さまざまな価値観が大きく変貌する時代の中で、“色気”に対する考え方にも変化が。人は何に色気を感じ、今後それはどう変わっていくのか。スターのあり方から考えます。

“これがセクシー”は1つではなく、ますます多様になっています。

Talent

ドウェイン・ジョンソン(写真:Shutterstock/アフロ)

アメリカで人気の週刊誌『People』では、1985年以来毎年11月に「SEXIEST MAN ALIVE!(最もセクシーな男性)」という企画を実施しており、これは一人の男性を選び発表する、という人気企画。LAで30年近く映画やセレブにまつわる記事を執筆している、映画ジャーナリストの猿渡由紀さんによると、近年選ばれる男性に大きな変化があるとか。

「‘96年のデンゼル・ワシントン以外、ずっといわゆる白人の男性が続いていたのですが、‘16年にドウェイン・ジョンソンが選ばれ、昨年受賞したマイケル・B・ジョーダンまで、計4人の黒人男性が受賞しています。つい最近まで、ブラッド・ピットやジョージ・クルーニーをセクシーと言っていた、しかも影響力のある雑誌にこういう変化が起こっている。もちろん雑誌ですから、時代の流れを読み、意図的にそうしている部分もあるとは思いますが、それを差し引いても、価値観が多様化していることの象徴だと思います」

年齢や人種、そしてジェンダーなど、多様性を積極的に受け入れようとしている今のアメリカでは、“これこそがセクシー”とたった1つの概念を提示することは、もはや時代にそぐわない、と猿渡さんは言います。

「さらに今は、“外見だけがセクシーを評価するポイントではない”という意識を持つ人も増えていて、象徴的な動きが、昨年の春のコロナ真っ只中の時期に“コロナ対策に献身的な働きを見せていた国立アレルギー感染症研究所のファウチ博士を、‘20年の『最もセクシーな男性』に選ぼう”、というムーブメントが起きたこと。彼の知的さや仕事に邁進する姿をセクシーと評価するという、これまでとは違った軸での動きでした。結局それは実現はしなかったのですが、そういうチョイスが出てくることも、とてもおもしろいな、と思いました」

個性的なファッションで知られるアーティストのハリー・スタイルズに、若い世代から支持が集まるのも、多様性の象徴だとも。

「先日彼が、雑誌『ヴォーグ』に女性用のドレスを着て登場したことが話題になりましたが、もはやZ世代にとってジェンダーの垣根を越えたファッションは、クールであり、もっと言えば“ごく普通”なことです。また、ジェンダーフルイド(性自認が流動的に変わる)という認識を持つ人も増えているので、この先は性別を区切るのではなく、トランスジェンダーも含めた上で“今のセクシーとは?”を考えるようになるのでは。いずれにせよ、“セクシーの概念”はこれからも変わり続けていくのではと思います」

さるわたり・ゆき 映画ジャーナリスト。女性誌編集者を経て渡米。LAをベースに、映画やハリウッド事情の記事を、『週刊文春』や『シュプール』、東洋経済オンラインなどに執筆。

※『anan』2021年3月31日号より。取材、文・重信 綾

(by anan編集部)

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