『虎に翼』
すべての年代の女性に「自分の話だ」と思わせた。
日本で初めて法曹の世界に飛び込んだ女性の実話に基づくストーリーを伊藤沙莉が演じた連続テレビ小説。「現代を生きる女性なら誰でも自分を投影できる登場人物がたくさん登場した作品。立場やジェンダーに葛藤しつつも前を向く。このドラマを肴に3回くらい飲み会を催しました」(吉田さん)
『海のはじまり』
子供の登場で、自分と家族の人生を変える覚悟はあるか。
元恋人の死をきっかけに、娘の存在を知る主人公を描いた、生方美久脚本の作品。中絶など繊細なテーマを扱う。「美しい映像が印象的。亡くなった母親は手紙を通して娘の選択肢を増やそうとしますが、その代わり大人たちの選択肢は定められてしまう結末に、強さや厳かささえ感じたドラマでした」(西森さん)
(C)フジテレビ
『不適切にもほどがある!』
昭和はこうだった! 時代錯誤の内容に思わず笑う風刺ドラマ。
男手一つで娘を育てる父親が、1986年から2024年に突然タイムスリップ。昭和のダメおやじの“不適切”発言が令和の冷たく固まった空気をかき回すコメディ。「人間のあさましさや恥ずかしさを隠さず描いている点が、宮藤官九郎作品の魅力。コンプライアンスで身動きがとれない現代に風穴をあける面白い問題作です」(吉田さん)。
「U-NEXT」と「Netflix」で全話配信中 DVD&ブルーレイ 発売元:TBS 発売協力:TBSグロウディア 販売元:TCエンタテインメント (C)TBSスパークル/TBS
(C)TBS
『西園寺さんは家事をしない』
「幸せって何? 家族って何?」を考えるハートフルラブコメディ。
家事をしない独身女性が、娘のために家事・育児をひとりでしなければならないシングルファーザーと出会い、偽家族として生活するが…。「とにかく松本若菜が面白い。サバサバした性格の彼女の存在が痛快でした。ダメな部分も自覚し部下を信頼して任せる。でも責任は取る。西園寺さんは働く女性の新たなロールモデルになりうると思う」(綿貫さん)。
「U-NEXT」で全話配信中 『西園寺さんは家事をしない』Blu-ray&DVD 2025年2月28日発売決定! 発売元:TBS/TBSグロウディア 販売元:TCエンタテインメント (C)TBSスパークル/TBS (C)ひうらさとる/講談社
(C)TBS
『アンメット ある脳外科医の日記』
記憶障害の脳外科医ドラマ。淡々と進む世界観にのめり込む。
過去2年間の記憶を失ったうえに今日のことも明日には全て忘れてしまう記憶障害の脳外科医のドラマ。「医療ドラマでありながら、みんなが過度に興奮しすぎず、抑制的なトーンで素直にしゃべる雰囲気と、記憶を書き留めて日々を生きる、毎日の丁寧な繰り返しをしっかり描いています」(綿貫さん)。
Blu-ray&DVD 11月20日発売 予約受付中
(C)子鹿ゆずる・大槻閑人/講談社/カンテレ
『燕は戻ってこない』
まだ認可されていない生殖ビジネスの未来を描く。
困窮のあまり、卵子と子宮を売ってしまった女性・リキが、生殖医療で代理出産母となり、他人の子を妊娠。そこから湧き起こる卵にまつわる欲望を描いた衝撃作。「妊娠や出産を描くだけでなく、女性の欲望や貧困、そして格差問題や、人間のエゴとは何かということにまで迫った凄みのあるドラマでした」(西森さん)
PROFILE プロフィール
綿貫大介
編集者、ライター。テレビっ子。ユースカルチャー誌編集部を経て独立。2016年にインディペンデントマガジン『EMOTIONAL LOVE』を創刊。著書に『ボクたちのドラマシリーズ』など。ananではゆっきゅんの連載の執筆を担当。
PROFILE プロフィール
吉田 潮
コラムニスト、イラストレーター。編集プロダクション勤務を経て、フリーランスに。2010年より『週刊新潮』にて「TVふうーん録」の連載開始。東京新聞の放送芸能欄コラム連載は9年目。現在は「ドラマどれ見る?」を執筆。
PROFILE プロフィール
西森路代
地元テレビ局、ラジオディレクターを経てライターに。主に韓国映画、日本のテレビや映画について執筆。共著に『韓国映画・ドラマ――わたしたちのおしゃべりの記録2014~2020』(駒草出版)がある。