「日本で最初にクラシックギターがブームになったのは、1952年の映画『禁じられた遊び』がきっかけです。その後’60年代にビートルズが現れて、世界中の人の目がギターに向くわけですが、エレキギターはスチール弦を使うのに対して、クラシックギターはナイロン弦を使い、電気媒体を介さないのが特徴です」
クラシックといっても、演奏するのはいわゆるクラシック音楽だけでなく、たとえばキューバやブラジルのような中南米の曲や近現代の曲などかなり幅広いのも魅力のひとつ。だからこそ何から聴けばいいのか悩ましかったりするのだけど、福田さんのおすすめは王道から入ること。
「ギターを習う人なら必ず憧れるトレモロ奏法の名曲『アルハンブラの思い出』、プロフェッショナルな技術を要する『アランフェス協奏曲』、それとパラグアイの作曲家アグスティン・バリオスによる『大聖堂』などがよいのではないでしょうか」
そして気になる日本の注目ギタリストは? 福田さんによるアルバム解説もあわせてどうぞ。
Artist:福田進一
日本のクラシックギター界を牽引する、世界的奏者。100枚リリースしている自身のアルバムのおすすめは、「小説『マチネの終わりに』に登場する楽曲を集めたアルバムの第2集。ヒロインが『本当に、うっとりしました。どこか、遠い場所に連れていってくれるような…』と語り、主人公と恋に落ちるきっかけともなったブラームスの間奏曲は、ここでのみ聴けます」。©Takanori Ishii
『マチネの終わりに and more』¥3,000(日本コロムビア)
Artist:大萩康司
「パリに学び、若くしてハバナ国際ギターコンクールに入賞した大萩康司は、同い年の村治佳織と並んで人気と実力を兼ね備えた中堅ギタリスト。最新作『プラテーロとわたし』は、ノーベル賞作家フアン・ラモン・ヒメネスの詩集を題材とした小品集。ギターの卓越した情景描写、表現力が波多野睦美の語りと歌にそっと寄り添い、目の前にアンダルシアの風景が浮かぶ一枚」©Shimon Sekiya
『プラテーロとわたし』メゾソプラノ・朗読:波多野睦美 絵:山本容子 ¥4,545(MARCO CREATORS)
Artist:徳永真一郎
「9歳からギターを学び、10代で渡仏。その後10年におよぶ留学から帰国した徳永真一郎。バロックから現代まで、フランスとスペインのさまざまなスタイルのギター音楽を新鮮に聴かせてくれるこのデビューアルバムは、平成30年度文化庁芸術祭レコード部門の優秀賞に輝きました。その颯爽とした技巧と豊かな音楽性で、次世代ギタリストの筆頭に挙げられる存在です」©Tohru Yuasa
『テリュール』¥3,000(マイスター・ミュージック)
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『マチネの終わりに』は、世界的なクラシックギタリストとパリの通信社に勤務するジャーナリストのラブストーリー。多くのギター曲が流れ、運命的に出会い、すれ違う男女の人生を美しく彩る。発売元:フジテレビジョン 販売元:アミューズソフト DVD通常版¥3,800 ©2019「マチネの終わりに」製作委員会
ふくだ・しんいち 1955年生まれ。’77年渡仏。’81年パリ国際ギターコンクールで優勝。国際的な演奏活動の傍ら、主要国際ギターコンクールの審査員を務める。100作目となるアルバム『バロック・クロニクルズ』発売中。
※『anan』2020年6月24日号より。取材、文・兵藤育子
(by anan編集部)