
誠実な役柄の印象が強い中沢元紀さんが、新ドラマ『幸せになりたいマサムネ君』で挑むのは、恋人がいながら浮気をしてしまうクズ男・マサムネ君。現場では、今までとは異なる役柄に新鮮な驚きを感じたという。
現場で役の悪口を言われるのが新鮮でした(笑)
『下剋上球児』で注目を集め、『時すでにおスシ!?』では心優しい親孝行な息子を好演。誠実な役柄の印象が強い中沢元紀さんが、新ドラマ『幸せになりたいマサムネ君』で挑むのは、恋人がいながら浮気をしてしまうクズ男・マサムネ君。
「今まで“いい子”の役が多くて、現場で監督や共演者の方に役の悪口を言われることがなかったんです(笑)。それが今回は『最低だな』みたいなことを言われるからすごく新鮮で。役としてそう思ってもらえるのは、ある意味うれしかったです」
役柄ごとに違う表情を見せる中沢さん。演じる人物に気持ちまで引っ張られることはあるのだろうか。
「引きずられるというか、その役の考え方を理解できるようになる感覚です。普段の生活でも“マサムネ君だったら、ここでどう思うかな”って自然と考えていて。だから、この現場でも雑談で何気なく言ったことに『今のマサムネ君っぽい』『中沢くん、クズになっちゃった』なんて言われることもありました(笑)」
そうした役作りのベースにあるのは、自分自身との共通点を探すことなのだとか。
「まずは自分と似ている部分を手がかりにして“これは自分事として考えられるな”というところを少しずつ広げていくんです。人って相手によって見せる顔が全然違うじゃないですか。この人といるときの自分は、この役に近いかもしれない、などと考えながら組み立てていきます」
役作りのため、普段から人を観察するのも自然と習慣になった。
「電車に乗っていても、つい周りを見てしまうんですよ。この人のつり革の持ち方は珍しいな、とか(笑)。何気ない仕草や所作って、その人らしさがすごく出るので、普段からよく意識を向けるようにしています」
デビューから4年。経験を重ねるなかで、芝居への向き合い方にも変化が生まれたという。
「役のことだけを考えていた頃とは違って、今は作品を観る人や監督の目線も意識するようになりました。例えば“ここで少し笑える瞬間があると見やすいかな”とか。『時すでにおスシ!?』で共演した松山ケンイチさんは、そういう遊び心を入れるのが本当に上手で。ちょっとした工夫で役に血を通わせる、その感覚をたくさん学ばせてもらいました」
では今、俳優という仕事にどんな手応えを感じているのだろう。そう問いかけると、少し考え込んだあと、照れくさそうに笑った。
「手応え……ないかもしれないです(笑)。手応えを感じた時ほど良くないことも多くて。でも、この仕事って、きっといつまでも満足しないからこそ面白い。だから、ずっと続けられるんだと思います」
Profile
中沢元紀
なかざわ・もとき 2000年2月20日生まれ、茨城県出身。'22年に俳優デビュー。主な出演作にドラマ『下剋上球児』、連続テレビ小説『あんぱん』、『時すでにおスシ!?』など。

MBS/TBSドラマイズム『幸せになりたいマサムネ君』
人気同名コミックの実写化。10年交際している恋人のモモカ(秋田汐梨)がいながら、常に別れへの不安を抱くマサムネ(中沢)。ある時、相席居酒屋で出会った肉食系女子(齊藤なぎさ)と一夜を共にしてしまい……。
毎週火曜深夜にMBS・TBSほかで放送中。
写真・土佐麻理子 スタイリスト・田中トモコ ヘア&メイク・速水昭仁 インタビュー、文・野村文
anan 2506号(2026年7月29日発売)より































