「実はタイのBLは、日本のやおい文化が原点です。LGBTQに寛容で、多様性を認めている国なので、セクシュアル・マイノリティの描き方が温かい。主人公たちが不必要に差別されないから、見る側もストレスを感じない。作品タイプも多様で、好みに応じて楽しめます」(ライター・横川良明さん)
同性愛描写に規制がある中国では、BL原作が男性同士の親密な関係を描くブロマンスものへと姿を変える。
「人気BL小説をブロマンスドラマ化して大ヒットした『陳情令』。原作はラジオドラマやアニメにもなり、ファン層が拡大」(編集者、ライター・小俣悦子さん)
ブライト×ウィン
『2gether』[2020年](THAILAND)
ある事情から恋人のふりをすることになった大学生の2人の恋の行方は? 「ハンサムなコンビは、見ているだけで目の保養に。キュンとする一方でコメディ要素も多くリピート必至」(編集者、ライター・川口恭子さん)。「最悪の出会い方をした2人が徐々に恋に落ちていく、わかりやすくポップなBLドラマ。胸キュンする甘いシーンが毎回登場。ラブとコメディのバランスが絶妙だし、性描写も生々しくないのでハッピーな1時間。2人の関係性が素敵で、応援したくなる人が多いはず。台詞のインパクトが強く、ロマンティックな口説き文句はSNSですぐにバズります」(横川さん)
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クリス×シントー
『SOTUS』[2016年](THAILAND)
大学工学部伝統の新入生教育制度SOTUSで反発し合う先輩アーティット(クリス)と後輩コングポッブ(シントー)が徐々に絆を深めていく物語。「タイBLドラマの火付け役といわれる学園ドラマです。高圧的な先輩にいきなり『先輩を僕の妻にします』と宣言する意外性が思わずのめり込む理由のひとつ。先輩からのパワハラのようなしごきは少ししんどくなりますが、それも物語を楽しむためのアメとムチ。コングポッブにアプローチされて、どんどん可愛くなるアーティットがツボ」(横川さん)。「クリスのインスタの、猫との絡みも可愛い」(川口さん)
提供:アジアドラマチックTV(アジドラ) ©GMMTV
テイ×ニュー
『Dark Blue Kiss~僕のキスは君だけに~』[2019年](THAILAND)
恋人同士のピート(テイ)&カオ(ニュー)、恋が始まるサン&モークが周囲との関係に悩みながら成長する姿を描く。「カミングアウトが焦点となる社会性の高い作品です。同性カップルがどのように社会や家族から理解を得ていくかを真摯に描いています。よく口論する喧嘩ップルだけど、根っこには愛と信頼があり、揉め事を解決し絆をより確かなものにしていくピート&カオの関係も魅力。そしてサン&モークが付き合うまでを丁寧に描いているのも見どころです」(横川さん)
提供:アジア・リパブリック13周年 ©2019 GMMTV COMPANY LIMITED. All Rights Reserved. CS衛星劇場にて10月12日23:00放送スタート
オフ×ガン
『Theory of Love』[2019年](THAILAND)
大学で映画製作を学ぶサード(ガン)は、女好きな友人カイ(オフ)に片思いをしていた。恋は実らないと思いつつ、サードはカイに告白!? LINE TV AWARDS 2020でベストカップル賞受賞の名作。「泣ける、というか切ない度が高い作品です。前半はサード視点で後半はカイ視点で進行し、それぞれの本当の思いが見る側に伝わって胸がジーンとなります。名作映画をオマージュした場面もしゃれてるし、別作品でもカップルを演じたオフ&ガンの相性が抜群なのも魅力ですね」(横川さん)
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ウェイン・ソン×ホアン・ジュンジー
『HIStory3 那一天~あの日』[2019年](TAIWAN)
様々なBLカップルの恋模様を描く、台湾発大人気シリーズ。イケメンのラブストーリーに熱狂するファンが世界中に増殖中! 「女子からもモテるクラスの中心的人物を演じたウェイン・ソンと、彼に好かれる優等生役のホアン・ジュンジーが、2人揃って日本のBLドラマ『Life 線上の僕ら』にゲスト出演して話題に。本当に仲良さそうな2人の姿にほっこり&ドキドキ! フレッシュなキャストを起用し、どれも青春風味でどこかキュートさもある愛すべきシリーズです」(小俣さん)
提供:ビデオマーケット/楽天/コンテンツセブン ©CHOCO Media Co., Limited
シャオ・ジャン×ワン・イーボー
『陳情令』[2019年](CHINA)
怪事件を解き明かしながら絆を深めていく青年2人の苦闘と友情を描くブロマンス。人気は中国からタイ、韓国、そして欧米へと拡大。「端正な顔立ち&ファンタジーの世界観を崩さない古装姿がかっこいい」(川口さん)。「シャオ・ジャンとワン・イーボーがとにかく美しい! 2人を眺めるだけでも満たされる。次々に起こる事件の謎を解き、陰謀に立ち向かう2人が信頼と絆を深め、2人はどうなるの? 誰が黒幕? と、物語の世界に引き込まれて、あっという間の50話」(小俣さん)
提供:ソラシア・エンタテインメント/コンテンツセブン ©2019 Shenzhen Tencent Computer Systems Company Limited
リエン・ビン・ファット×アイザック
『ソン・ランの響き』[2020年](VIETNAM)
’80年代のサイゴンを舞台に、取り立て屋ユン(リエン・ビン・ファット)と、伝統歌舞劇俳優リン・フン(アイザック)の淡い恋を描く。この作品で映画デビューしたリエンは、第31回東京国際映画祭で東京ジェムストーン賞を受賞。劇中で肉体美を披露したワイルドなリエンと対照的なのが、リンを演じる美しきアイザック。「アイザックはYouTubeの再生回数4億回を超えるボーイズグループ365dabandメンバーから、演技派俳優に転身。キリッとした男らしさが素敵」(川口さん)
配給:パンドラ ©2019 Studio68
ヤン・イクチュン×チョン・ガラム
『詩人の恋』[2020年11月13日公開](KOREA)
売れない詩人のテッキ(ヤン・イクチュン)は、妻の妊活に協力中。彼はある日、ドーナツ店の店員セユン(チョン・ガラム)の美しさに見惚れてしまい……。「ヤン・イクチュンは40代ですが、『息もできない』で大人気となった彼と、『恋するアプリ』でフレッシュな魅力を発揮したチョン・ガラムとの共演に期待大です。韓国は、年齢差や正反対キャラなどの意外な組み合わせがうまいし、役者同士も共演で経験が積めます。本作もお互いの新たな魅力を引き出すはずです」(ライター・西森路代さん)
配給:エスパース・サロウ ©2017 CJ CGV Co., Ltd., JIN PICTURES, MIIN PICTURES All Rights Reserved
アジア男子…エンタメ界でアジアの男たちの勢いが止まらない。SNSやストリーミングサービスの普及で、その熱狂は国境を超えますますグローバルなものになっている。ドラマ『2gether』がツイッターで世界トレンド1位になり、タイのBLドラマに沼落ちする人が続出という一大ムーブメントを巻き起こしているのを筆頭に、俳優としても目覚ましい活躍を見せるボーイズグループメンバーや、華流イケメンの台頭など、今、アジア男子に世界が夢中!
おまた・えつこ 編集者、ライター。編プロで数年、出版社で10年勤務の後フリーランスに。台湾が大好きで『台湾エンタメパラダイス』(キネマ旬報社)20号分を企画・編集。その他『華流日和』『華流スター&ドラマガイド2020』(共にコスミック出版)などを編集。
かわぐち・きょうこ 編集者、ライター。1989年生まれ、愛知県出身。映画・ドラマをこよなく愛し、ファッション誌でカルチャーニュースを執筆中。ステイホームをきっかけに、人生最大のアジアブーム到来。やりたいことは、ドラマ『梨泰院クラス』と『2gether』のロケ地巡り。
にしもり・みちよ ライター。愛媛県出身。テレビ局勤務を経て上京。2000年代から編集・ライターの仕事を始める。アジアのエンターテインメントを伝えるラジオ番組のディレクターなどを経て、現在は、特に韓国映画と日本のドラマについて数多く執筆している。
よこがわ・よしあき ライター。1983年生まれ、大阪府出身。テレビドラマ・映画・演劇を中心に、エンターテインメントを幅広く取材。男性俳優のインタビュー集『役者たちの現在地』(KADOKAWA)が好評発売中。『2gether』を見てから、タイのBLドラマに沼落ちしている。
※『anan』2020年9月30日号より。取材、文・山縣みどり
(by anan編集部)