「まさに今作はジャンルレスがテーマ。CHAIを始めた時からポップスを目指してきて、ついに理想の形になったの。しかも、ただのポップスじゃない。ちゃんとオリジナリティのあるポップスができて、これは“CHAIポップ”だと思った。集大成ではなくて、これが“CHAIの正解”と言える一枚」(マナ・Vo/Key)
正解というのは、具体的に楽曲のどんなところを指しているのか?
「CHAI結成前からニューウェーブが好きで、ESG、トーキング・ヘッズ、トム・トム・クラブ、ディーヴォとかに影響を受けてきた。でもニューウェーブの曲を作ろうと思えば思うほど、ポップスにはならなくて。逆にポップスを意識するとニューウェーブから離れていって、求めていた形にできなかったの。だけど『GAME』を作った時に、ニューウェーブの中のポップスができたんだよね」(マナ)
「『Driving22』を作りながら、マナと『これ、チャーリー・プースじゃない?』って盛り上がったの。『この雰囲気の音を、いま日本人の女性で出している人はいないよね』と言い合ったぐらい、とにかく自信がある。あとは『PARA PARA』のように、どこかキラッとして、ポップで分かりやすくて、ニューウェーブっぽくて、ファンクでR&Bで…みたいなのってダサくなりがちなんだけど、これはダサさのかけらもない。マナが言うように、ニューウェーブをポップに変えられたんだ」(カナ・Vo/Gt)
「4曲はドラムを叩いているけど、残りはトラックメイカーさんによる打ち込み。こんなミュージシャンは見たことないと思うぐらい、フレキシブルにいろんな見せ方をしているし、それがCHAIの良さでもある。自分が叩いた曲でいえば『PARA PARA』が大好き。あの年代感の音を現代風にアップデートして、洋楽の要素と日本人のアイデンティティをうまくミックスしてる。打ち込み系の曲なら『KARAOKE』もめっちゃ好き。ラテン風の音にマナとカナが日本ぽいメロディを乗せてくれて、これは私たちにしかできない、それこそ“CHAIポップ”だと思った」(ユナ・Dr/Cho)
「これまで“セルフラブ”(自分を愛すること)を軸に、いろんな角度から歌詞を書いてきた。今回は曲調も雰囲気もすべて違うけど、どれもCHAIの歌詞になるように意識したのと、もっと多くの人を巻き込みたいと思った。個人の気持ちをただ言うんじゃなくて『こうしたら人生は楽しいと思う』という提案とか、大勢を意識した言葉に変換できた。ジャケットも、初めてセルフラブを意識したビジュアルにできたの。テーマは“自分たちが自分たちの未来を見て応援してる”。大きなステージでCHAIが演奏する姿を見てる私たちが『CHAIかわいい! 大好き~!』と叫んでるイメージ。ビジュアルからメッセージまでCHAIの全部を出せたアルバムだね」(ユウキ・Ba/Cho)
アルバムツアー「We The CHAI Tour!」が開始され、現在北米&メキシコを周遊中、11月からは4年ぶりとなるヨーロッパ・UKツアーが控えている。
「生きてきた環境も文化も違うから、国によって感じ方も違うけど“かわいい”だけは世界共通なの。みんなが持っている感覚だからこそ、より私たちが歌うべきだと思った。生まれた瞬間からかわいくない人って、この世には存在しない。それを信じてやってきたし、各国で“かわいい”を叫べば叫ぶほど、今度は私たちが言う前にみんなが叫んでくれる。ツアーを通して『みんな、“かわいい”って叫ぶ準備できてるよね?』って世界中で言いたいね!」(マナ)
4thフルアルバム『CHAI』。「We The Female!」、最新シングル「NEO KAWAII, K?」を含む全10曲収録。【完全生産限定盤(紙ジャケットCD+フラッグ)】¥3,300 【通常盤(ジュエルケースCD)】¥2,750(Sony Music Labels)
チャイ 左下から反時計回りに、マナ(Vo/Key)、カナ(Vo/Gt)、ユウキ(Ba/Cho)、ユナ(Dr/Cho)。“NEOかわいい”をコンセプトに活動。「We The CHAI Tour!」で北米・メキシコツアーを開催中、11月からヨーロッパ・UKツアーを開催予定。
※『anan』2023年10月4日号より。写真・岩澤高雄(The VOICE) 取材、文・真貝 聡
(by anan編集部)