限界バイトに身を投じる9人…注目マンガ家シマ・シンヤによる緊張感MAXのSFコミック!

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2024.10.16
初連載作品の『ロスト・ラッド・ロンドン』で2022年に第25回文化庁メディア芸術祭マンガ部門新人賞を受賞するなど、初単行本からめざましい才能で注目を集めるシマ・シンヤさん。経歴も興味深い。イギリスに留学し、大学で美術を、大学院でアニメーションを学んだ。

9人の地下作業員たちが抱える秘密。緊張感MAXのSFコミック。

シマ・シンヤ

「帰国後、福祉関係の短いテキストをひとりでこつこつアニメ動画化する仕事などをしていたときに、編集者さんから声をかけていただきました。アニメのためには1か月で300枚くらい画を描きます、と言ったら、『マンガなら20枚で完成しますよ』と言われて、いっちょやってみるかと」

海外コミックを彷彿とさせるタッチだが、シマさん曰く、影響を受けているとすれば海外のSFやミステリー。また、SNSで『スター・ウォーズ』のファンアートを投稿する活動もしていたが、いまや公式からのオファーで、新しいコミックシリーズの原作を担当するまでに。 

そんなシマさんの最新作が『Void:No. Nine(ヴォイド ナンバー ナイン) ‐9番目のウツロ‐』。〈旧世界の使者〉という不気味な敵が跋扈する地下の廃棄坑道で、収集作業に従事する9人。3人一組の3チームに分かれ、限界バイトに身を投じている彼らのみならず、差配する組織側の人間もワケありなことが匂わされる。

「SFで群像劇をやりたくて、このフォーマットに。そして、それぞれに、後ろ暗い過去や、復讐や真相解明といった金銭以外の目的などを背負わせました。そうすれば、死の危険もあることを承知でバイトをしていたり、全員が名前を2つ持っているのも、自然な流れに見えるだろうと。めいめいの思惑によって、利害が一致することもあれば、衝突することもある。無自覚に悪に加担してしまうこともあれば、加担したことに目をつぶってしまうこともある。それをわかった上で、みながどういう選択をしていくかを描いていくことになると思います。人は変われるのかがメインテーマ。隠しテーマは反植民地主義です」

1話進むごとに、登場人物たちの関係性はいっそう複雑になり、展開はさらに謎めいていく。読者としては続きを読みたい衝動が止まらない。第3巻は冬頃に発売予定。

「やや見切り発車で始めた連載でして、いまは毎月必死。メインキャラだけでも9人もいて、『この1コマだけで3人以上もいるじゃねーか、ぜんぜん終わらん』状態です(笑)」

シマ・シンヤ

シマ・シンヤ『Void:No. Nine ‐9番目のウツロ‐』 〈9号再生都市〉の地下50mにある廃棄坑道内で、謎めいた組織に雇われて働く訳アリの人物たち。だが、彼らにもみな別の目的があるようで…。KADOKAWA 836円 Ⓒシマ・シンヤ/KADOKAWA

シマ・シンヤ マンガ家、イラストレーター。2018年、商業誌デビュー。他の著作に、『ロスト・ラッド・ロンドン』『GLITCH‐グリッチ‐』(共にKADOKAWA)などが。

※『anan』2024年10月16日号より。写真・中島慶子 インタビュー、文・三浦天紗子

(by anan編集部)

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