イロモノではなく、音楽性に優れたバンドに進化した。
「どのタイアップ曲も、わりと曲調の縛りが多かったんです。ドラマ『完全に詰んだイチ子はもうカリスマになるしかないの』の主題歌を作る際は、『パンク調にしてください』というオーダーがあって『超最悪』が生まれました。こういう曲をジェニーハイで書くつもりはなかったけど、それが功を奏して、いい意味で新しいジャンルの楽曲が揃いました。そこに不思議な構成の『クラシックハイ』など実験的な新曲を加えた結果、1stアルバムのようなテンション感の作品に仕上がって。僕らの新しい原点という意味もありますし、新垣(隆)さんはクラシック出身なので、このアルバムタイトルがピッタリだと思いました」(川谷絵音/Gt)
「今までと同じ流れを汲んでいるようで、実は全然ちゃうかったりするので、何度も聴いていただけるアルバムやなと思います」(小籔千豊/Dr)
「今作は(中嶋)イッキュウさんの魅力がすごい出ていて。ダメなことなんですけど……恋心的なものも芽生えたといいますか。イッキュウさんのために頑張ろうって初めて思いました(笑)」(くっきー!/Ba)
バラエティに富んだ12曲の中で、3人にお気に入りの曲を教えてもらうと、意外な裏話も聞けた。
「『モンスター』はyamaさんというエグい方が参加してくれて、フェスでご一緒したのも楽しかったですし、MV撮影の時もいっぱいお話できて。曲の完成度と思い出も込みでお気に入りです」(小籔)
「僕は『声雫』ですね。聴いていて綺麗な風景が見えるんです。あと、ベースラインがずっと美しいんですよ。演奏中も情景を思い浮かべながら弾けるという、不思議な魅力を持った楽曲ですね」(くっきー!)
「それこそ、『声雫』は映画『ハケンアニメ!』の主題歌として書いた曲だったんです。ただ『曲調的に速い曲がいい』ということで『エクレール』が採用されたんですけど、『声雫』の歌詞をよく読むと完全に『ハケンアニメ!』のことを歌っていて。配信などで映画をご覧になる方は、エンディングで音を切って『声雫』を流したら、また違う見方ができると思います」(川谷)
彼らは今年デビュー5周年を迎えた。楽曲制作やライブを通して、どんな進化を遂げてきたのだろう?
「以前は演奏面で未完成なところが多かったため、構成をシンプルにせざるを得なかった。その分、キーボードとギターで音の隙間を埋めて、歌メロを複雑にすることで楽曲に華を持たせてきました。今はベースもドラムも、やりたい演奏ができるレベルに達してきて。それによってファースト・アルバムからキーボードのレベルは変わっていないのに、昔と比べて落ち着いて聞こえるのは、リズム隊が目立つようになった証し。バンドとしてアンサンブルに変化が起きたことで、独自のグルーヴが生まれた。もうイロモノバンドではなくて、他とも引けを取らない純粋に優れたバンドですね」(川谷)
3rdフルアルバム『ジェニークラシック』全12曲は、デジタル配信中。パッケージ商品は、7月12日(水)に発売予定。【完全生産限定盤(CD+限定Tシャツ)】¥6,050 【初回生産限定盤(CD+BD)】¥4,950 【初回生産限定盤(CD+DVD)】¥4,400(ワーナーミュージック・ジャパン)
ジェニーハイ 川谷絵音(Gt)がプロデュースを務め、中嶋イッキュウ(Vo、Gt)、小籔千豊(Dr)、くっきー!(Ba)、新垣隆(Key)がメンバーとして名を連ねる異色バンド。7月から自身最大規模&本数の全国ツアー「ジェニーハイ TOUR 2023『クラシックファイブ』」を開催。
写真右から、
小籔さん・ブルゾン¥275,000(ユーゲン/イデアス TEL:03・6869・4279) シャツ¥56,100 パンツ¥74,800(共にNaNo Art nano-art.design)
川谷さん・ジャケット¥61,600 パンツ¥56,100(共にNaNo Art) シャツ¥52,800(エイク/エイクショップ info@eyck-tokyo.jp) その他はスタイリスト私物
くっきー!さん・ジャケット 参考商品(ジャケット/ブランデット東京 miyamoto@miyamotospice.com) キャスケット¥13,200(アース/オーバーライド 神宮前 TEL:03・6433・5535) その他はスタイリスト私物
※『anan』2023年7月5日号より。写真・岩澤高雄(The VOICE) スタイリスト・市野沢祐大(TEN10) インタビュー、文・真貝 聡
(by anan編集部)