京都府にある福田美術館で4月25日(土)から、江戸時代に活躍した画家・伊藤若冲(じゃくちゅう)の作品約40点を展示する企画展「若冲にトリハダ! 野菜もウリ!」がスタートする。
若冲が心血を注ぎ描いた、動物や植物の傑作が一堂に会する
京都・錦市場の青物問屋の長男として生まれた伊藤若冲。彼は23歳で家業を継ぎながらも絵画への情熱が捨てられず40歳の頃、家督を弟に譲ってついに画業に専念。京都の大寺院が収蔵していた中国絵画や中国人画家・沈南蘋(しんなんぴん)による緻密な写生画法などを貪欲に吸収し、自らの腕を磨き上げていった。そんな若冲の初公開作品を含む、初期から晩年までの傑作約40点を紹介したのが本展だ。

伊藤若冲 画 伊藤白歳 賛 《布袋図》18世紀 個人蔵 通期展示
第1章では、若冲が心血を注ぎ込み、その生命を凄まじい密度で描き切った動物や植物の傑作が並ぶ。今回は初期に描かれた《蕪に双鶏図》などの他、99年前に公開されて以降行方不明になっていた《布袋図》などの貴重な作品も登場。

伊藤若冲《蛇図》18世紀 個人蔵 通期展示
また墨の滲みを巧みに操る技法「筋目描き」が冴え渡る作品にもフォーカス。鱗や木の幹の質感を緻密な手法で表現する一方、表情はユーモアにあふれる蛇の姿を描いた《蛇図》も登場する。

伊藤若冲《果蔬図巻》(部分)1790年以前 福田美術館蔵 通期展示
続く第2章では、2023年にその存在が確認された《果蔬(かそ)図巻》を大公開。ヨーロッパで見つかった本作は、若冲が約3mの絹本に色とりどりの果物と野菜を描いた巻物で、末尾には若冲最大の理解者でもあった相国寺の僧侶・梅荘顕常(ばいそうけんじょう)による後書きが添えられている。

伊藤若冲《菜蟲譜》(部分)1791年以前 佐野市立吉澤記念美術館蔵/菜蟲譜の展示期間は4月25日~5月8日、6月20日~7月5日
一方、《菜蟲譜(さいちゅうふ)》は、《果蔬図巻》の1年後に描かれた長さ11mに及ぶ大作で、前半部分に野菜や果物、後半部分に昆虫、蝶、爬虫類などの数々の生き物が描かれており、国の重要文化財に指定されている。
今回はこの2作品を初めて並べて公開。類似のリズム感や、みずみずしい野菜のフォルムには、青物問屋の店主ならではの優しい眼差しを感じることができる。
また第3章では江戸絵画の中から、若冲と同時代に活躍した個性豊かな絵師たちに光を当てる。商家出身の曽我蕭白(しょうはく)、農民出身の円山応挙、その弟子の長沢芦雪などが描き出した多彩な作品も展示する。
合計10点もの若冲の初公開作品がお披露目される本展。命は細部に宿ることを感じていた若冲の、生命へのリスペクトを実感できる内容だ。
information
福田美術館
京都府京都市右京区嵯峨天龍寺芒ノ馬場町3-16 前期4月25日(土)~6月1日(月)、後期6月3日(水)~7月5日(日)10時~17時(入館は閉館の30分前まで) 5/12、6/16休 一般1500円ほか TEL. 075-863-0606
anan 2492号(2026年4月15日発売)より
















