若い世代のファンが増加中! 歌舞伎や落語、ラジオが再び注目を集める理由とは?

エンタメ
2023.09.29
ラジオを聴く若者が増え、伝統芸能も新たなファンを獲得している。その理由を探ると、新たなプラットフォームの誕生や、情報過多な現代にも大きな関係が…。

【トラディショナル】長く愛されるコンテンツが、再び注目を集める理由。

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昭和以前から人々に愛されてきた落語などの文化を“好き”と公言する若い世代が増えているのも近年の特徴。再び若い世代にファンを増やしているもののひとつが、radikoやPodcastの登場により、聴取数が格段に増えているラジオだ。

「低予算であれだけのコンテンツを作れるラジオはすごいメディアだと思いますよ。かつてはオールドメディアといわれていましたが、radikoでいつでも手軽に聴けるようになったことで大きく変わったと思います。タイムフリー機能で聴き逃した番組も聴取でき、利便性が高くなったことで、再び脚光を浴びていますよね。さらに、YouTubeを使ってラジオを配信するとか、PodcastやVoicyといった音声プラットフォームも含めたら番組数は圧倒的に増えている。活字離れが叫ばれる今、音声だけで楽しめるラジオが好まれるのは当然の流れという気がしますね」(坂口孝則さん)

古くから人々に親しまれ、日本の伝統芸能のひとつである歌舞伎も忘れてはいけない。二代目尾上右近さんや八代目市川染五郎さんのようなニュースターも生まれ、世代交代も目覚ましい。

「難しそうと敬遠される人もいるかもしれませんが、歌舞伎こそ、“ザ・ベタ”。話は勧善懲悪で、じつにわかりやすい。一度観たら“意外にハマってしまった”という方が多いのでは」(宮地ケンスケさん)

「歌舞伎は、もともと最高級のエンターテインメントですからね。近年では貪欲にいろんなコンテンツを取り入れたりしているのも、若い世代の“入り口”になっている気がします」(坂口さん)

「心理学では、“集合的無意識”という概念があります。これは全人類が共通して持っているような無意識の記憶で、それによって共感して感動したり、感情が動かされるといわれています。歌舞伎のような伝統芸能やクラシック音楽などが脈々と引き継がれていくのはそのためなんです。だから歴史のある伝統芸能は、一度観たら不思議と魅了されるという方は多いと思います」(塚越友子さん)

加えて、情報過多の時代だからこそ、シンプルなメディア、エンタメが好まれる傾向もあるよう。

「歌舞伎はストーリーがお決まりなので観ていて疲れない。音だけで伝えるラジオもそう。落語もひとりで演じ、笑いを届けるのでシンプルですよね。人間は自由になると束縛を求め、束縛されると自由になりたくなるもの。情報が多すぎて疲れている人が多い今、シンプルなものに戻りたくなるのかもしれませんね」(塚越さん)

「ラジオは“見せる”ことを遮断しているメディア。すべてトークで紡いでいかなければならないときに、難しい言葉を羅列したところで、耳も疲れるし、聴いていても退屈。だから、いかにパンチラインを効かせて、わかりやすく伝えるかが重要に。いま人気のオードリーやハライチ、霜降り明星などの番組はとてもわかりやすく、聴きやすいのが共通する魅力といえます」(宮地さん)

主なトラディショナル系ヒットコンテンツ

・朝ドラ
・ラジオ
日本でラジオ放送が始まったのは100年ほど前、朝ドラも初回放送は60年以上前のこと。古くから人々の生活に根付いてきたカルチャーだが、アプリやオンデマンドなど視聴方法が増えたことで、新たなファン層を獲得。

・落語
・歌舞伎
「おじいちゃん、おばあちゃんの趣味」と偏見を持たれていたのは昔のこと。「歌舞伎好き」や「落語好き」を公言する芸能人なども増え、古き良きものを嗜むことを“おしゃれ”と感じる若い世代も確実に増えている。

坂口孝則さん 1978年生まれ、佐賀県出身。大阪大学経済学部卒。未来調達研究所株式会社所属。経営コンサルタントとして、講演や研修を行い、メディアにも出演するなど、多方面で活躍中。

宮地ケンスケさん 1976年生まれ、高知県出身。お笑いトリオ「ニブンノゴ!」のメンバーとして活動。2018年より、放送作家や脚本家としても活躍。『全力!脱力タイムズ』などの構成も手掛ける。

塚越友子さん 1973年、スイス生まれ。臨床心理士、公認心理師、産業カウンセラー。2008年、東京中央カウンセリングを開業し、悩める人々をサポート。メディア出演、研修講師も務める。

※『anan』2023年10月4日号より。イラスト・AiLeeN 取材、文・関川直子

(by anan編集部)

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