原作ドラマをリスペクトしつつも、自分の中でのリアリティを重視したい。
「ギャップが面白いというのが第一印象でした。マフィアの非情なシーンもありつつ、物語の中心となるクムガプラザの場面はコメディタッチ。かと思えば終盤は、そこまでやる? っていう壮絶な展開もありますし」
ドラマ主演のソン・ジュンギさんのイメージが強いヴィンチェンツォ役だけれど…? そう水を向けると砕けた表情に変わり、「それがめっちゃ難しいんです」と笑わせた。
「2.5次元作品でもそうですが、モノマネにはなりたくないんです。原作をリスペクトしつつ、舞台化するのに僕が選ばれた意味が絶対にあると、自分の中でのリアリティのほうを重視してきました。先日、韓国を訪れて、ドラマの制作側の方のお話を伺いまして、そこで『作品の世界観は大事だけれど、ミュージカルはあなたたちのものだからこっちを意識しなくていい』と言っていただき、すごく気が楽になりました」
完璧なダークヒーローではなく、ヌケていたり周りに翻弄されたりするチャーミングなキャラクターは、関西弁の軽妙なトークで、さまざまな現場で潤滑油となっている和田さんにぴったりの役柄かもしれない。
「じつは結構人見知りです(笑)。ただ、できるだけ作品の中で嘘をつきたくないと思うと、共演者との距離は早く縮めておきたい。本当は苦手だからこそあえて、みたいなタイプです。今回はとくに現場の雰囲気が舞台にのってくる気がしますし」
渡韓して、現地の景色や空気を実際に肌で感じたことも、作品を立ち上げる中で大きな参考になる、とも。
「ヴィンチェンツォが立っていた橋から見える景色とか、その高さとか、台本では想像できなかったことがリアルになったんですよね。あと、スタジオドラゴンの方から劇中で実際に使用したジッポーライターをいただいたことも大きいです。毎日持ち歩いていますが、ジッポーをいじる彼の癖を自分の癖にしていければ、それだけリアルに見せられる気がして。まあ自分が役にノッていくための完全なる自己満足なんですけど」
ミュージカル『ヴィンチェンツォ』 韓国系イタリア人のヴィンチェンツォ(和田)は、ソウルのうらびれた雑居ビルの地下に隠された大量の金塊を入手するため渡韓する。しかしビルは大企業の手に渡っていて…。兵庫公演/AiiA 2.5 Theater Kobe 8月11日(金)~13日(日) 東京公演/日本青年館ホール 8月18日(金)~21日(月) 大阪公演/サンケイホールブリーゼ 8月25日(金)~27日(日) 原作/ヴィンチェンツォ(製作/スタジオドラゴン 脚本/パク・ジェボム) 脚本・作詞/三浦香 演出/吉谷晃太朗 出演/和田雅成、富田鈴花(日向坂46)、佐藤仁美ほか 一般1万1000円 ミュージカル「ヴィンチェンツォ」公演事務局 TEL:03・6280・4670(平日11時~18時) https://vincenzo-musical.jp © 2021 Studio Dragon Corporation/MUSICAL VINCENZO 2023
わだ・まさなり 1991年9月5日生まれ、大阪府出身。主な出演作に舞台『刀剣乱舞』、ドラマ『悪魔はそこに居る』(Paravi)など。放送中のドラマ『その結婚、正気ですか?』(TOKYO MX)に出演。
コート¥88,000(DIET BUTCHER TEL:03・5728・4765) シャツ¥33,000(ANARCHIST TAILOR/HanxSTORE TEL:03・6677・7741)
※『anan』2023年8月16日‐23日合併号より。写真・小笠原真紀 スタイリスト・石橋修一 ヘア&メイク・西田聡子 インタビュー、文・望月リサ
(by anan編集部)