懐かしくて新しい! 「百段階段」を舞台に全国各地の“レトロ”を旅する展覧会

エンタメ
2024.01.08
4人の作家が手がけた、日本の“レトロ”をモチーフにした作品を巡り、全国各地の旅情や時代の味わいを感じる展示「懐かしく新しい“レトロ”を旅する 古今東西ニッポンの風景」が東京都指定有形文化財「百段階段」で開催。『日本全国 地元パン』の著者・甲斐みのりさん、《ゆのまちネオン》の作者・はらわたちゅん子さんに、作品に対する想いを聞きました。

“昭和の竜宮城”と謳われた建物を舞台に“レトロ”を旅する。

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甲斐みのり(以下、甲斐):旅先で手みやげに喜ばれそうなお菓子を探すのが好きで、地方のお菓子屋さんではパンも作る所が多いことに気がついて。なぜだろうという疑問から全国のパンを食べ歩き、研究してかれこれ20年。

はらわたちゅん子(以下、はらわた):20年……(嘆息)、すばらしい探究心ですね。私は高知の出身で、県内には18の酒蔵があり、繁華街もとても賑やか。ネオンサインのある風景が身近で、あるときイラストの線をネオン管として表現したらどうだろう? とひらめき、「ネオン画」につながりました。

甲斐:ネオン管で表現された《ゆあがりネオン》を見て“ネオン浴”という言葉が浮かびました。ネオンの光を浴びると非日常に誘われますね。

はらわた:「百段階段」で展示をするなら、本物のネオンサインを入れたいと。アオイネオン株式会社の職人さんが制作してくださり、光が灯ったときは感無量。歴史と重みのある空間に、ネオンの柔らかく繊細な光が溶け込んで嬉しく思いました。

甲斐:建物全体から、創業者の方や職人さんたちの想いがパワーとして迫ってきますね。それが地元パン(R)の無垢な魅力を包み込んで、より可愛らしく見えるのも嬉しい。

はらわた:高知でお馴染みのパンも紹介されていて思わず「あ! 『百段階段』でニコニコパンだ」と大興奮。本物のパッケージが展示されているので、色合いやデザインのディテールをじっくり鑑賞できます。

甲斐:パソコンのない時代に手でデザインされたものの、今では出せない味にときめく要素や面白さがあります。ぜひ時代を超えた新しさを楽しんでいただきたいですね。

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文化財「百段階段」とは?
1935(昭和10)年に建てられた当ホテルに現存する唯一の木造建築。趣向の異なる7部屋を99段の階段廊下が繋ぐ。日本画の大家や当代随一の職人による豪奢な装飾が見どころ。

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甲斐みのり氏『日本全国 地元パン』表紙
旅で出合った全国各地の愛すべきパン500個超を収録した著書より、47都道府県の地元パン(R)を紹介する。甲斐さん秘蔵のパン袋のコレクションは必見。

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はらわたちゅん子氏《ゆあがりネオン》
湯上がり姿の「湯ガール」が“ゆ”の字の上にちょこん。周りの看板は実在の店名をもとにデザイン。ネオン管にガスを注入し、電気を通すと光る。

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鳴子系こけし(宮城県)所蔵:佐々木一澄
『こけし図譜』(佐々木一澄著 誠文堂新光社)に掲載されている原画と伝統こけし11系統の約200体の展示も。

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かい・みのり 文筆家。旅、地元パン(R)、手みやげなどを題材に書籍、雑誌、ウェブなどに執筆。『日本全国 地元パン』(エクスナレッジ)ほか著書は50冊以上。Instagram:@minori_loule

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はらわた・ちゅんこ アーティスト/デザイナー。日本の路地やアジアの喧騒に着想を受けながら、ネオンサインのデザインやネオン画を手がける。Instagram:@chung_kang.0302

懐かしく新しい“レトロ”を旅する 古今東西ニッポンの風景 ホテル雅叙園東京 東京都指定有形文化財「百段階段」 東京都目黒区下目黒1‐8‐1 2024年1月1日(月)~14日(日)11時~18時(入館は17時30分まで) 会期中無休 一般1500円ほか TEL:03・5434・3140

※『anan』2024年1月3日‐10日合併号より。取材、文・松本あかね

(by anan編集部)

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