アルバムの中で、これまでの出会いを形にできたらなと。
「比較的早い段階からチームのみんなでコンセプトを考え、曲作りを始め、レコーディングしていきました。何よりまず、ファンの方たちに歌でちゃんと『ありがとう』を伝えたかった。ライブとかアルバムとか、いろんな形で石崎ひゅーいと音楽の道を一緒に歩んでくれた人たちだから。あともうひとつ、ここまで来た道で大切なのがたくさんのいろんな出会いで、ずっとそれを音楽にしてきた気がしていて。そういう縁を、形にできたらなと思ったんです」
というのは、今回のアルバムでは、自身の曲のみならず、槇原敬之さんや尾崎世界観さん、長澤知之さんから楽曲提供を受けている。
「もともと自分の曲じゃなきゃ、みたいな発想はなかったんですが、やってみて、自分はこういうことが好きなんだなと思いました。自分じゃない誰かのアイデンティティみたいなものを取り込んで発信するのが、結構性に合っているというか。しかも、みなさんからいただいた曲がどれも、僕を本当に想って書いてくれた歌詞だったりメロディだったりして、本当に嬉しかった。レコーディングしながら、あらためて僕という人間は、この人たちの作るものだったり、人間性というものに影響されて形成されたんだと実感して、お願いしてよかったなと思いました」
槇原さんの手がけた「邂逅」は、聴き心地のいい優しいポップス。
「僕のアレンジをずっとやってくれているトオミヨウさんを通して仲良くさせていただいているんですが、子供の頃から普通に聴いていた憧れの存在でもあって。今回ダメ元で声をかけさせていただいたら、快く受けてくださって。まさに自分がこのアルバムで言いたかったことが歌になっていてすごいなと思いました」
尾崎さんの「あたしは恋をしている」は、女子目線で書かれた恋の歌。
「以前から僕の曲でコラボさせてもらったり、逆に僕が世界観の曲を歌ったりしているし、悩んだときに相談させてもらったり、本当に近しい間柄で大切な友人です。絶対に書いてもらいたいとお願いしたら、いきなりLINEでiPhoneか何かで録ったものが送られてきて。その感じも世界観ぽくて好きでした」
長澤さんの「スパノヴァ」は、繊細さと力強さを感じさせる楽曲。
「長澤くんのライブを観たときに、この人のようにギターを弾いて歌えるようになりたいと思ったんです。そこから彼のギターの弾き方を真似したり、すごい師匠のような存在。曲を書いてほしいって言ったら、その場で書き始めてできたのがこれで、やっぱり天才だなと思いました」
自身の曲でも、これまでにないタイプのサウンドに挑戦している。
「そこはすごく意識していますね。なんか凝り固まっていたくないんです。新しいものを作りたいし、新しいことを経験したい。僕らしさ、みたいなものはどうでもいいというか、そこは壊していっていいんじゃないかって思っているんですよ」
初バラエティ番組出演の『人志松本の酒のツマミになる話』で「売れたい」と発言したのも大きな話題に。
「石崎ひゅーいの作った音楽を、もっとたくさんの人に聴いてもらいたいんです。もともとはあんまり欲がない人間ですが、必要なものだと思うんです。もっと自分自身と戦ったりいろんなことに挑戦していかないとなって感じです」
デビュー10周年記念アルバム『宇宙百景』は、菅田将暉へ提供した「虹」のセルフカバーなど全11曲を収録。7月26日発売。【初回生産限定盤(CD+BD)】¥5,500 【通常盤(CD)】¥3,300(Sony Music Labels)
いしざき・ひゅーい 1984年生まれ、茨城県出身。シンガーソングライターの傍ら、俳優としてドラマ『ジャパニーズスタイル』などに出演。菅田将暉の「さよならエレジー」ほか楽曲提供多数。7月22日にビルボードライブでライブを開催。
※『anan』2023年7月26日号より。写真・小笠原真紀 取材、文・望月リサ
(by anan編集部)