岡崎体育「オリジナリティが出る言葉を見つけること」 パンチラインを生み出す秘訣

エンタメ
2024.08.25
岡崎体育の連載「体育ですけど、オンガクです」。今回のテーマは「パンチライン」です。
岡崎体育

絶賛、アルバム制作中です。今も歌詞を書いていますが、パンチラインとはなんだろうと考えます。パンチラインとは、制作者が「これが言いたかった」「この言葉を使いたかった」という、その曲の中で核になるフレーズのことではないでしょうか。それは別にサビである必要はないのではと思います。例えば、山口百恵さんの「プレイバックPart2」の“ちょっと待って”というキーワード。通常、歌詞で“ちょっと待って”と言われることはあまりないのではないかと思います。意外性のある印象的な言葉ですし、このワードがサビ前のフックになっています。こういう曲のイメージを左右する強い言葉=パンチラインをどの曲にもいい感じで作れたらと考えています。

僕の曲で、先日リリースした「失恋ソング」という曲があります。失恋を明るくとらえ、「次行こう」とポジティブに描いた一曲なのですが、曲の後半に“お前とカマキリが崖から落ちそうになってたらカマキリから先に助けたるわ”というフレーズがあります。友達のバンドマンに「失恋を題材にしていながら“カマキリ”というパンチラインが出てくるのが岡ちゃんやな」と言われました。それを言われたときに、自分だけのオリジナリティが出る言葉を見つけることが、パンチラインを生み出す根っこなのかなと思いました。僕らしいパンチラインは身近にあるもの。この言葉は岡崎体育の曲からしか出てこないな、と思ってもらえるフレーズを見つけることではないでしょうか。

けっこう好きな言葉で僕が使いがちな“学級新聞”だとか、最近だと油性マーカー「ハイマッキー」のテーマ曲「Hi! Mckee」で使った“模造紙”なんかは、僕の曲じゃないと効かせることができないパンチラインではないでしょうか。“愛している”とか“忘れない”など常套句になっている言葉に頼らず、それでも普遍的にみんながハッとする言葉というのは、その人それぞれの中から生まれてくるものだと思います。模造紙ってワードは、他のアーティストの方が歌うと浮いてしまったり、意図が伝わらないかもしれないけれど、僕が歌うとなんかエモ味になってくれる。そういう自分だけの言葉を見つけていきたいです。ところで、模造紙って何を“模造”してるんですか?

おかざきたいいく 油性マーカー「ハイマッキー」の新キャラクター「Hi! Mckee」のオリジナルテーマソングが配信中。秋に、ホールワンマンTOUR「盆テク博覧会」を全国5か所で開催。

※『anan』2024年8月28日号より。写真・小笠原真紀 ヘア&メイク・大矢佑奈(KIND) 文・梅原加奈

(by anan編集部)

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