指原莉乃「業界全体の中で一番クリーンな環境にしてあげたい」 アイドルプロデュース論

エンタメ
2023.08.25
=LOVE(イコールラブ/通称イコラブ)、≠ME(ノットイコールミー/通称ノイミー)、≒JOY(ニアリーイコールジョイ/通称ニアジョイ)という、3組のアイドルグループを手がける指原莉乃さん。トップアイドルを経験した彼女ならではのプロデュースへの想いとは?
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――=LOVEのプロデュースをスタートした際は、どういった点を意識していたのでしょうか?

最初に秋元(康)さんからお話をいただいたのは、私が23歳の頃。まだ現役でグループに所属していた時期でした。遠い将来にそういったことができたらいいなとは思っていたものの、こんなに突然話が来るとは思っていなくて。でも当時の私は“秋元さんに言われたことは断らない”と決めていたので、やってみることにしたんです。グループを作る時に決めていたのは、コンサートが楽しい子たちにしたい、ということ。私自身は実力面で足りない部分も多かったので、歌や踊りがしっかりとしたアイドルを作りたかったんですよね。

――指原さんにとって、アイドルの活動のメインはコンサート?

小学校の頃に初めて後藤真希さんのコンサートを観て以来、年に何回も足を運ぶようになったんです。その間に学校へ行けない時期もあったけれど、生のステージを観ると“ああ、生きててよかった”と思えた。なので、自分も誰かにそう思ってもらえるようなコンサートができたらいいなと思っていたし、自分ができなくなった今はより濃くそう思うようになりましたね。メンバーにも、「人に生きててよかったと思ってもらえる仕事ってそうはないから、すごいことなんだよ」と伝えています。

――イコラブは女性人気が高いグループですが、最初からその支持層は意識していたのでしょうか。

意図していたわけではなく、いつの間にか男性より女性が多くなっていたんです。ライブの観客も今は6:4で女子の方が多く、現場によってはもっと多い時も。日本の女子アイドルでは異例な比率ですね。4thシングルの『Want you!Want you!』という曲があるんですが、映像にK‐POPっぽさを取り入れたら一気に女性ファンが増えて。映像や衣装の可愛さでファン層って変わると実感しました。自分の体感的に、女性ファンの方が“離れない”感覚があるんです。恋愛でも、男性って若い子が出てくるとすぐそっちに行っちゃうじゃないですか(笑)。もちろんメンバーはどんなファンでも嬉しいと思うけれど、女の子が支持してくれることが自信に繋がる部分もあると思います。それに、自分が可愛くなるプロセスを発信することで、ファンの子が「私もやってみよう」と思ってくれるのって嬉しいんですよ。なので、女性ファンの存在が自分磨きのモチベーションにもなっているのかなって感じますね。

――女性人気が高まったことで、強化した部分はありますか?

性別は特に気にしてないですね。ファンが増えることを目標にしているので、常にその時にベストな曲を出すことを考えています。ただ、そうしていたら歌詞の内容が自然に変わってきたんです。昔は“ボクは君が好き”みたいな男子目線の歌詞が多かったけれど、メンバーの年齢的な成長に合わなくなってきて。みんな大人になってきているから、女性目線の恋の歌の方がいいかな…と切り替えたら女性ファンがさらに増えた。その後も女性目線のバラードを出すと毎回ちゃんと女性ファンが増えるので、面白いなって思います。

――指原さんの気持ちや時代を反映するというより、メンバーたちの成長に合わせた歌詞なんですね。

本当にそうです。メンバー目線で本人たちにより近い歌詞にしようと思ったら、共感してくれる女性が多かったという感じですね。

――そうやってメンバーに寄り添う姿勢は、指原さんのプロデュースの特徴のような気がします。

アイドル業界全体の中で、一番クリーンな環境にしてあげたいなっていつも思っています。イコラブのメンバーにはその気持ちが伝わっているんじゃないかな。

――アーティストを尊重し大切にしている姿勢が見る人にも伝わって、女性ファン獲得に繋がっているのかもしれないですね。

どうなんでしょう。でも、女性タレントやアイドルって“この子、無理して頑張ってるのかな”と思われがちじゃないですか。実際そうではなくても、そう見えちゃう子がすごく多い気がして。グラビアやらされてる、とか。私は「水着はやりたい子だけやります」と宣言しているし、他の仕事も「こういう仕事があるけど、やってもいい?」って毎回必ず確認するんですよ。やっぱり人によって合う合わないはあるので、そこで無理をさせるとストレスが溜まっちゃう。どんなことがやりたいのか、何が苦手なのかをヒアリングして、できるだけそこに合わせるようにはしています。たまに他のアイドルグループの子に「私もこんなふうに大切にされたかったです」と言われると、嬉しい半面、切ないなって気持ちにもなります。

――そこまで心を配る背景には、どんな想いがあるのでしょうか?

やっぱりメンバーのご家族はいろいろと心配だと思うんですよ。大事なお子さんの人生を預かるわけだから、その心配をなるべく取り除きたいなとは思ってます。そこまで考えすぎない方がいいよってよく言われるんですけど…。

sashihara

さしはら・りの 1992年11月21日生まれ、大分県出身。2008年よりAKB48やHKT48のメンバーとして活動し、’19年にグループを卒業。現在はバラエティ番組やCMなどで活躍するほか、自らの経験を活かしアイドルグループ「=LOVE」「≠ME」「≒JOY」のプロデュースを手がける。

equal love 指原莉乃プロデュースのアイドルグループとして2017年に結成し、同年9月にシングル『=LOVE』でCDデビュー。現在は10人組で活動しており、14枚目のシングルとなる『ナツマトペ』が絶賛発売中。通称はイコラブ。

※『anan』2023年8月30日号より。取材、文・真島絵麻里

(by anan編集部)

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