沖縄の基地問題に真正面から挑んだ、野木亜紀子さん脚本の最新作。
「まず、沖縄の基地問題を扱ったドラマが制作される、ということが衝撃的でしたね。内容も、実際に沖縄で起きていることがそのままドラマになったというのが正直な感想です。沖縄における基地問題はもちろん知識として知ってはいましたが、僕たちの世代はそれに対してアクションを起こしたことがない人の方が多いんです。なので、このドラマが関心を寄せるきっかけになれば、と期待しています」
実際に沖縄出身である與那城さんにとって、米軍基地は自分が生まれる前から存在するもの。そこに疑問を感じる余地はなかったという。
「車を走らせれば道路の右側か左側にずっと基地が続いている風景は、子供の頃からなじみのあるものでしたし、当時はそれに対して不思議だとも、怖いとも思いませんでした。劇中、松岡茉優さん演じるライターの“キー”が東京から沖縄にやってきて、その上空を轟音を響かせながらオスプレイが飛んでいくシーンがあるんですけど、僕が子供の頃はヘリコプターが飛んでいました。10年程前にオスプレイが導入されましたが、オスプレイになったからといって騒音や危険性がないわけではない。基地も同じで、颯太みたいに基地で働く人もいれば、反対する人もいる。基地のおかげで生まれる需要がある一方で、不利益もある。立場が違えばものの見え方も違いますし、一概には言えないんですよね」
與那城さんが演じた颯太も、基地に反対する家族と、基地で働いて得たお金で家族を養わなくてはいけないという現実との板挟みに苦しむ。
「沖縄というバックグラウンドを持つ僕にとって、颯太が抱える問題はある程度理解できることでもあるし、彼がどういう葛藤を抱えているのかという理解は早かったかもしれないですね。僕にも妹と弟がいるので、妹を大事にしたい気持ちは颯太と同じだなと思いました。ただ、僕自身、颯太を演じる以前は基地問題について知ってはいたけど、身の回りのこととして考えたことはなかったんですよ。颯太を演じたことで、そんなに簡単な問題ではないと再認識しました」
昨年に節目を迎え、関心が高まっている今だからこそ、このドラマにはより意義がある、と語る。
「沖縄という場所でこういうことが起こっている、ということをまずは知ってもらいたいです。ニュースとして見聞きしたことがある人はたくさんいると思うんですけど、それがドラマとしてリアルに描かれることでより深く関心を寄せてもらえるんじゃないかと思いますし、この作品に参加させていただいた一員として、特にJO1のファンや若い世代の方々が関心を持つきっかけになれば嬉しいです。僕一人の力では何も変えられないけど、このドラマを通じて伝えることはできると思うんです。まずはいろんな方に沖縄のことを知ってもらう。そこから動くこともきっとあると信じています」
『連続ドラマW フェンス』 松岡茉優演じる東京から来た雑誌ライター“キー”と、宮本エリアナ演じる沖縄生まれの桜が、沖縄で起きた性的暴行事件の真相を追うクライム・サスペンス。3月19日(日)22時よりWOWOWにて放送・配信スタート。
よなしろ・しょう 1995年10月25日生まれ、沖縄県出身。2020年、JO1としてデビュー。昨年末は『第73回NHK紅白歌合戦』に初出場。4月5日に7枚目のシングル『TROPICAL NIGHT』をリリースする。
ジャケット¥77,000 パンツ¥45,100 シャツ¥41,800(以上YUKI HASHIMOTO/Sakas PR TEL:03・6447・2762) 靴¥82,500(Paraboot/Paraboot AOYAMA TEL:03・5766・6688) イヤカフ¥18,700 リング¥66,000(共にe.m./e.m.青山店 TEL:03・6712・6797)
※『anan』2023年3月22日号より。写真・小笠原真紀 スタイリスト・増田翔子 ヘア&メイク・西尾さゆり インタビュー、文・尹 秀姫
(by anan編集部)