『テルマエ・ロマエ』主人公ルシウスが案内人に! 「テルマエ展」の見どころは?

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2023.09.24
“テルマエ”とは「熱い」という意味のギリシャ語「テルモス」に由来する言葉。狭義には古代ローマの皇帝らによって建設された大規模公共浴場を、広義には古代ローマの公共浴場全体を指す言葉だ。4世紀に記された2種類の『ローマ市総覧』によれば、当時ローマ市内には大規模な公共浴場は11軒、小規模な公共浴場は856~951軒もあったというから馴染み深いのもうなずける。

古代ローマ人も日本人も大好きだった風呂の真実に迫る。

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©ヤマザキマリ

「テルマエ展 お風呂でつながる古代ローマと日本」は、そんなテルマエを愛した古代ローマの人々の生活を、絵画や彫刻、考古資料など100点以上の作品や、映像や模型でひもとくもの。会場では、実写映画化もされたヤマザキマリによる漫画『テルマエ・ロマエ』の主人公ルシウスが案内人となり、古代ローマのテルマエと、日本の入浴文化についても紹介。

そもそも、なぜ古代ローマで公共浴場は広く浸透していたのか? 公共浴場はローマ人の発明ではなく、そのルーツは古代ギリシャ発の施設にあった。ただ、それを大衆の娯楽へと発展させたのはローマ人だった。帝政初期、特権階級と大衆の格差はかつてないほどに広がっていた。下層民が住むのは高層の集合住宅で、住空間は極めて狭く、水道もなければ台所や風呂の設備もなかった。皇帝たちは貧困にあえぐ大衆のストレスを解消すべく、娯楽を提供する。そのひとつであるテルマエは、大衆からの人気を得るのに大いに役立ち、何人もの皇帝がローマに巨大なテルマエを建設した。

一方、日本の風呂が清めの場として仏教とともに寺院に広まったのが6世紀頃。江戸時代には町中に湯屋が誕生し、現代の入浴スタイルが定着する。本展では日本の入浴に関する美術品や資料も展示。古代ローマ人に劣らない日本人の風呂好きの歴史も見どころのひとつだ。

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大規模なテルマエには、皇帝や浴場の建設者の肖像のほか、神々の像や古代ギリシャの有名作品のコピーなど数多くの大理石彫刻が飾られていた。《恥じらいのヴィーナス(ウェヌス・プディカ)》1世紀 ナポリ国立考古学博物館蔵 Photo©Luciano and Marco Pedicini

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古代ローマ時代の富裕層の暮らしを描いている。饗宴を催すことができたのは、家に台所があり奴隷がいる者だけだった。《ヘタイラ(遊女)のいる饗宴》1世紀 ナポリ国立考古学博物館蔵 Photo©Luciano and Marco Pedicini

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豊富に温泉の湧く日本では、古くから地域の温泉が住民に利用されてきた。本展では山梨の温泉の資料も展示し、地域の魅力を伝える。三浦宏《湯屋模型》1980年代 個人蔵 撮影:石﨑幸治

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健康や医療とも直結する入浴。ギリシャのイスキア島ニトローディの温泉では、泉の精たちが疫病を祓う神アポロと共に祀られる。《アポロとニンフへの奉納浮彫》2世紀 ナポリ国立考古学博物館蔵 Photo©Luciano and Marco Pedicini

「テルマエ展 お風呂でつながる古代ローマと日本」 山梨県立美術館 山梨県甲府市貢川1‐4‐27 開催中~11月5日(日)9時~17時(入館は閉館の30分前まで) 月曜(10/9は開館)、10/10休 一般1000円ほか TEL:055・228・3322

※『anan』2023年9月27日号より。文・山田貴美子

(by anan編集部)

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