中村倫也:おふたりの手がけた作品は僕も楽しく拝見させていただいていて、ドラマ『MIU404』なんて「出してよ」って言っていたくらい(笑)。演じるという意味では、どんな方との仕事も同じですけど、今、現場に入って一緒にお仕事してみて思うのは、お客さんが楽しみにしてくれるものを作ろうとしている現場だなということ。
有村架純:私は『中学聖日記』でご一緒していますが、おふたりが現場でああでもないこうでもないと言い合いながらドラマを作る姿を拝見して、すごく気持ちがいいなと。お互いを信頼し合っているのも感じて、またご一緒できるのが嬉しかったです。
中村:塚原さんって、全登場人物…ひと言ふた言だけの役にも愛情を持って掘り下げようとしているのを感じるんだよね。
有村:役者以上にそれぞれの役について考えていらっしゃいますよね。演出を受けるたび、自分はそこまで台本を読み込めていなかったと思わされます。
中村:しかも芝居にとどまらず、カメラや照明…現場のあらゆるものを、顕微鏡みたいな目で見ている気がする。些細で微妙なニュアンスにこだわられるから、それが水に起こる波紋のように見てる方の中で徐々に増幅されていく感じがあるのかなって。
有村:現場ではいつも作品のサントラを聴いていらっしゃるんですが、きっと音楽だけじゃなく、そうやっていろんなものをいったんご自分の中に取り入れてからシーン全体を構築されているんだろうなと思います。
――石子は、東大卒ながら司法試験に何度も落ちたパラリーガル。羽男は高卒ながら司法試験に一発合格の弁護士。凸凹のふたりがバディを組み、誰にでも起こりうるトラブルに対峙していく。
中村:シリアスもコミカルも、ドラマティックも疾走感も、閉塞感も…いろんなものが矢継ぎ早に来るような、すごく振れ幅の広い、いい意味で先の読めないドラマだと思います。彼らはヒーローではないけれど、一生懸命な姿が、滑稽ながらも、どこかヒーローのように見える瞬間があったりしたらいいなと。
有村:物語はテンポよく進んでいきますが、その中に繊細な部分がある。塚原監督がそこもしっかり考えてくださっているので、コミカルなだけじゃない部分も見えてくるといいですよね。
中村:わりと好き勝手にやっちゃう僕に対して、架純ちゃんは自由にやらせてくれながら、たまに付き合って一緒に遊んでもくれる。たぶん合わせてくれているんだろうけど…なんかその感じが、今回の芝居の呼吸にも出てる気がする。本質的に甘やかしてもらっているんだろうな。
有村:…そんなこと全然ないですよ。ただ中村さんは引き出しがものすごい多い方なので、リハーサルからドライ、本番が始まっても、カットのたびに目まぐるしく表情や表現が変わっていくのがすごいなって思って。私もなんとかそこに乗っかれるときには、石子として乗っかろうとしているだけです。しかも、こちらの芝居を受け取る、その器の大きさがすごくて…。
中村:ヘぇ~、器デカイんだって。これ大きく書いてください。
――ドラマのスタイルも多様化していっている今、エンターテインメントとしての連続ドラマの魅力をおふたりに聞いた。
中村:演じる側としては、ぶっちゃけ違いはないですけどね。
有村:そうですね。ただ映画と比べると撮影期間が長いので、3~4か月、みんなでひとつのところを目指して頑張るっていうチーム感はありますよね。
中村:そういうとこ! 架純ちゃん、ほんとちゃんとしてる。
なかむら・ともや 1986年12月24日生まれ、東京都出身。秋には、出演ドラマ『仮面ライダーBLACK SUN』配信、主演ミュージカル『ルードヴィヒ~Beethoven The Piano~』上演が控える。
ありむら・かすみ 1993年2月13日生まれ、兵庫県出身。冬公開の映画『月の満ち欠け』に出演しているほか、来年放送の大河ドラマ『どうする家康』(NHK)への出演も決まっている。
ドラマ『石子と羽男─そんなコトで訴えます?─』 東大出身ながら司法試験に4回落ち、父・綿郎(さだまさし)の法律事務所に勤めるパラリーガル・石田硝子(通称“石子”/有村)は、高卒ながら一発で司法試験に受かった弁護士の羽根岡佳男(通称“羽男”/中村)とコンビを組むことに。さっそくある依頼を担当することになるのだが…。正反対のようでどこか似た者同士のふたりが、身近なトラブルに挑みながら成長していく姿を描く。7月8日(金)22:00 ~TBS系にて放送開始(初回15分拡大)。
※『anan』2022年7月13日号より。写真・内田紘倫(The VOICE) スタイリスト・金 順華 ヘア&メイク・百地優里子(有村さん) 永野あゆみ(中村さん) 取材、文・望月リサ
(by anan編集部)