名塚佳織(asウタ)×田中真弓(asルフィ)×池田秀一(asシャンクス)
ついにシャンクスが劇場版に本格登場する。ファン待望の胸アツな物語に、ルフィ役の田中さんは「感慨深い」、シャンクス役の池田さんは「光栄なこと」と話す。そして、本作のヒロインの歌姫・ウタを担当した名塚さんは「アフレコでの二人の演技に息をのんだ」という。その舞台裏も大いに気になるところ。
――まずは、脚本を読まれた際の率直な感想を教えてください。
池田秀一:最初に話を聞いたときは二言三言しゃべればいいのかなと思っていたら、シャンクス大活躍でちょっと慌てましたね(笑)。
名塚佳織:一人の力で何かを大きく変えるのは難しいことだと思いますが、立ち上がらなければ何も始まらない。脚本を読み、ウタの行動から、そんなことを感じました。
田中真弓:シャンクスが出るのはすごくうれしいけど、会って、麦わら帽子を返したら、話が終わってしまう。よく尾田っち(尾田栄一郎)がシャンクスを劇場版に出すことを許したなと思ったら、快くOKされたそうで。でも、台本を読み、「なるほどな」と思いました。
――場所は違えど、ルフィとシャンクスが共闘する。ファンにとってはたまらない展開で…!
田中:二人で一緒に技を出したときはすごくうれしかったですね。しかも、実際には二人は会っていないので、今後がますます楽しみになりました。
――今回、ルフィ、シャンクスを演じる上で意識された部分、演じられて感じた印象は?
田中:今回は絶対的な悪・最強の敵も出てこないので、いつものルフィとはちょっと違う感じがありましたね。やりにくいということではなく、子供っぽくて楽しい部分もあるけど、ルフィも成長しているなと感じました。
池田:シャンクスとしてはウタを守るという思いが強くて。あとは、僕自身は張り切りすぎるとろくなことがないので(笑)、平常心でいつもどおりに、脚本を読んで感じた直感を大事に演じましたね。
――ウタに関しては歌唱パートをAdoさん、お芝居部分を名塚さんが担当されていますが、どのように役を作られていきましたか?
名塚:自分の収録前に、Adoさんの歌が上がっていたので、すべて聴かせていただき、キャラクターを膨らませていきました。各楽曲にはウタの心情も盛り込まれていますし。注意したのは歌から台詞へのスムーズな繋がり。そこでテンションが変わってしまうと物語に集中できなくなってしまうので、そこは意識して演じました。
――アフレコで印象に残っていることはありますか?
名塚:ルフィとシャンクスの共闘シーンを、私はうしろで見させていただいたんですけど、息をのむ迫力と強さとカッコよさで。それを生で聞けるなんて贅沢すぎますよね。これほどにも真っすぐな気持ちを持って戦ってもらえる、なんて最高な“立ち位置”をいただいたんだろうと思いました。
池田:シャンクスの「こいつは俺の娘だ。奪うつもりなら死ぬ気でかかってこい」というシーンで、監督からは「OK」が出たんだけど、もう1回やらせてもらったんです。本来これは禁じ手で、役者風情がそんなこと言ってはいけないんだけど、「採用しなくていいんで、こういうやり方もあるので聞いてください」とお願いして。
田中:どんな感じに変えて、試されたんですか?
池田:監督はド頭の「こいつは俺の娘だ」からフォルテでパッと突き抜ける感じをイメージしてたんだけど、俺はピアノでいきたくて。最終的には録り直したものを採用してもらっていました。
――ゴードンに「ウタを助けてくれ」とお願いされたルフィが「当たり前だろ」と言うこの台詞も録り直したと伺ったのですが。
田中:そうですね。私の案で、「当たり前だろ」をサラッと言いました。きっと、昔のルフィだったら力強く言うだろうけど、いろんな経験を経た今のルフィだったら、サラッと言うんじゃないかなと思って。
池田:谷口監督も「どうぞ自由におやりください」というスタンスでいてくれたんだよね。
名塚:ウタについて、事前に監督とすり合わせしていたとき「声優の皆さんは僕よりキャラクターのことをわかっているから、実際に収録でルフィやシャンクスとやりとりしてみて違うと思ったら変えていこう」とおっしゃられていて。監督はお二人に任せていたので、違うと感じたところは言ってほしいと思っていたんだろうな、と思います。
池田:ありがたいことですね。
――演じたキャラクターのお気に入りシーンを挙げるとしたら?
田中:前述の「当たり前だろ」という台詞は印象に残ってます。とてもルフィらしさが出ているので。
池田:シャンクスの登場シーンで、ウタに「久しぶりに聞きにきた お前の歌を」という台詞。これはやっぱり好きですね。
田中:シャンクスっぽいねー。
名塚:そうですね。私は最後にウタが「みんな大丈夫かな」と確認する場面。最後までみんなのことを案じていて、シャンクスに「そんなヤワじゃない」と言ってもらえて安心する。シャンクスのその一言は私自身にも刺さりました。
――シャンクスの一言一句が胸に響く今作。改めて、シャンクスという人物の魅力とは?
田中:カッコよくて、私も大好きなんだけど、敵に回したら絶対に怖いと思う。普段はおおらかで、慌ててオロオロしたり、お茶目だけど、そこに怖さが共存している。そのギャップがまた魅力。
名塚:まさにそうですね。強くてカッコよくて、ついていきたくなる男性。だけど、そんなシャンクスをくしゃっと笑わせてみたくなる感じもあります(笑)。
池田:なんだか照れくさくなってきちゃったな。俺のことを言ってるわけじゃないのに(笑)。
田中:いやいや、照れて正解。
名塚:一体化してますからね。
田中:池田さんの声が乗って、シャンクスだから。海のように深く優しい声なんだけど、怖さも感じる。だからこそカッコいいんです。
写真左から、
なづか・かおり 4月24日生まれ、東京都出身。代表作は『コードギアス 反逆のルルーシュ』(ナナリー・ランペルージ役)や『ハイキュー!!』(清水潔子役)など。声優の他、舞台女優としても活躍中。
たなか・まゆみ 1月15日生まれ、東京都出身。『ドラゴンボール』シリーズのクリリン、『忍たま乱太郎』のきり丸など、少年役の声を数多く務める。劇団「おっ、ぺれった」主宰としても活動。
いけだ・しゅういち 12月2日生まれ、東京都出身。『機動戦士ガンダム』のシャア・アズナブルや『名探偵コナン』の赤井秀一など、人気キャラの声を担当するベテラン声優。洋画の吹き替えも務める。
『ONE PIECE FILM RED』 音楽の島エレジアで開催される歌姫・ウタのライブを訪れた、ルフィ率いる麦わらの一味。大勢のファンが埋め尽くす会場には、よからぬ思惑を持った者もいて…。原作・総合プロデューサー/尾田栄一郎 監督/谷口悟朗 脚本/黒岩勉 音楽/中田ヤスタカ 公開中。
『ONE PIECE』 1997年、『週刊少年ジャンプ』にて連載スタート。主人公のルフィが海賊王を目指して、仲間と共に戦い、成長していく冒険活劇。現在、103巻まで発売中。
※『anan』2022年8月31日号より。写真・野呂知功(TRIVAL) スタイリスト・ナミキアキ(池田さん) ヘア&メイク・MAKI(TOKYO LOGIC/池田さん) インタビュー、文・関川直子
(by anan編集部)