映画、ドラマ、舞台など幅広く活躍している塩野瑛久さんは、自他ともに認めるアニメオタク。多忙な生活を送る中、新しくスタートする深夜アニメは、予告やティーザーを必ずチェックし、放送開始に備えるという。

感動する深夜アニメって、作り手の熱量が違いますね!

――深夜アニメを見るきっかけとなった作品は何ですか。

塩野瑛久:2016年放送の『Re:ゼロから始める異世界生活』です。テレビをつけたら、たまたま第1話が放送されていて衝撃を受けました。それまでは、『ONE PIECE』『NARUTO‐ナルト‐』など、少年漫画系のアニメをよく見ていたので、女の子が出てくるようなファンタジー系のアニメは少し抵抗があって敬遠していたのですが、なんとなく見始めたら、絵と内容のギャップにどんどん引き込まれていき、まさかのエンディングに驚愕して、ドハマり! それからほかの深夜アニメもチェックするようになりましたね。

――「これはヤバイぞ!」と思う作品はどんなものですか。

塩野:それはもう何といっても、制作会社のこだわりが見える作品。作り手の熱量が違うものは、予告やティーザーを見ただけでわかります。たとえば、最近アニメ化されて話題になっている『SPY×FAMILY』は、もともと注目されていたし人気になるだろうなとわかっていましたが、予告を見て期待値がグッと上がったんです。お父さんのロイド・フォージャーが、眠っている娘のアーニャを抱えているシーンが予告にあったのですが、アーニャのよだれが垂れて、それが服に付いてシミになる瞬間が描かれていたんです。多分それはマンガには描かれていないシーンだろうし、あそこまでリアルに描写しなくてもいいのに、そこまでやる制作会社の熱量にグッときたんです。原作がベースになっているアニメも、原作にないコマとコマの間に新たなコマを挿入して、物語の世界観を底上げするような工夫が凝らされていると感動しますね。アニメはジャンルによっても注目ポイントは変わるんですが、たとえば会話劇ならば、テンポの良さやそのやり取りに引き込んでいくために、一枚一枚のカットで心の機微を丁寧に紡いでいるものだったり。戦闘ものならば、武器を振りかざす瞬間からありえないくらい腕が後方に伸びて、顔がアップになって、そこから武器がしなるように前に出てきたり! と、小気味のいいコマ割りで迫力やスピード感を感じられるものだったりします。二次元ならではの美しさや三次元では成し得ないカメラワークを用いていて、アニメーションに落とし込んでいるものに、ヤバさを感じます。

――すごく作り手目線でアニメを見られているんですね!

塩野:だって僕らは三次元の世界に生きているから、こぶしをぎゅっと握ったり、唇をきゅっと噛むのは、脳から信号を送れば一瞬でできてしまう。でもそれをアニメーションにするには、唇の細かい動きから構図、感情を表す演出まで、すべてゼロから生み出さないと表現できない。CGで誤魔化さずに、伝えたいことを作画にすべて詰め込み、一枚一枚丁寧に描いていく。これを描くのにどれだけの時間を要したのだろう…と裏側の努力を考えずにはいられない。でもそのこだわりが作品の質を確実に上げているので、僕はその一つ一つを見逃したくないし、ちゃんと細部まで見ている人がここにいます! と、クリエイターさんたちにも伝えたい(笑)。

塩野さんがセレクト。絶対に見るべき3作品。

――アニメに対するリスペクトと愛があふれてますね! アニメにあまり馴染みのない人も夢中で見られるような、最近のおすすめを3作品を挙げるなら?

塩野:優秀な作品ばかりなので3本に絞るのは難しい!! けれどまず1作目は『アーケイン』。オンラインゲーム『リーグ・オブ・レジェンド』がベースになっている映像作品で、とにかく一カット一カットが洗練されていて、もうこれはアートの域! なおかつ物語の構成だったりとか、胸を熱くする展開が盛りだくさんで見逃せません。2本目が『無職転生 ~異世界行ったら本気だす~』。小太りな青年が異世界に転生して、本気を出すという話です(笑)。スケールの大きな世界観が素敵で、たまにくるバトルシーンも爽快なんです。最後は『Vivy‐Fluorite Eye’s Song‐』。歌でみんなを幸せにすることを使命に持つ主人公のAIのもとに、100年後に起こるAIと人間の戦争を止めてほしいと、未来から現れたAIが協力を求めに来るんです。主人公がどのように未来に立ち向かっていくか、衝撃的な展開がいくつも含まれていて、先が予想できません! 作画が本当に美しく、アクションシーンの滑らかな動きにも注目です。

――塩野さんが深夜アニメに求めることはどんなことですか?

塩野:目の保養、現実逃避、興奮ですね。もう素晴らしい深夜アニメに出合うと、よくわからない情緒になって見終わってから10分ぐらい放心しています(笑)。アニメもマンガも日本が世界に誇る文化なので守っていきたいですが、最近優秀なクリエイターさんが海外の巨大企業にどんどん引き抜かれていて、悲しくもある。もちろん世界で活躍してほしいですが、できれば日本から良質な作品をたくさん輩出してほしいですよね。僕は見て楽しむことしかできませんが、ずっと応援し続けます。

準備期間6年間! フランスのアニメ作品。

『アーケイン』

Entame

繁栄を遂げる都市ピルトーヴァーと、その下に広がる街ゾウンを舞台に、敵同士として戦いに身を投じる姉妹の運命を描く。シーズン2の制作も進行中。©Netflixシリーズ『アーケイン』独占配信中

「人生やり直し」ファンタジー!

『無職転生 ~異世界行ったら本気だす~』

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34歳のニートだった男はある日、交通事故に遭い死亡…したと思った次の瞬間、剣と魔法の異世界に、生まれたばかりの赤ん坊として転生する。©理不尽な孫の手/MFブックス/「無職転生」製作委員会

これは〈私〉の100年の旅――。

『Vivy‐Fluorite Eye’s Song-』

Entame

主人公ヴィヴィは史上初の自律人型AI。ヴィヴィの使命は「歌でみんなを幸せにすること」。そこに100年後の未来からマツモトと名乗るAIが現れる。©Vivy Score / アニプレックス・WIT STUDIO

しおの・あきひさ 1995年1月3日生まれ、東京都出身。8月8日よりPARCO劇場で、舞台『VAMP SHOW』の公演がスタート。出演する映画『HiGH&LOW THE WORST X』は、9月9日公開予定

※『anan』2022年8月10日号より。取材・文、鈴木恵美

(by anan編集部)

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