chelmicoによる連載「chelmicoのちいさなにっき」。Vol.21はRachelによる「カラオケの勝負曲」の巻。
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プロフィール上では私は横浜出身ということになっているが、実は栃木県にも由縁がある。祖父母が住んでいて、小学生の時に2年間だけ、一緒に暮らしていた。祖父母はスナックを経営していた。当時小学生の私は当然営業中に店に入ったことはなかったが、日中に祖父に連れられて店のちょっとした掃除に立ち会うことがあった。店には天井近くに小さな窓がある。長い棒を使ってそれを開けて換気する祖父を見て「私にもやらせて」とやらせてもらっていた。重たい棒にフラつきながらもフックの先を引っ掛けて窓を開けると、光が筋になって、その筋の中に店の空気が反射してキラキラして見えたのをよく覚えている。綺麗だな、と思った。

今年の1月、私は息子を連れて栃木に行った。祖父母にとってのひ孫にあたる彼を、2人はとても可愛がってくれた。私にもこんな眼差しを向けてくれていたんだろうか。「まだ店やってるの?」と私が祖母に尋ねると「やってるよ。今日もこれから行くよ」というので私は驚いた。祖母は80歳を超えていて、そして今も店に立っていた! かっこいいね。祖父が「今度、歌ってけ」と言ったので、私はさらに驚いた。そうか、私が店で歌う未来がきたのか。「いいよ」と勢いでOKしてしまったものの、口約束で終わらせたくない。

さて、何を歌うか。俺の十八番であるRIP SLYMEの曲ならノールックで歌えるが、祖父母のために歌うのには多分、別の曲がいい。カラオケで歌えるような、祖父母にとっての青春ソングってなんだろか。約60年前の曲だとして、1960年代にヒットした曲を調べたら、俺が現段階で歌える曲は存在しなかったので、ここから俺は頑張ります。新しい十八番を作るんだ。次に栃木に行くのは4月ごろを予定している。それまでに新しく、歌を覚えるんだ。自分の曲以外の練習、久しぶりでちょっとワクワクしている。いつもは普段喋ってる感じで書いてたけど、今回はテーマに合わせて、書き方を変えてみました。みんな、どうだった?

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チェルミコ 左・Rachel(レイチェル) 1993年生まれ、神奈川県出身。右・Mamiko(マミコ) 1996年生まれ、東京都出身。2014年にchelmicoを結成。ドラマ『恋愛のすゝめ』のオープニングテーマ・デジタルシングル「Question」が発売中。

※『anan』2024年2月28日号より。写真・幸喜ひかり ヘア&メイク・ナリタミサト

(by anan編集部)

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