
刑事、記者、そして生存者── 。異なる立場から社会巨悪の真相に立ち向かう男たちを繊細に描く重厚なクライムミステリー、Prime Originalドラマシリーズ『犯罪者』。トリプル主演の高橋一生さん、斎藤工さん、水上恒司さんに、作中で描かれる3人の関係性やそれぞれの考えるヒーロー像について伺いました。
ドラマ『犯罪者』
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巨大組織の陰謀に市井の人々が挑む!
白昼の駅前広場で、4人が殺される無差別通り魔殺人事件が起こる。唯一生き延びた建設作業員、所轄の刑事、その旧友のフリーライターが、危険を顧みず、社会の闇に立ち向かう。その間に、乳児にある奇病が発症していた。通り魔事件との接点とは。監督は映画『エゴイスト』の松永大司。7月17日よりPrime Videoで世界独占配信。
@PROTX
── 演じた役をどう捉えましたか。
高橋一生(以下、高橋) 相馬は、社会という枠に入っていかねばならないことへの違和感やある種の諦観と、いろんなものを抱え悶々としながらも、志は失っていない。そんな刑事です。
斎藤工(以下、斎藤) 鑓水は柔和なキャラクターのつもりだったのですが、蓋を開けてみたら一番硬派でしたね。
水上恒司(以下、水上) 修司は3人の中での起爆剤というか、事態を動かすきっかけを作る青年です。(監督の)松永さんからは「大人のような子ども」というヒントをいただいて。大人びようとするほどに、相馬と鑓水の前では、どんどんメッキが剥がれて子どもになってしまう様が、演じていて面白かったです。
── 記者会見では、監督から3人の関係について「工くんが的確に表してくれた」という関係性が明かされましたね。
斎藤 (相馬から見て)元カレ、今カレですね(笑)。
高橋 相馬が修司を連れて、鑓水の部屋の玄関を入っていく時、元カレに今カレを紹介するようで、ちょっと複雑な気持ちになりました(笑)。3人という奇数の数字が不思議な関係性を作り出しているのかもしれないですね。
斎藤 3人の三角形がどんなリズムで変わっていくのか、考えながら現場に臨んだんですけど、それぞれの想いが繊細に入れ替わり、3人で一つの生命体のようなものになっていくという不思議な体験をしました。
高橋 この3人が集まると、大人から少年になるんです。『犯罪者』は3人の少年が憤りつつも、“生きるとは” “社会とは”と考えながら、非常に純度の高い熱量でぶつかっていく、ロードムービーのような気がします。
── 隠ぺい工作で次々と人が殺されていく恐ろしい状況にもかかわらず、3人が悪を正そうと、ヒーローのごとく巨大な権力にまで切り込めたのはなぜでしょう。
高橋 この3人は、延々とバトンを渡し続けているんです。3人同時に走っていたら、潰されてしまえば終わり。そうならないようギリギリのところで、バトンを渡しているから、巨悪に立ち向かっていけるだけの胆力がついたのだと思います。それと“後戻りしない”ことが、ヒーローの定義の一つにある気がして。進むも地獄、戻るも地獄ならもう行くしかないだろうと。後世に名前が残るわけでもないのに、それができたのも、相馬、鑓水、修司の3人が集まったからこそでしょう。
水上 この3人は、誰かに褒められたいとか、承認欲求を満たすために行動していないんですよね。あくまでも自分がそうしたいからする。結局、一生懸命生きることが、誰かに何かしらの影響を与えられるのではないかと。僕であれば、それは芝居を始めた時から現在まで、勇気なり、元気なりでした。でも、みんなヒーローになろうと思っていないじゃないですか。むしろ、なろうとする奴らはヒーローになれないんだと思います。
斎藤 一生さんも出られた『シンゴジラ』で、主人公は誰なんだということが話題になりましたけど、それが日本におけるヒーロー像の一つかと思います。絶対的な一人の存在がすべてを解決するというよりは市井の人、『犯罪者』であれば、工場や企業で働く一人ひとりが、誰が為に突き動かされた結果、相対的なヒーローになっていくのではないでしょうか。
── キャラクターを離れ、俳優同士、助けられた面は?
高橋 工さんの知的な視点、クールに見えて熱いものを内包しているところは、すごく素敵です。恒司さんは、わからないことをわからないままにしないんです。それってものすごく強い。「なんで?」と言っちゃいけないのはなんで? と思っているんだろうなって。わかった気になることほど危ういことはないと、恒司さんの純粋さに触れて改めて思いました。
斎藤 お二人は、問いの矢印が自分に向いていないんですよね。監督も含め、現場でディスカッションを重ねながら、どうしたら作品そのものが底上げされるか、それぞれが考えて役割を果たしていらっしゃいました。そんなふうに引っ張ってくださったお二人は、僕が思うヒーロー像にめちゃくちゃ当てはまります。
水上 この作品への参加を決めた大きな理由は、一生さんと斎藤さんの存在ですし、お二人が僕にとってのヒーローなのは当たり前すぎるので、割愛させてもらいます。
斎藤 ふふっ(笑)。
水上 ある助監督が、監督からカメラ移動を任されて緊張していたんです。そのシーンが、物語全体のターニングポイントになる大事な3人のグループショットで。だいたいの人は喋っている役者を撮りたくなるところを、その助監督は聞いている人を捉えようとしていたのがカッコよかったです。関西弁で冗談を言うだけの人ではなかった(笑)。
── キャストに限らずスタッフ一人ひとりが、制作を支えるヒーローであると。
水上 そういうことです! 一生懸命な姿に僕もちゃんとしなきゃって思わせてもらいました。
HEROE’S POINT
相馬亮介
cast 高橋一生

不正義を許さない信念が社会の不条理を暴く
いかなる不正も嫌う潔癖な人間性ゆえに、同僚から嫌われ、警察組織で孤立している刑事。しかし、能力は高く、不愛想ながらも、被害者家族に寄り添う優しさもある。
鑓水七雄
cast 斎藤工

優れた取材力と人脈で、陰謀を白日の下に晒す
相馬が修司をかくまうために頼ったフリーライター。普段は飄々としているが、情報収集力は抜群。前職のテレビマン時代のパイプも活かしながら、事件究明に迫る
繁藤修司
cast 水上恒司

不器用ながら実直な姿が陰謀に翻弄される人々の勇気に
建設作業員として働く、通り魔事件の唯一の生存者。過去の経験から、警察に強い反発心を抱き、相馬に対して素直になれない。しかし、本来は熱く、真っすぐな性格。
Profile
高橋一生
たかはし・いっせい 1980年12月9日生まれ、東京都出身。映像から舞台まで幅広く活躍。近年の主な主演作に映画『ラプソディ・ラプソディ』、ドラマ『リボーン ~最後のヒーロー~』など。
斎藤工
さいとう・たくみ 1981年8月22日生まれ、東京都出身。クリエイターとしても活動し、長編初監督作『blank13』は国内外で高い評価を受けた。出演映画『キングダム 魂の決戦』が7月17日公開。
水上恒司
みずかみ・こうし 1999年5月12日生まれ、福岡県出身。ドラマ『中学聖日記』で2018年デビュー。映画『TOKYO BURST-犯罪都市-』が公開中。主演映画『本当にあった話(の話)』が10月2日公開。
斎藤さん・ジャケット ¥69,300 シャツ ¥49,500 パンツ ¥38,500(以上スズキ タカユキ TEL. 03-6419- 7680) その他はスタイリスト私物
水上さん・ジャケット ¥738,100 カーディガン ¥479,600 パンツ ¥277,200 シューズ ¥214,500(以上ZEGNA/ゼニア カスタマーサービス TEL. 03-5114-5300)
写真・牧野楽人(TRON) スタイリスト・小林 新(UM/高橋さん) 三田真一(斎藤さん) 能城 匠(水上さん) ヘア&メイク・田中真維(MARVEE/高橋さん) 佐藤こもも(斎藤さん) Kohey(水上さん) 取材、文・小泉咲子
anan 2503号(2026年7月8日発売)より

































