聴き込むほど解釈が深まる、10曲のパラレルワールド。
――どんな一枚になりましたか?
SU-METAL(以下SU):これまでのいろんな色の楽曲が入っていて、「なんじゃこりゃ!?」という印象なんですけど、今回は、私たちの写真集にあるパラレルワールドをモチーフにした写真や神話に発想を得ていて、全体的にダークな感じが漂っています。
MOAMETAL(以下MOA):私もシリアスな印象だったんですけど、歌詞に合わせてダンスの振りを作ったら明るくなったり、リズムに合わせたら楽しい振りになったり、印象とは正反対に捉えられたのが新鮮でした。ちなみに今回、初めて10曲分を一気にレコーディングしたんですけど、長時間ブースで一人っきりになるのが寂しくて、ディズニーのフィギュアを並べて歌ったんです。全種類コンプリートできなかった悔しさも込めて歌いました(笑)。
SU:私が特に好きな曲は「Mirror Mirror」。変拍子によって、鏡の中の歪んだ世界が表現されています。Aメロは英語、サビは日本語と、2つの言語を使うことで、鏡の中の自分とリアルな自分が対話している感じが面白いです。
MOA:私のおすすめは「Believing」。時が流れて変わるもの/変わらないものがテーマで、私たちもお互い成長して変わっているんだけど、この関係は変えたくないという気持ちをのせて踊れる曲です。
――SU-METALさんは「Divine Attack‐神撃‐」で初めて作詞に挑戦しましたね。
SU:仮メロを聴いた時に“ここから旅を始めるぞ”というテーマで、自分の言葉を探して歌ってみたいと思えました。
MOA:SU-METALが作詞したことは、風の噂でしか知らなくて。恥ずかしかったのか、反応を楽しみにしてたのか、私に言わなかった気持ちを考えるといじらしい。
SU:反応が「へえ」くらいだったら寂しいから、言わないでいた(笑)。
MOA:そうだったんだ。すごくいい曲だよ。
――封印期間中はどんなふうに過ごしていましたか?
SU:一回、SU-METALという鎧を脱いで音楽から離れてみたんです。でも、気づいたらMOAMETALとスタジオを借りて踊っていたし、一人で歌ったり、改めて音楽が好きなんだって。ただMOAMETALに会いたくて、歌いたくて、踊りたい。そういう新鮮な気持ちで再スタートが切れました。
MOA:10年間、無我夢中に走ってきたけど、くじけそうな時期があったんです。でも、SU-METALに会いたい、踊りたいという感情にまた出合えたことは、これから頑張っていく糧になっていくと思います。封印期間中、忘れられちゃう不安があったんですけど、街でBABYMETALのTシャツを着たり、リュックを背負っている人を見て、戻りたい気持ちが一層膨らみました。
コンセプトアルバム『THE OTHER ONE』は3月24日発売。CD+復元パズルの【完全生産限定盤】(¥5,500)や【通常盤】(¥3,300)、【アナログ盤】(¥4,950)など全5形態でリリース。(TOY’S FACTORY)
ベビーメタル 左・SU-METAL(Vocal、Dance)、右・MOAMETAL(Scream、Dance)。2010年結成。4月1日・2日、ぴあアリーナMMでライブ「BABYMETAL BEGINS ‐THE OTHER ONE‐」を開催。
※『anan』2023年3月29日号より。写真・宮脇 進 スタイリスト・Shohei Kashima(W.INC) ヘア&メイク・aya watanabe インタビュー、文・小泉咲子
(by anan編集部)