2022年放送されたドラマ『やんごとなき一族』をきっかけに、一気に注目度が増した松本若菜さん。どん底期を乗り越えられた、最大の理由とは?


── 松本さんは、ご自身で運がいいほうだと思いますか?

悪いほうだと思います(笑)。子供の頃から、くじ引きで当たったことがなく、じゃんけんで一番になったこともないし…。

── そうなんですね。でも今は役者としてご活躍をされています。運が向いてきたとか、風向きが変わったなどの実感は?

ありがたいことに、昨年放送されたドラマ『やんごとなき一族』に出演してから、いろんな方に見ていただく機会は増えました。それを踏まえて振り返ってみると、くじ引きみたいな勝負運はないけれど、私はずっと人に恵まれているし、“出会いの運”はあるのかなと思っています。

── 確かに、運にもいろいろありますね。出会いの運はどんなところで実感されますか?

そもそも高校時代に、地元のショッピングモールでたまたま芸能事務所の方に出会ったことが、この道に入るきっかけでしたから。また、以前に作品でご一緒したスタッフさんが次の作品にも呼んでくださると、いい出会いだったのかな、と実感しますね。

“遅咲き”の私と、一緒に困難を乗り越えてくれた今の事務所のスタッフたちとの出会いもそうです。22歳で上京し、初めてのオーディションで『仮面ライダー電王』の役をいただいたり、25歳の時には映画『腐女子彼女。』で主演を務めさせていただいたりと、順調のように見えますけど、それ以降は“死んでしまう役”ばかりで、特に30歳前後は仕事も少なくどん底。最悪な状況でした。「いま関わっている仕事が終わったら辞める」とまで母に言ったぐらいですから。

それでもなんとか続けてこられたのは、周りにいる人たちがいつも私を助けてくれて、支えてくれたからだと心から思っています。

── いま低迷期にいて辛い人に、運気を上げるためのアドバイスをするとしたら?

聞いた話なんですが、宝くじがよく当たる人って、当たるといいな、とは思わず、1等を当てる!って自信満々で宝くじを買っているそうなんです。万が一ハズれても、じゃあ次回また買おうって。そうやって、マインドの切り替えがうまい人って、運をもぎ取る力が強いような気がします。

それから、そもそも、宝くじだって買わないと当たらないように、何かいいことを呼び寄せるのにも、自分自身が行動しなければ叶いません。私で言えば、運以前に、自分がそれまでお芝居の経験を積み重ねてきたことが、自信にもなっていて。今、こうやっていろんな作品に出演させていただけるのも、ただのラッキーではなく、デビューから16年の道のりがあったからだとも思うんです。そう考えると、辛い時期も耐えて乗り越えたことが、報われた気がします。

ちなみに、どん底期の33歳の時に、出演した映画『愚行録』で助演女優賞をいただいたのですが、それがその当時の唯一の救いにもなりました。それも、自分自身が行動してきたからだと思っています。

── 説得力がありますね。運気を上げるために、何かしていることはありますか?

叶えたい夢を口にすること。例えば、プライベートよりも今は仕事優先に生きている私の場合は、マネージャーさんに「どんな作品に出たい」「あの役者さんと共演してみたい」「あの監督の映画に出てみたい」と、しょっちゅう言っていて。それがマネージャーさんから他の誰かに伝わることで、そういえば若菜ちゃんがこんな作品に出たがってたな…と覚えてくれていて、叶うこともあるんです。

── すごくわかります。ポジティブな行動ですね。

でも、実は私は、根暗なんですよ(笑)。自分自身で「ハッピーになる!」なんて、堂々と言えなくて。だから冗談めかして「来年にはカンヌ行っちゃってるかもね」なんて、話しているんですが。

── 根暗だなんて、意外です(笑)。

あははは(笑)。逆にネガティブな言葉こそ口にしないようにしているので、根暗は本当なんです。でも、口にしたことが実現した時に“運がいい”と言えるのではないでしょうか。そうやって良い運を重ねていくことで、プラス思考にもなれそうですね。

── なるほど。運はあとからついてくるものというか…。

そうそう、自分の努力があってこその運だとも思います。もうダメかも…と道を諦めかけたどん底期を経て、一昨年ぐらいからいい作品との出合いが続いていて。人生は何が起こるかわからないということを、身をもって体感したので、何かがうまくいかない時にも“今は運が悪い”と自分で決めつけないほうがいいと思います。

── 運だけに生かされているわけではないですもんね。

そう思います。だから私は、うまくいかない時は、運のせいにせずに行動するのですが、その時必ず逃げ場を作ることも大事。失敗するかもしれないけど、いま出せる力を出して、精一杯やろう。それでダメなら、しょうがないと思えるし、諦められるから、って。

Profile

松本若菜

まつもと・わかな 1984年2月25日生まれ、鳥取県出身。現在放送中のドラマ『夕暮れに、手をつなぐ』(TBS系)に出演。松本さん自らが筆を執り、想いを綴った初のフォトエッセイ『松の素』(KADOKAWA)も好評発売中。

シャツドレス¥38,500 ベスト¥27,500 パンツ¥41,800(以上HYKE/BOWLS TEL. 03-3719-1239) ピアス¥51,700 リング、中指¥96,800 人差し指¥148,500(以上PRMAL support@prmal.com) その他はスタイリスト私物

写真・瀬津貴裕(biswa.) スタイリスト・豊島今日子 ヘア&メイク・永野あゆみ 取材、文・若山あや

(初出『anan』2023年3月22日号)

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