「以前から新感線さんの舞台をいちファンとして拝見していたので、出演のお話をいただいたときはびっくりして立ち上がっちゃいました」
そんな言葉で出演の喜びを語ってくれた久保史緒里さん。久保さんが演じるのは、歌と踊りで神を降ろし予言を伝える巫女・みさき。
「今回は闇の稼業を描いた物語なんですが、みさきはその世界も理解しながら、人間として純度が高いままいる。すごく大人びた人物だと思います。抱えた想いを言葉ではなく歌で表現する役なので、そこは見どころにできたらなと思っています」
所属する乃木坂46の中でも高い歌唱力と透明感のある歌声に定評がある。本作の製作発表では、これまで歌ったことがないような楽曲を歌わせたいという、演出家・いのうえひでのりさんの思惑も語られた。
「確かに今まで歌ってきたものとはまったく違うロック調で、当初は歌い方も変えた方がいいのかなと思って挑んだんです。でも、稽古場でみさきとしている時間が長くなってきて、みさきの心を乗せてちょっと繊細に歌うと、逆に意味が生まれたりするのを感じて。今はまだ自分の中で正解を決めずにこうかなと思ったことを全部試している状況です」
そう語る声のトーンは穏やかだけれど、簡単なことではないはず。
「今回の稽古に入る前に、すべてを預ける気持ちで飛び込もうと思っていましたので。勇気はいるし、怖さもあれば、一回やってみて違うなってことがしょっちゅう。頭では理解できていても、自分に表現する力がなくて違うものに見えてしまうことが結構あって。毎回落ち込むし、すごく丁寧にご指導いただいているのに、応えられない自分に腹が立つし悔しいし、私のために時間を使わせてしまうのが申し訳ないし…。そこが今一番苦戦しているところです」
それでも「稽古場にいることが楽しいし、稽古場に向かう道のりも前向きな気持ちでいられている」そう。
「それはたぶん新感線のみなさんが作ってくださる空気感のおかげだと思っています。古田さんがお芝居でちょっとクスッとさせてくれたり、高田聖子さんが話しかけてくれたり。稽古でも、心優しい半兵衛だった古田さんが、銀次さんになった途端別人のようになるんですよね。その瞬間を間近に見られて、ありがたい環境だなと思っています」
近年、大河ドラマでの活躍など、その演技力にも注目が集まる。
「毎回、監督さんや演出家さんの思い描くものを100%理解して応えたいんです。まだできてないことが多いですが、それが表現できたときがとても嬉しいんですよね」
2023年劇団☆新感線 43周年興行・秋公演 いのうえ歌舞伎『天號星(てんごうせい)』 口入れ屋の裏で、悪党を始末する“引導屋”を営む半兵衛(古田)は、じつは気弱で温厚な人物。しかしあるとき、金さえ積めば誰彼構わず殺す、殺し屋の銀次(早乙女太一)と体が入れ替わって…。作/中島かずき 演出/いのうえひでのり 出演/古田新太、早乙女太一、早乙女友貴、久保史緒里、高田聖子、粟根まこと、山本千尋、池田成志ほか 東京公演/9月14日(木)~10月21日(土) THEATER MILANO‐Za S席1万4000円 A席1万1000円 ヤングチケット(来場時に22歳以下)2200円 サンライズプロモーション東京 TEL:0570・00・3337 大阪公演/11月1日(水)~20日(月) COOL JAPAN PARKOSAKA WWホール 全席指定1万4800円 ヤングチケット(来場時に22歳以下)2200円 キョードーインフォメーション TEL:0570・200・888 http://www.vi-shinkansen.co.jp/tengohsei/
くぼ・しおり 2001年7月14日生まれ、宮城県出身。乃木坂46の3期生。32ndシングル『人は夢を二度見る』でWセンターを務めた。俳優としても活躍しており、近作に舞台『桜文』、映画『リバー、流れないでよ』など。9/10よりWOWOW 連続ドラマW『落日』が放送開始。
ワンピース¥96,800(CO|TE/IZA TEL:0120・135・015) その他はスタイリスト私物
※『anan』2023年9月13日号より。写真・小笠原真紀 スタイリスト・伊藤舞子 ヘア&メイク・宇藤梨沙 インタビュー、文・望月リサ
(by anan編集部)