大好評連載「ゆっきゅんのあんたがDIVA」。 金原ひとみさんとの対談を終えたゆっきゅんが、前回までを振り返って言葉を綴ります。対談収録のこぼれ話と、ゆっきゅんが感じた金原さんの優しさについて。もちろん、カラオケ話もあります!!

嘘のない、まっすぐな優しさにあとから気づいた日。

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金原ひとみさんの小説の主人公にずっと憧れがありました。飲むしかないから酒を飲み、恋や愛のためにのたうち回ることができ、怒りや情動を人とぶつけ合い、抗いようのない感情に駆け回られて、それでも知性が猛ダッシュで追いかけてきて、気づいたら遠くまで辿り着いてしまっているような人のことです。私に中途半端な理性さえなければこうなれるのに! みたいな、そんな理想像として、金原さんの書く人物像はあったのでした。私は頭ん中だけ自由であらゆることを考えたり気持ちが突っ走っていくことは全然あるけど、結局理性的で自制心がバキバキに働くタイプなので、あんなふうにはなれなくて(なる必要もまあない)。逆に、友達はそれを地でいってる人が結構多くて、特徴としては、近況を聞くといつも何らかの事件を教えてくれることと、金原ひとみ作品が好きというのがあります。

対談が終わった時に、金原さんが「今日は友達が増える気持ちで来たんです」って言ってLINEを聞いてくれて、え!  あー、この時間楽しんでくれてたんだ、と安心して嬉しくなるとともに自分が緊張していたことも自覚しました。会う前からきっと最高な人なんだろう…と思っていましたがやっぱりすごく優しくてかっこよくて大好きになってしまうのでした。個人的に金原さんらしさを強く感じた言動があって…対談に載せきれていない部分ですが『ミーツ・ザ・ワールド』の感想を伝えた時に、どう向き合えばいいかわからないままだった知人の死について話したら、金原さんが「つらかったですね」と言ってくれて。その時、自分のことを考えていなかったので驚いて、咄嗟に「いや、つらかったのはその人です」と笑って返してしまったのですが、どうして金原さんの優しさをすぐに受け取れなかったんだろう。金原さんのあの嘘のないまなざしで、私は自分がつらかったことをちゃんと思い出せたような感じがしました。

後日、もちろん金原さんとカラオケへ。共通の友人の作家・柚木麻子さんと3人でパセラに行ったらまず「歌舞伎町の女王」を歌ってくれたこと、忘れられない景色です。ひとみの林檎たまらん。一緒にm-flo の「come again」を歌っている時、ラップを完コピしておいたこの人生は間違ってなかったと思えました。金原さんが強気で保護者会に行くための歌、いつか必ず作ります。みんな覚えてて。

ゆっきゅん 1995年、岡山県生まれ。青山学院大学文学研究科比較芸術学専攻修了。2021年からセルフプロデュースで「DIVA Project」をスタート。インスタ、Xは@guilty_kyun

※『anan』2024年6月5号より。写真・幸喜ひかり 文・ゆっきゅん
(by anan編集部)

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