その場では「スルーするのが一番賢い」と割り切るのだが、その男性スタッフが、ゆいからの意見には反発するのに、同じ男性の木山から、ゆいと同じ方向性の指示を出せばすんなり従う様子を見て、「木山さんが言ったらやるの? なんで? 偉いから? 男の言うことだから? だとしたらすごく軽蔑する」と率直に伝えるのだった。ゆいは、「割り切る」ことをあきらめたのだという。

    一方、優太は仕事を頑張りすぎるあまり、一緒に暮らす葵の悩みを打ち明けられても、「断言力」から、解決策を示すも、まったく葵のほうを見ておらず、気もそぞろだった。職場でも、スタッフから、最近ピリピリしていてらしくないことを指摘され、「今、楽しいですか?」と突きつけられてしまう。

    亀の「みどりさん」が消えた夜に

    悩んでいるのは、耕助も同じだ。彼は食堂を引き継いでオープンさせ、繁盛させていた。テレビで取り上げられたことをきっかけに、疎遠だった父の弘から連絡がきて、連日、食堂に来るようになる。

    子どもの頃、期待をしても裏切られ続けた父の変化に、少しうれしいような気持ちを持ちつつも複雑さも抱えていた耕助だったが、父が単に付き合っていた女性と別れ、寂しさからその矛先を自分に向けていただけなことを知り、「最悪だな」と告げ、父を背にして去っていくのだった。そのとき、父親は付き合っていた女性のことを、「あの女」と言っていたのにも、耕助はひっかかっているように見えた。

    悩める3人が、ふと自分を縛っていたものから解放されたのは、亀の“みどりさん”が行方不明になり、皆で探すことになったという、なんでもない出来事なのになんともほっこりとした。

    結局、3人はまた前のように“晩活”を再開。また、前作で耕助が特売セールで出会った高齢の男性・亀井(渡辺哲)や、先輩の木山、同僚のゆいも含めたみんなで、まだ開花していない桜の木の下で花見ならぬピクニックをする。優太は「こうして好きな人だけで集まれること」を喜べるところまで回復していた。

    前作で、悩みに向き合い、休むことをしていた優太でも、また仕事が始まり、責任を感じると、いとも簡単に前の忙殺されていた毎日に引き戻されてしまうこともある。確かに、誰の日常も、揺り戻されたり、また気付いたりの繰り返しなのかもしれない。その都度、立ち止まったり、誰かに気付いてもらったりできればいいだろうなと、今回も自分に引き付けたくなるドラマであった。

    現在配信中!

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    晩餐ブルース Special

    3月28日に放送された「晩餐ブルース Special」は現在、Tverで見逃し配信、U-NEXTなどで見放題配信中。また、井之脇海、金子大地、草川拓弥の3人がパーソナリティーを務めるPodcast「みんなの晩餐ブルース」がSpotifyなどで配信中!(全2回)。また、連続ドラマ「晩餐ブルース」は、TVerにて全話配信中。

    文・西森路代 ©︎「晩餐ブルース Special」製作委員会

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