Who's Hot?

〈WHO’S HOT〉櫻井海音「顔のイメージと違うかもしれない(笑)」

エンタメ
2024.11.30

ドラマ&映画『【推しの子】』で主人公・アクアを演じる、ブレイク必至の注目俳優・櫻井海音さん。話題作に次々出演し、着実にキャリアを重ねる彼のクールで熱い素顔に迫ります。

周りが思っているよりはるかにハングリーな男です、僕は。

余裕ありげな微笑みを浮かべてカメラのレンズを見つめる櫻井海音さん。でもその瞳はどこか哀愁を含んでミステリアスに輝き、今回演じたアクアの姿にも重なって…。ワンポーズごとにその場にいる人を惹きつけていく。

――ドラマ&映画『【推しの子】』ではおもに原作漫画の表現を大事に演技されたと聞きました。特に紙の上では表現されていない声色や言葉の間合いにもアクアらしさが滲んでいて大変驚きました。

櫻井海音さん(以下、櫻井):そう言っていただけるとうれしいです。声の高さや話し方はクランクインの前から監督と一緒に特に試行錯誤していた部分なので。それも込みで、漫画原作を自分含めファンのみなさんが描くイメージに近づける表現ができるかをすごく大事にしていました。

――ご自身も原作ファンでもいらしたんですか。

櫻井:はい。実際、漫画を読んでいるときってみんな頭の中で無意識に「アクアってこういうかんじかな」ってイメージで声や動きを脳内再生してるじゃないですか? だからファンの方々が思うそれに限りなく近づけたくて。なので現場に入っても撮影シーンの前に原作の同じ場面を読み返して、立ち方や表情を確認するようにしていました。ただコマとコマの間、描かれていない部分をどうつなげていくかは自分の解釈や表現力が試されていると思ったので。

――伝説のアイドル・星野アイの主治医から息子に転生し、母を殺した人への復讐を誓う青年。そんな複雑な背景を持つアクアは櫻井さんにとってどんな人ですか。

櫻井:うーん…、自分が生きる意味を常に探している青年だと思います。この世界に大好きだったアイドルのアイの子供として転生した理由、アイへの執着、そしてアイを殺した人物への復讐心。それでもどこか、普通の若者としての人生も生きてみたいという思いが片隅にある。アイが死んでいなければ、推しの子としての平穏な人生を送っていたはずですからね。

――その考察はどのようにして深まっていったのですか。

櫻井:僕自身、ファンとして原作を読んでいた段階からアクアにはすごく近いものを感じていたので。特に心の奥底に固い芯みたいなものがあるところはアクアと僕の共通点かなと思っています。あとなんかこう…一歩下がって物事を客観的に見てしまうところも。どんなときも自分の感情を丸ごと見せることはないし(笑)。

――確かに櫻井さんご自身のSNSや動画配信も、惜しみなく発信してくれているのに「まだ見せてない顔がありそう」と思わせる掴みどころのなさがありますね。

櫻井:なるほど…! それはおそらく正解です(笑)。というのも僕はあんまり人に掴まれたくないんです。僕が何者か見定めようとする視線から逃げ回って、ごまかして…、必死に弱みを隠して生きている。弱さをさらけ出せない、それも弱さなんでしょうね。そこもアクアとの共通点かな。

――もともとの性格的に?

櫻井:ですね…心配されても「大丈夫」って言っちゃうし、自分が悩んでると意識したことないし、ましてや人に悩み相談なんかしたことない(苦笑)。芸能界に入るのも誰にも相談しないで決めましたし。

――俳優業が安住の地ではなくとも、今作は確実に櫻井さんのターニングポイントになりそうです。

櫻井:そうであってほしいです、僕はこの作品に人生を懸けているので。完成したものを見て「やれることはすべてやった」という手応えはありましたが、最終的には観てくださった方がどう評価するかだと思います。

――淡々とした話しぶりの中に熱さを感じます。この作品のオーディションでも「アクア役を僕以外にやらせたくない」とおっしゃったと聞いて意外でしたが、ここにきて腑に落ちました(笑)。

櫻井:確かに僕って、わりとそういうことを言わなそうなパブリックイメージがありますよね?(笑) …でもたぶんみなさんが思っているよりずっと、ハングリー精神がある人間ですよ。

――聞けば聞くほどアクアと重なりますが、役とご自身が最もリンクしたシーンはどこでしたか。

櫻井:映画の終盤のシーンです。アクアはモノローグが多いんですが、ラストにもモノローグが入るんです。そこでアクアと自分の思いがぴたりと重なって、初めて泣きながら録りました…。だからそこはぜひ聴いていただきたい。「運命」なんて大それたことは言わないけど、僕とこの役の巡り合わせにはきっと何かがあるんだろうと思った言葉でした。

――この役を演じて、ご自身が変わった部分はありますか?

櫻井:いや、それはないかなあ…。掴みどころがない? ははは。でも今後やるべきことが、より明確になった感覚はあります。とにかく、いまは俳優として結果を残したい。自己満足ではなく、最終的には観てくださった方がどのように評価するかだと。

おじさん仲間と週3で行く焼き鳥が生きがいです。

―― 一方、SNSで披露される私服やユーチューバーの東海オンエアさんへの愛など…23歳らしい素顔も魅力ですが、最近一番熱くなっていることは何ですか。

櫻井:焼き鳥です!(即答) 基本的に1日1食で、食事は夜だけ。週の半分くらいはコースで出してくれるような焼き鳥屋さんに行ってます。一人のことも、おじさん仲間と行くこともあるし…。

――あ、そこは「23歳らしい」かんじではなかったですね…(笑)。

櫻井:同年代の友達は少ないですね(笑)。それよりはおじさん仲間と焼き鳥談議をしたり、お店の大将に地鶏や炭の話を聞いたりするのが好きです。実際、炭をどの高さに置いて焼くかで脂の落ち方も味も食感も違ってくるんですよ! そこに焼き師の腕前と鶏のポテンシャルがプラスされて…。その奥深い世界にリスペクトを込めて、1日1食、週7焼き鳥だったときもあるくらい好きです!

――もしかして最終目標は焼き鳥屋さんなのですか…?

櫻井:っあーー…! やりたいですね。それもちょっと人生予定表に入ってます(笑)。やるなら養鶏場も経営したい…、となると稼がなきゃいけないですよね。その意味でも『【推しの子】』がヒットしてくれることをひたすら祈ってます(笑)。

――それにしても、お年頃的にラーメンとか焼き肉がお好きかと思ってましたが焼き鳥は渋いです。

櫻井:そういうの、最近重たくて食べられないんです…。お酒は飲みますけど。ウイスキーは自宅にラックを作るくらいストックしていて、特にスコッチが好きです。なかでもシングルモルトの「スプリングバンク」が好みです。

――…やっぱりアクア同様、中に大人の男性が入ってますよね。

櫻井:そうですか?(笑) ちなみに美容もいっときハマってて、化粧水、美容液、スチーマーとこだわって揃えてたんですけど、最近年齢に抗うのがしんどくなってきて、少しサボったりもしています。

――ananは美容はもちろん体の特集も多いのですが、自信のあるボディパーツがありましたら教えてください。

櫻井:う~ん…そうですねえ。あ、僕、脚はけっこう自信ありますよ。ほら、ふくらはぎとか(と、ズボンをたくし上げて披露)。

――意外にも男性的な筋肉美!

櫻井:そうなんですよ。顔のイメージと違うかもしれない(笑)。あとお尻の筋肉も硬い! だからお尻を蹴られるアクションシーンも全然痛くないんです。美尻特集もあるんですか? それも出させていただきたいな(笑)。

――美しさと気骨ある内面のギャップにスター性あふれる櫻井さん。今作もまたスターとその光と影を描いた作品ですが櫻井さんの思うスターとは何ですか?

櫻井:うーん…「自由な人」だと思います。暗黙の了解でいろんなことが律されているこの現代社会で、空気を読まずにものを言えたり、他人からの評価を気にせず自由に生きている人にスター性やカリスマ性を感じます。僕自身そうなれない小心者だからこそ憧れる。

――その奥にある固いものに触れた気がします。最後にanan読者に一言お願いいたします。

櫻井:ぜひ『【推しの子】』ドラマ、映画ともに観ていただきたいです。個人的にはヲタ芸、全力でがんばりましたんで…(小声)。

――うちわ持って、ですか?

櫻井:そうです。ドラムもサッカーもやってたからイケると思ってたんですけど、もう足腰バッキバキになりました。ヲタ芸、めっちゃくちゃキツいです!!!

PROFILE プロフィール

櫻井海音

さくらい・かいと 2001年4月13日生まれ、東京都出身。幼少期はサッカーに打ち込み、昨年までは、バンド「インナージャーニー」のドラマーとしても活動。数々の話題のドラマに出演を重ね、ドラマ&映画『【推しの子】』星野愛久愛海(通称アクア)役で主演を務める。

INFORMATION インフォメーション

櫻井さんが主演を務めるドラマ&映画『【推しの子】』。櫻井さんは、自身の“推し”であった伝説のアイドル・アイの子供として転生する主人公・アクア役を演じる。ドラマ(全8話)は1~6話が11月28日から、7・8話が12月5日からPrime Videoで世界独占配信。ドラマの続きとなる映画は12月20日に全国劇場にて公開される。

写真・Nobuko Baba インタビュー、文・大澤千穂

anan 2424号(2024年11月27日発売)より

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