幸せになるのを躊躇しつつも幸せを追い求める琴乃を応援したい。
「私自身はガチ恋した経験はないんです。芸能界に入る前も憧れの存在はいたけれど“ガチ恋”とはまた違いました。それでも初めて原作を読んだ時、推しにとことんひたむきな琴乃に感情移入しました」
琴乃が推すのは3人組動画配信グループ「コズミック」のメンバー、コスモ(山下幸輝)。ただし雛姫(香音)のように推しへの想いが強すぎる“ガチ恋”勢を軽蔑しており、本人に迷惑をかけない“本物のファン”でいるというのが琴乃の流儀。
「対コスモくん、対友達、対仕事仲間……琴乃の人間関係の築き方が私とすごく似ていて。また原作を読み進めるにつれ“琴乃を応援したい!”と思いました。心で感じたことを頭で考えてから行動できるところ、ヒステリックになってもあとで相手に謝れるところ、“ありがとう”とちゃんと言える人間性が好きです」
そんな琴乃もコスモに“沼る”がゆえに感情の起伏は日々増幅。コミックではその目まぐるしく移り変わる、狂気じみた表情や言動が象徴的。
「確かに過激ですよね(笑)。でも表の顔と裏の顔は誰にでもあるはずで、琴乃もそうならざるを得なかったんだろうなと。撮影前日には翌日撮影するシーンの琴乃を原作で確認して、なるべく自分が受けた印象のまま演じるように心がけました。なので、私の顔も原形をとどめていないと思います(笑)。編集や音楽もあいまってドラマでは原作とはひと味違う表現を楽しんでいただけるはず」
現在ドラマは折り返し地点にあり、最終回に向けて物語は佳境に入る。
「コスモくんとリアルで対面し、日に日に琴乃が琴乃としていられなくなる。喜怒哀楽、あらゆる感情が極限に達します。私自身も本番が近づくにつれ手の震えが止まらなくなったり、目の焦点が合わなくなったり。感情が極みに達するとどうなるか、身をもって体感しました。余談ですが、感情の極みを演じる作業はダンスに近いんです。サビで魅せたい時はAメロBメロの表現をあえて抑制したりして逆算するのですが、お芝居もそれと同じでリズムが大切で。……最終回まで見どころはたくさんありますが、最終的に琴乃がどんな幸せを手にするか、見届けてほしいです。彼女は“自分は幸せになるべき人間ではない”“こんな幸せの形が欲しい”、そんな一見矛盾する考えを両方持っている子で。でも、自分自身が幸せになる道を選ぶことが、実は自分だけでなく周りにいる誰かも幸せにするはず。“琴乃、幸せになっていいんだよ!”という私自身の想いを込めて演じきりました」
推し活やガチ恋の経験がない人にも楽しく、思わず応援したくなるキャラクターが必ず見つかる。それがドラマ『ガチ恋粘着獣』の醍醐味。
「あと、私は琴乃と彼女の親友である奈緒ちゃん(小島藤子)の関係性も大好きで! 友達はいい時も悪い時もそばにいて、時に助言してくれる存在。ドラマ終盤の回の撮影中、奈緒ちゃんが琴乃に想いを伝えるシーンで思わず感極まったこともありました。真摯に向き合ってくれる友達がいるってとても素敵なことで、改めて恋愛が全てじゃないなと。また今回琴乃を演じる中で、何かを推すことは生きる活力になり必ず人生のプラスになると気づけました」
ドラマL『ガチ恋粘着獣』はABCテレビ(関西)・毎週日曜23:55~、テレビ朝日(関東)・毎週土曜26:30~ほかで放送中。1~3話と最新話をTVer、Huluにて見逃し配信中。
いしい・あんな 1998年7月11日生まれ、東京都出身。2012年の俳優デビュー以降、ドラマや映画の話題作に多数出演。6月2日放送・配信のWOWOW連続ドラマW‐30『ああ、ラブホテル~秘密~』第3話に出演。
スタンドカラーオールインワン¥21,870(mizuiro ind/マザーズインダストリー TEL:03・6804・1047)
※『anan』2023年5月24日号より。写真・小笠原真紀 インタビュー、文・門上奈央
(by anan編集部)