「“城寨四少”でリラックスできる時間ができたらいいな」トニー・ウーが語る、最新作と野球・アジア競技大会への想い

2018年に香港公開され、口コミなどからスマッシュヒットを飛ばしながら、長年日本未公開だった『逆流の男たち』が、ついに日本公開。『トワイライト・ウォリアーズ 決戦!九龍城砦』で十二少と虎兄貴を演じたトニー・ウーさんとケニー・ウォンさんの初共演作としても知られる本作。ファン待望の日本公開を祝し、野球選手として「アジア競技大会 愛知・名古屋」に出場直前のトニー・ウーさんに直撃しました!


── このたび、日本公開される『逆流の男たち』は、トニーさんの俳優人生において、どのような作品ですか?

俳優デビュー作である『最初の半歩』は、自分が香港映画界に入るためのチケットのような作品でしたが、『逆流の男たち』は香港の映画人や観客のみなさんに、トニー・ウーという俳優の存在をもっと知ってもらえるようになった作品です。この映画は、私たちが演じたドラゴンボートレースに出場する4人の男に対し、先頭の太鼓手が鳴らす太鼓のリズムが歩むべき方向を導いてくれるという作品です。いくつになっても、人生に迷うことがあると思いますが、太鼓の音を聞くことで、また正しい方向に戻れることを気づかせてくれる。私も人生に迷ったときには、この作品のことを思い出すぐらい、とても重要な作品です。ケニー・ウォンさんと初めて共演し、一緒にボートを漕いだ特別な作品でもあるので、『九龍城寨之終章(原題)』を楽しみにしている『トワイライト・ウォリアーズ 決戦!九龍城砦』のファンの方には是非観てほしいです。

── ちなみに、ケニーさんとは先日撮影が終了した『九龍城寨之終章(原題)』など、別の現場で『逆流の男など』について語り合ったことはありますか?

正直言うと、彼とは過去の作品を振り返るというより、むしろ未来の話をすることが多いです。「これからどんな仕事があるか?」という話題から、お互いにサポートしたり、励まし合おうという話になることが多いです。私が『終章』撮影していたときも、彼は台湾ドラマにも出演していたと思いますが、彼からオフの日は旅行に行ったり、自転車に乗ったりして、満喫している話も聞きました。

人生に迷う男たちが逆流に立ち向かう『逆流の男たち』。

本作は、ケニー・ウォンさんとトニー・ウーさんの初の共演作でもある。

── そんな前作のファンの期待も高まる『九龍城寨之終章(原題)』ですが、いま言える範囲で、今回の十二少は、前作からどのように成長したといえますか?

完成した映画を見てもらえると分かると思いますが、今回の十二少は精神的にかなり成長しています。自分を取り巻く厳しい現実に立ち向かわないといけないので、夢を見ているばかりではいられません。しかも、厳しい現実が容赦なく襲いかかってくることを、身をもって体感します。私はふたたび十二少を演じながら、このことをいちばん強く感じました。いつも髪型を気にするほど、見栄えにこだわる十二少ですが、今回はかなり悲惨なことに……って、これ以上は言えませんね(笑)。

── 前作と比べて、「城寨四少」メンバーの関係性や絆の深まりはいかがでしたか?

前作から4年ぐらい、かなり期間が空いての撮影だったので、最初は4人とも前作の関係性やコンディションを取り戻せるか心配していました。でも、それは違いました。クランクイン初日に、衣装を着た4人がセットに立った瞬間、すべての感覚が戻ってきたようでした。そして、前作と同じように、毎日みんなお互いを支え合いながら撮影を進めていきましたが、前作と違って、とてもこなれている感がありました。それぞれのキャラクターについても、より深く理解して演じていたように思います。

── 四仔役のジャーマン・チョンさんがクランクアップ後に、自身のインスタでみなさんの写真をアップされていましたね。

クランクアップは8月15日でしたが、あの写真はちょっと前。撮影がかなり終盤に差し掛かったとき、アクションチームとご飯を食べに行ったときに撮ったものです。とても楽しくて、みんなで「今日もお疲れさま! 明日も頑張って、最後まで撮り切ろう!!」という気持ちで撮った写真です。

── ケニー・ウォンさん演じる虎兄貴との再会は、いかがでしたか?

今回のストーリー上でも、二人の関係性がより深いものに、より特別な感じになっているので、彼のことを見つめると、十二少が本当のお父さんを見つめるような感覚になって……。うーん、ネタバレせずに言うのがすごく難しいのですが、今回の2人の関係性、作品を楽しみにしているみなさんには、とても理解してもらえると思っています。 しかも、とても衝撃的な展開が待ち受けているのですが、私も仕上がりをとても楽しみにしています。あんまり、話せなくてすみません……。

── 前作に続き、アクション監督を担当している谷垣健治さんによるアクションは、いかがでしたか?

個人的な感覚ですが、今回のアクション撮影は、前作に比べて、そこまで大変だったとは思っていません。というのも、今回はケンジさんが何の迷いなく、アクションシーンをコントロールされ、「どのように俳優を守りながら、激しいアクションを作るか?」ということを考えられていたからです。だから、私はとても楽しみながらアクションすることができました。それぞれのキャラクターのアクションもそれぞれ特徴があって、より記憶に残るものになっていますし、すべての俳優が輝いていると思いますよ。

── 8月15日にクランクアップを迎えた直後の心境は、いかがでしたか?

4ヶ月程度、撮影でずっと集中していたぶん、クランクアップした瞬間、虚しさに包まれて、目標を失ったような感覚になりました。それまでは「明日はどのシーンを撮るか?」「明日は休みだ!」っていうことが分かっていたのに、いきなり「明日、何をしたらいいのか?」っていう気持ちになったのです。実際は、撮影直後にボス(ルイス・クー)のコンサートに出演するなど、やるべきことはいっぱいありましたけど(笑)。早く「城寨四少」で一緒に食事に行ったりして、少しリラックスする時間ができたらいいなって思います。

── 俳優仕事で多忙な中、今月開催される「アジア競技大会 愛知・名古屋」に向けての野球の練習は、どうされていたのでしょうか?

『終章』のクランクイン前は、週に4、5日ぐらい練習していましたが、撮影が始まったら俳優業を優先しました。映画のためのアクション訓練もありましたが、もしケガしてしまったら、野球と映画の両方に影響してしまうので、とても複雑な気持ちでした。今は時間があれば、練習に行っています。できるだけ早く、チームメンバーに追いつきたい。今回はスタメン(先発)でないかもしれませんが、チームというものは、いろんな役割の人がいることで成り立ちます。たとえ、バックアップ(補欠)でも、自分がすべきことを精一杯やりたい。できるだけ練習して、試合に出るチャンスがあれば、内野手として、しっかりプレイする。これがアスリートとしての今の心境です。

── そんな「アジア競技大会」への意気込みを教えてください。

ちょっと緊張していますが、やっぱりワクワクしています。年末に、もう一つ大会があるかもしれませんが、私が香港代表として大会に出るのは、これが最後になるかもしれません。そういう意味でも、かなり複雑な気持ちです。これは年齢の問題ではありません。私はこれまで、幸運にも俳優業と野球を両立することができましたが、さすがにそのバランスを取ることが難しくなってしまいました。また、長年一緒に頑張ってきたチームメイトたちも年内をもって引退します。だから、チームメイトと悔いが残らないように、いい思い出になるよう、精一杯頑張りたいと思います。

── 『ヒット・エンド・ファン! 臨時決闘』『最初の半歩』に続き、『逆流の男たち』と、2026年の日本ではトニーさん出演作が3作公開されることになります。いわば、日本における香港映画のアイコンになったといえる状況を、どのように思われますか?

香港映画を日本の観客に届けられることを本当に感謝していますし、すごく嬉しいです。これからも自分が携わった香港映画を、日本に届けられる機会があればいいなと思っています。まだ海外の映画館で、自分の映画を観たことがないので、いつか日本の映画館で、自分の出演作を観てみたいです。じつは、友人に誘われたこともあり、今度初めてスキーをするために日本に行く予定があるんです。このときがチャンスかもしれません(笑)。とはいえ、私は香港映画を代表しているわけではありません。たまたま、みなさんの応援をいただけたことがきっかけになっているだけなので、これからも全力で頑張っていきたいと思います。まずは『逆流の男たち』を応援してもらえると嬉しいです。

Profile

トニー・ウー

1992年4月16日生まれ、香港出身。野球選手としても活躍し、2016年には映画『最初の半歩』で俳優デビュー、香港電影金像奨の最優秀新人賞を受賞。'22年の映画『七人樂隊』などに出演。『トワイライト・ウォリアーズ 決戦!九龍城砦』の十二少役で大ブレイクを果たした。

逆流の男たち

Information

これといった将来の目標もなく、日々の仕事をこなすだけの通信会社に勤める3人のエンジニア、“龍<ロン>”(フランシス・ン)、“淑儀<ソクイー>”(プーン・チャンリョン)、“威廉<ウィリアム>”(トニー・ウー)。ある日、社内で起こったリストラ騒動に巻き込まれてしまった彼らは、ひょんなことから会社がスポンサーを務める「香港ドラゴンボートレース」に出場することになる。しかも、そのメンバーの中には、同僚をクビにしたことで彼らと対立していた上司・“黎<ライ>”(ケニー・ウォン)も含まれていた。しかもこの4人は、プライベートでもさまざまな問題に直面していた——。

11月6日(金)より全国順次ロードショー

公式サイト

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取材、文・くれい響 ©2018 天下一電影製作有限公司/電影製作有限公司/香港特別行政區政府 保留所有版權

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