音楽レーベル「Tokyo Recordings」を主宰し、水曜日のカンパネラへの歌詞提供のほか、様々なアーティストのプロデュースを手掛けてきた小袋成彬さんが、自身が表に出て、デビューする。
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「音楽を研究対象としていくことがすごく好きだったんです。その一方で、自分の表現方法としてずっと歌いたいことを探していたんですが、なかなか見つからなかったんですね。探している間は、研究成果という形で、誰かの作品を編曲したり、楽曲提供に関わったりしていました」

プロデュースワークをしながら、緩やかに自分自身を表現する方向にシフトしていったそう。そんな折、宇多田ヒカルさんの8年ぶりの復帰アルバム『Fantome』に、ゲストボーカルとして参加することに。

「意外なことでしたが、驚きはなかったですね。でも“天啓”というか、ああ、やっばり自分は歌うべきだったのか、という心境になりました」

小袋さんのデビューアルバム『分離派の夏』は、その宇多田さんのプロデュース作品。彼女に「この人の声を世に送り出す手助けをしなきゃいけない」とまで言わしめた才能の持ち主が小袋さんなのだ。

「僕の表現方法は、例えば、好きな人に気持ちを歌で伝えようとか、そういう心境に近いのかな。実際はそんなことしませんが。26年生きてきて、自分の中にあった感情…あのとき泣いたのはそういう理由だったのか、などの気持ちが、突然意味を帯びたように曲になっていきました。26年抱えていた感情や経験がまず種のように現れ、それを僕の研究成果として、こうすれば僕らしい音楽になるという脚色を加えていき、アルバムとして完成させました。誰かに聴いてほしいと思って作ったわけでもなく、自分のためだけの作品です」

文学でいえば、究極の私小説? 徹底した個人プレー作品だ。意味ありげなアルバムタイトルや曲名、R&Bからの影響など豊富な音楽ルーツを感じさせるサウンドの景色に、ついその意図を聞きたくなるが…。

「それはリスナーに委ねたい。答えを求めれば求めるほど、音楽は面白くなくなってしまうので僕は絶対に語りません。自由に聴いてほしいし、僕自身が励まされたのと同じですが、“この歌は私のことだ”と感じてくれたら嬉しいですね」

小袋2

おぶくろ・なりあき R&BユニットN.O.R.K.のボーカルとして活動後、Tokyo Recordingsを設立しプロデューサー業を続ける。この夏はGREENROOM FESTIVAL、VIVA LA ROCK、FUJI ROCK FESTIVAL 等のフェスに出演。

1st album『分離派の夏』¥2,778 先行配信された「Lonely One feat.宇多田ヒカル」など14曲を収録したデビューアルバム。4月25日発売。(EPIC RECORDS JAPAN)

※『anan』2018年4月25日号より。写真・野呂知功(TRIVAL) 文・北條尚子

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