緑からシルバーの時代へ
2021年までの世界は「自己主張ではなく、相手の求めることを正確に請け負うこと」「その場の空気を読んで、みんなをフォローすること」、そんな協調性を持つ緑が良くも悪くも支配権を握っていました。でも、2021年まで続いた波乱によって、その美徳や価値観は、違う形に移っていきます。そして、2022年は「協調性」の緑から、「個人主義や技能」の性質を持つ、シルバーの時代へ移行していきます。
シルバーの時代においては、「誰かに任せていられない」という感覚が強くなります。そして、シルバーという色は緑とはまったく逆の性質も持っています。「周りの空気を読むよりも、自分が伝えなければいけないことを勇気を出して伝える」「集団行動よりも個人行動」「自分が無益と感じることには参加しないで、それよりも勉強をしたり、感性を磨く時間を持つ」「他人からの評価は0点か100点。ものすごく必要とされるか、自分勝手に場を乱す人か」。その一方で、「音響設備など、自分がマニアックに精通している世界に関しては、ノーギャラで説明しまくったり、無料でSNSで有益な情報をシェアする」といったことをしていきます。
混乱の時代において、シルバーはものすごい力を発揮します。「誰かが正解を持っているわけではないし、誰かに任せてはいられないから、小さいところから私が作ってしまおう」と、0からシステムやチームを作り、短期間のうちに適用されるルールを作り、今までになかったものを作り出してしまうのです。
シルバーは「みんなが持っている伝統やルールは尊重されるべきものであるが、私自身がそれに対して不合理、理不尽、無意味と感じた場合は、参加を拒否する。一方で、私にしかできない生産性を持って、組織や社会に対して貢献する」など、一匹狼的な生き方を尊びます。義理や人情、暗黙の了解の強要によってパフォーマンスを下げられると「あ、それは無理です」と言って拒絶する。
これまでの時代においてシルバーは一匹狼であり、はみ出し者でもありました。でも、2022年においてシルバーは一気に注目を集め、舞台の中心に躍り出ます。シルバーは「道具」の象徴でもあります。「ここの川には橋がかかっていない。すごく生活に不便だから、偉い人に報告しよう」というのが緑の時代のやり方です。一方で、「ここの川には橋がない。橋って自分達で作れないかな? そうだ。隣の村の斎藤さんは先週ピザ窯を作ったとSNSであげていたな。あの技術が応用できないか聞いてみよう」など、変人同士で集まって、自分達の手でなんとかしていってしまうのがシルバー。2人~5人ぐらいのチームで動き、「この技術を知らないから教えてもらおう」とか、部活のような感じで、所属の枠組みを超えて、お互いに教え合ったり、助け合ったりするような社会になっていく。資格、技能、センス、「何かあってもひとりでご飯を食べていける」。そういうものもシルバーのカテゴリーで、2022年は一層、個人で才覚を磨く活動が増えていくことになります。
0から学んでいく楽しさ
2022年、「個人主義や技能」のシルバーの世界で、「私には何もない」と感じてしまったらどうすれば良いのか。混乱や波乱に疲れてしまったらどうすれば良いのでしょうか。来年はシンプルに「学ぶ喜び」がちゃんと味わえる年にもなります。もう一度自分で教科書を引っ張り出して勉強してみる。お花の育て方を詳しい人に聞いてみる。知識で終わらせないで、「梅雨の間に水をあげ過ぎちゃうと弱ってしまうのか」などを実体験で学んでいく。正解を急がず、自分が何者であるかや、限界を決めつけず、勉強する楽しさを味わっていく。そこに信用と評価が必ずついてくるから。「学びっぷりが良い人」は愛されます。自分の周りにいる人を先生にしてしまう。今はもう、偉い立場にいる人だから、年齢が上の人だからといって正解を知っているわけでもない世界です。だから、素直に聞ける人、人の話を聞こうとする人が信用を集めていく。
勝手に楽しんでしまう。風を読み過ぎず、評価を気にせず、自分のタイミングでやっていく。役立つ情報を調べ、実際に試してみる。2022年は、誰もが優秀な技能者になり、それぞれの半径5mの世界から面白く、豊かにしていく。情報に夢中になるのではなくて、手を動かすこと、足を運ぶことに対し夢中になる。混乱を区切り、非日常活動もちゃんとやって、そして、それぞれにできることで貢献へ。底にはもう、ちゃんとたどり着きました。後は面白くしていくだけだから!
しいたけ.さん 占い師、作家。早稲田大学大学院政治学研究科修了。哲学を研究するかたわら、占いを学問として勉強する。『しいたけ.の小さな開運BOOK』が好評発売中。12月2日に新刊『しいたけ.のやさしいお守りBOOK』(共に小社刊)が発売に。公式サイトhttps://shiitakeofficial.com/
※『anan』2021年12月8日号より。イラスト・100%ORANGE
(by anan編集部)