日本から世界に発信できる舞台を! 人気俳優6人が語る、東洋空想世界「blue egoist」への思い

エンタメ
2024.11.19

美しくダークなドラマが幕を開ける。東洋空想世界(オリエンタルファンタジー)「blue egoist」とは。

左から、後藤 大さん、立石俊樹さん、阿部顕嵐さん、七海ひろきさん、福澤 侑さん、高橋怜也さん

日本から世界に発信できる舞台を。そんな志のもとに立ち上げられた舞台、東洋空想世界(オリエンタルファンタジー)「blue egoist」。ダークファンタジーの世界を俳優6人により歌やダンスを交えて描くという本作。ミュージカルや2.5次元作品など、幅広い分野で活躍し、人気を博す6人の俳優が出演。そのプロデュースを務めるのが阿部顕嵐さんだ。

「以前からプロデュースには興味がありましたが、先々の目標だと思っていたんです。だから今回声をかけていただいて、まさか20代のうちに経験させていただけるなんてありがたかったです。脚本の小沢道成さんの書かれたストーリーは、ファンタジーではありますが重厚で、なかなか挑戦的でもあります。タイトルに“東洋”が入っていますが、今の日本のカルチャーシーンを考えさせる部分もあって。この作品を僕たち6人がやることに意味がある気がしています。歌やダンスに加えてパペットが登場したりと見応えがありますし、悲しくて残酷でかっこいい、記憶に残る作品になればと思っています」

阿部顕嵐

今回の公演に関しては、メインビジュアルから主題歌とそのMV、衣裳などさまざまなところで僕の意見が盛り込まれています。俳優としても、この舞台はやることが多くて、それだけでも結構大変(笑)。本来なら20人ぐらい必要だろうと思う内容をあえて6人だけでやる。でもそれを僕らが完璧にこなせたら、本当にすごいものが見られるはずです。

今年5月に俳優活動に専念することを発表させてもらいました。まだ10代だった頃、恩師に「君は俳優だね」って言われたことがあって、その後に映画を経験させていただいたときに、お芝居をもっと追求してみたいと思ったんです。周りがすごい俳優さんばかりの中、自分は映像での演技の経験もほとんどない状態。そんな中、僕のシーンに監督やスタッフさんたちが時間をかけて粘り強く何度も撮り直ししてくれました。そのときは精神的にキツかったけれど、1シーンにかける情熱や真摯さにプロフェッショナルを感じて、その後の自分の大きな指針になったと思います。

俳優がプロデュースも務める作品が、最近増えていますよね。ハリウッドではすでに当たり前だし、日本でも勝新太郎さんの頃は俳優が自分のプロダクションで映画を製作していた。僕もいつかそうなれたらなと。そのためにもまずは俳優として自分の足元を固めることが大事。世間の多くの人の目に留まるような王道作品やメディアにも出ていけたらと思っています。

七海ひろき

キャストはもちろん、演出や脚本、音楽、美術までこの布陣を率いる阿部さんのプロデュース能力はすごいなと思いますし、この6人の中に呼んでいただけて光栄です。私はもともとファンタジーが好きなので、ダークファンタジーが世界観の「blue egoist」に参加できることが嬉しいです。見どころとしては、侑くんが振り付けてくれたパフォーマンスがとにかくかっこいい! 冒頭の15分を観ただけで「この舞台を観に来てよかった!」と思わせるのが目標ですね。スタイリッシュなパフォーマンスとは対照的に、ストーリーは哲学的な問いを孕んでいます。この物語に登場するのは人間とは人生の長さが違ったり、人間とは違う価値観で生きているものがほとんどです。作品には人の生き死にや登場人物たちが傷つく描写がありますが、そういうときの考え方が人間とは大きくズレているんですね。こうした掴みどころのなさを、役としてどう深めていくのかが今の私の課題です。観終わった後、自分が今いる世界と照らし合わせていろいろ考えさせられる作品になっています。魅力的な6人全員をぜひ箱推ししていただきたいです。

よく「忘れられたときが、その人にとっての死だ」と言いますが、いつかは私にも忘れられる日が来るかもしれません。でももしその先もずっと私の作品が人の記憶に、もしくは形として残り続けられたら嬉しいですし、そういう俳優になれたらと思っています。

立石俊樹

顕嵐くんとは作品で共演したことがなかったので、ご一緒できるのが楽しみでした。クールな方かと思いきや、稽古場での彼は案外おちゃめで少年心のある人。集中しているときはすごいけど、自然体のときはゆるふわです(笑)。その落差が僕には心地よくて、仲良くなれそうだなと直感しました。今回は、そんな彼のプロデューサーとしてのセンスが随所に感じられると思います。キャストの衣裳やビジュアルはもちろん、演出や脚本、音楽などすべてに彼のこだわりを感じます。演出の松崎(史也)さんとは何度もご一緒していますが、最初に目指すべき道標を与えてくれる方なので安心感があります。福澤侑くん率いるREXの振り付けもスタイリッシュ。僕は侑くんのダンスが好きなので、かっこよくてセクシーなパフォーマンスに仕上がっていると思います。パペットを使って表現するシーンもあるので、ぜひ期待してください。

ミュージカル好きな僕としては、この作品が舞台に興味を持つきっかけになってくれたら嬉しいです。僕は“今、この瞬間にしか感じられない空気”が舞台の醍醐味だと思うんです。たとえ30公演あっても一つとして同じ公演はないし、観に来るお客さんが違えば、演者の感じ方も違ってくる。毎日いろんな雰囲気を肌で感じて、それによって僕の中から新たなものが引き出されることもある。その感覚は映画やドラマとも違う、生の舞台でしか味わえないものだと思っています。

福澤 侑

この作品はぜひ事前情報なしに、頭をハテナにして観に来てほしいです。世界観も伝えたいメッセージもしっかりある作品なので、次は一体何が起きるんだろうとワクワクしながら観てもらったほうが、より世界に入り込めるんじゃないかと思います。受け取り手によって様々な解釈ができる作品なので、人によってはいい話だったり、後味が悪かったりするかもしれませんが、だからこそ何度も観てみたくなると思います。

僕は振り付けも担当させていただいていますが、6人それぞれにフォーカスを当てながら映える振りを作るのが課題です。でもこのメンバーには全幅の信頼を置いているので心配はしていません。この6人が本気で向き合ったらどうなるのか、今から楽しみです。

顕嵐とは昔からお互い存在を知ってはいましたが、より濃い話をするようになったのは舞台で共演してからです。独特のセンスの持ち主なので、顕嵐のアイデアを実現させるためにみんなで話し合うという作り方をすることが多いです。今回も、僕とだったらセッションしながら振り付けを作っていけるし、そういうところで力になれることはあると思っています。僕は俳優や振り付けや演出などいろいろやらせてもらっているんですが、どれも中途半端はいやなので、やるからにはリスペクトを込めていいものを届けたい。そしていつかは「これは福澤侑にしか作れないよね」と言われるような、唯一無二の存在になりたいです。

高橋怜也

顕嵐とは、舞台『桃源暗鬼』のときに仲良くなったんですが、人間的に尊敬するところがたくさんあるので、シンプルにやらせてもらいたいと思いました。最初に脚本を読んだときは、正直、舞台になったらどうなんだろうと思ってたんです。でも稽古場で動いてみたら、この物語で描きたいロジックっていうのかな…そういうものが見えてきて、「(松崎)史也さんの演出ってすごい」ってなりました。史也さんは舞台でのすべての表現をおろそかにしないんです。セリフはもちろんセリフの音色もだし、BGMだったり。それらが効果的に見えるためにはどうしたらいいかを説明してくださるんです。ご自身も俳優なので、実際にやって見せてくださったり、わかりやすくてありがたいです。

これまでわりとクールな役が多かったんですが、今回の役はテンション感とか普段の自分に近くて、当て書きなんじゃないかと思うくらい。作品自体、僕たちだからやれるというか、僕たちがやるからこそ意味のあるものだと思うんですよ。受け取り方は人それぞれですが、少しでも届いてくれたら嬉しいです。

舞台の生モノな感じが好きなんです。この日この時間は1回きりで、それゆえの葛藤もあるけれど、お客さんと同じ時間を共有している空気感があり、どんなにしんどくてもパワーが出ます。今の自分の唯一の武器といえるのが歌。今回の舞台もですが、いつかグランドミュージカルに出演できたらと思っています。

後藤 大

顕嵐くんは以前、舞台で共演したときにテントサウナを差し入れてくれたことから俄然興味が湧いて、最近では一緒に筋トレする仲です。いつも元気で明るくて、今回はプロデューサーとしても主演としても先頭を走ってくれているので安心感があります。

この物語にはいろんな一面を持って生きているキャラクターが登場するんですが、僕自身も自分はこうだと決めつけたくないし、決めなくていいとも思っています。それはすごく不安定で不確かなことなんだけど、その不確かさが僕には面白いんです。それに、人は誰しもいろんな顔を持っているものだと思うんですよ。家と会社では見せる顔が違ったり…。そう考えると、人間の中にも「blue egoist」的な要素はきっとあるはずで、みんながそう理解し合えたら、誰もが共存できる世界になっていくのではないかと思います。みなさんがこの作品のラストに何を思い、どう感じるのか、とても興味がありますし、自分はもしかしたらこんなふうに見られているかもしれない、という客観的な視点を受け取ってもらえたら嬉しいです。

僕にとって舞台とは遊びの延長が仕事になったもので、言葉を選ばずに言えば“究極の暇つぶし”。この非日常な空間があるから、他は不確かでもいいと思えるのかもしれません。刺激的だけど、安心できる場所でもあります。常に新鮮な面白さを自分から引き出してくれるから、飽きるということがないんですよね。

PROFILE プロフィール

阿部顕嵐

あべ・あらん 1997年8月30日生まれ、東京都出身。おもな出演作に、ドラマ『スメルズ ライク グリーン スピリット』など。来年1月に主演作品『舞台「桃源暗鬼」 ‐練馬編‐』が開幕予定。

七海ひろき

ななみ・ひろき 1月16日生まれ、茨城県出身。おもな出演作に舞台『サイボーグ009』、声優としてアニメ『烏は主を選ばない』など。12月に全国4か所でディナーショーを開催。

立石俊樹

たていし・としき 1993年12月19日生まれ、秋田県出身。おもな出演作にミュージカル『エリザベート』『黒執事』など。来年にはミュージカル『ワイルド・グレイ』が控える。

福澤 侑

ふくざわ・ゆう 1995年10月19日生まれ、愛知県出身。俳優のほか、アーティスト活動や振付家、演出家としてマルチに活躍。来月には「進撃の巨人」‐The Musical‐の公演が控える。

高橋怜也

たかはし・りょうや 1996年9月2日生まれ、千葉県出身。おもな出演作にミュージカル『テニスの王子様』、MANKAI STAGE『A3!』、映画『犬、回転して、逃げる』など。

後藤 大

ごとう・だい 1995年4月5日生まれ、千葉県出身。おもな出演作にドラマ『仮面ライダーギーツ』、舞台『刀剣乱舞』など。来年にはミュージカル『ワイルド・グレイ』が控える。

INFORMATION インフォメーション

東洋空想世界「blue egoist」

11月17日(日)~12月1日(日)東京・THEATER MILANO‐Za 12月6日(金)~8日(日)大阪・オリックス劇場 演出/松崎史也 脚本/小沢道成 出演/阿部顕嵐、七海ひろき、立石俊樹、福澤 侑、高橋怜也、後藤 大 平日1万2500円 土・日曜1万3500円 サイドシート9900円 Mitt TEL:03・6265・3201(平日12:00~17:00)

阿部さん・コート¥74,800(NaNo Art/JOYEUX TEL:03・4361・4464) ジャケット¥99,000 シャツ¥44,000 パンツ¥42,000(以上GALAABEND/3RD[i]VISION PR TEL:03・6427・9087)

七海さん・ジャケット¥78,100 パンツ¥74,800(共にNaNo Art/JOYEUX) シャツ¥29,000(HARAJUKU VILLAGE TEL:03・3405・8528)

立石さん・ジャケット¥77,000 ベスト¥33,000 パンツ¥37,400(以上CONFIANCE/JOYEUX) ロングシャツ¥81,000 シャツ¥35,000(共にHARAJUKU VILLAGE)

福澤さん・タートルネック¥16,500(GALAABEND/3RD[i]VISION PR) パンツ¥7,700(Casper John/Sian PR TEL:03・6662・5525)

高橋さん・ジャケット¥396,000 パンツ¥330,000(共にSHINGO KUZUNO/Sian PR) シャツ(黒)¥21,000(HARAJUKU VILLAGE) シャツ(緑)¥4,950(Casper John/Sian PR)

後藤さん・ジャケット¥10,000 シャツ¥62,000(共にHARAJUKU VILLAGE) パンツ¥330,000(SHINGO KUZUNO/Sian PR)

写真・小笠原真紀 スタイリスト・横田勝広(YKP) ヘア&メイク・礒野亜加梨 柿本穂乃香 田中優衣 取材、文・尹 秀姫(七海さん、立石さん、福澤さん、後藤さん) 構成、文・望月リサ(阿部さん、高橋さん)

anan 2422号(2024年11月13日発売)より

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No.2422掲載2024年11月13日発売

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