佐藤勝利「みなさんから受けた恩を売れることで返したい」

── 昨日(初出は『anan』2437号・3月5日発売号)、ついに新メンバーが決まりました。率直な感想を。
最高の仲間が見つかって、いいグループができました。できるだけ多くの人に、タイプロをやってよかったねと思ってもらえるにはどうすればいいのか。ずっと考えていました。その一番の答えは最高の仲間を見つけること。それができなければこのプロジェクトは何の意味もないと思っていましたけど、5人に決めて“いけるな”って。
それは参加してくれたすべての候補生、力を貸してくださった先輩方、支え続けてくれたスタッフさんたち、そして何よりファンのみなさんのおかげです。僕はこういう言葉をあまり使わないんですけど、この8人ならみなさんからいただいた恩を、売れる、ということで返せるなって。ファンの方々にはSexy Zone時代も、timeleszになってこのプロジェクトを進めている間もそして今も、いろんな想いを抱えながら応援してもらっています。みなさんからもらった愛情に応えるには、もっと売れるしかない、売れなきゃいけないです。
── タイプロを通して普段は見せない佐藤さんの魅力が多くの視聴者に伝わったと思うのですが。
メンバー自身がチームをプロデュースした5次審査からは少し変わりましたけど、誤解されたとしても、僕は厳しい面を見せようとしてきました。目の前にいる候補生に何かを得てほしかったから。そしてグループに、その先の事務所に入る意味をわかってほしかったからです。それがグループや僕らの事務所を好きな方のためになるのではないかと思い、その役回りをしていました。でも、タイプロで僕を知ってくださった方! 本当はふざけるのが大好きな人間です(笑)。
── 厳しい選択の連続の中で、審査の軸にしていたことは?
妥協しないこと、そして感情で選ばないことです。自分たちの仲間を探しているわけだから、誰かを気に入るというのは、ある意味自然な流れではあります。でも、情だけで選んでいるとは思われないように、というのは意識していましたね。選ばれなかった候補生の気持ちを考えても、そのほうが受け止めやすいんじゃないかと。
── お別れとなる候補生一人ひとりに時間をかけて、カメラが回っていない空間で言葉を掛けていたところに、みなさんの誠意を感じました。改めて、彼らに伝えたいことは。
エントリーしてくれた全候補生には、踏み出したその勇気を自信に変えてほしいです。これって本当にすごいことなんですよ。親が応募してくれてこの世界に入った僕にできるかなって。前に進めば、後ろ指を指されてしまうこともある。その苦しみは、僕にもわかるんですよね…。でも、後ろを見られるということは、いろいろ言う人より自分が前に進んでいる証しです。
── 特に難しかった選択は?
5次審査です。メンバーがチームをプロデュースしたので、その候補生たちとの絆は自ずと深まるわけです。それでも、さっき話した“感情で選ばない”というモットーを貫かなきゃいけない苦しさがありました。(菊池)風磨くんや(松島)聡ちゃんチームの候補生に対しても決断しなきゃいけないのは辛かった…。
── 5次審査で佐藤さんは、事務所に伝わるショーの世界をテーマにした「革命のDancin’ night」をプロデュース。素晴らしい完成度でした。
タイプロはNetflix配信で、先輩方が作ってきてくれた、この事務所にしかない魅力や価値、ショーを作ってきた矜持みたいなものを世界に届けられたことが誇らしいです。
── ファイナル審査では、メンバーと候補生が共にパフォーマンスをしました。そこで初めて感じたこともあったのでは。
そうですね。僕たちがずっとやってきて、この先も続けたいのはパフォーマンスを作るということです。その目的に対して、どんなふうに向き合っているのか、どう表現したいのか。そして、timeleszとの相性を見るには、一緒に練習して作り上げていく過程でしか感じられなかったことがたくさんありました。
── みなさん常々「候補生に教わることが多い」とおっしゃってきました。佐藤さんが彼らから得た学びとは。
教わることのほうが多かったですね。僕らの世代までレッスンがなくて、時間がない中でパフォーマンスを作るのが当たり前という環境で生きてきました。ある意味合理的だし、このスピード感が僕たちの事務所らしい。でも、その当たり前って誰にとっての当たり前なんだろうと、すごく考えさせられたんですよね。
候補生たちが約1か月かけて1曲を作り上げていくのを見ながら、時間をかけると人が変わり、いい作品ができるんだということを僕らだけじゃなく、スタッフさんも目の当たりにして感じたことがあったと思うんです。僕はずっとレッスンをしていたいタイプだし、しっかりと積み上げていきたい。だからといって、グループのスケジュールの組み方を変えようとまではしてきませんでした。
メンバー全員のスケジュールを合わせることは簡単じゃない。急にすべてを変えられるわけでもない。でも、変えていこうと提案することはできるんじゃないかと。候補生たちには、チームの在り方そのものを考えるきっかけをもらいました。
── 現役のアイドルが新メンバーを選ぶという異例のオーディションで、さまざまな困難が伴うことは覚悟の上だったと思います。それでも、想定を超えた難しさはありましたか?
発表する前から賛否の意見が出ることも、候補生が大変な状況をくぐり抜けなければいけないのもわかってはいたので…。なんでしょう。チームを動かす大変さですかね。大勢の人生が交差する、これほど大きなプロジェクトの運営の中枢にいたのは初めてで、実際にやってみて、おぉ…となりました。いろんな方の感情を受け取って返さないといけなくて、そのやり取りのなかで時には複雑な想いにさせてしまったこともあったと思います。でも、本当にこのプロジェクトはいいチームだったんですよ。大変ではあったけど、やりがいを感じさせてもらえました。
── タイプロにおける3人の役割はあったのでしょうか。
やってみて思ったのは、風磨くんがタイプロという車のアクセルで、聡ちゃんがクラッチ。「ここは丁寧にいこう」とか、もちろん全員考えているけど、よりファンの方のその時どきの気持ちに応じて走り方を変える人。そして僕がやっていたことは、ブレーキだったんじゃないかなって。
それはプロジェクトの勢いを止めるという意味では決してなく。タイプロの道はまっすぐばかりじゃなくて、曲がり道も走らなきゃいけない。その時にブレーキを踏むことでいったん冷静になって、また車が加速するためのブレーキです。風磨くんが踏み込んで制限速度ギリギリまで攻めた時に、「この車、ちゃんとブレーキついていますよ! 法定速度ですよ!」って示すためにも(笑)、必要だったんじゃないかなと思います。
── タイプロをやると決めた時のご自身に今、言葉を掛けるなら?
「二人がいればなんとでもなる」。そもそも3人で考えたことに対する不安は一切ないから「今も横にいるよ」と言ったほうが正しいかな。二人がいてくれているから、先が見えなくても進めるし、進みたくなる。実は“8人”というのも見えない部分が僕にはありました。でも挑戦したい。冒険したくなりました。
PROFILE プロフィール
佐藤勝利(さとう・しょうり)
1996年10月30日生まれ、東京都出身。受け取った側の気持ちを考えた丁寧な言葉選びと、冷静と熱情のバランスを保った指導に多くの視聴者が信頼を寄せた。原嘉孝さんと同期。
佐藤勝利さんへのインタビューはほかにも! #ananでタイプロ
- 2次審査で・前編〜「いろんな想いが交錯する中で、僕にとって一番前を向いて進んでいける選択肢」
- 2次審査で・後編〜「いい仲間と出会い、僕の理想を超えたグループだと言えるように」
- 2次審査を終えて〜「想像以上の反響の大きさにありがたいばかりです」
- 5次審査で〜「先輩方が守ってきた伝統や踊りのルーツを知ってほしい」
INFORMATION インフォメーション
『timelesz project‐AUDITION‐』
timeleszの3人が、共に歩む仲間を探す「timelesz project」にNetflixが密着し、世界独占配信中の番組。公式YouTubeチャンネルでは、オーディションの裏側『timelesz Behind The AUDITION』を公開しているほか、Instagram(@timelesz_project)やTikTokでも限定コンテンツが続々。
anan2437号(2025年3月5日発売)より