
連続ドラマW『マイ・スイート・ホーム』に出演する石田ゆり子さんにインタビュー。
“こんなことないよ”と思う設定ながらも、“自分だったらどうする?”と考えたくなる
夫と豊かで穏やかな生活を送る専業主婦の上原春花には、定期的に集う夏希と秋絵、そして、疎遠になった冬美という学生時代からの親友がいる。ある日、冬美の訃報がもたらされたことをきっかけに、そろそろ還暦を迎える自身の人生を振り返り、これからのあり方を再確認するため3人は、2週間だけお互いのパートナーをシャッフルするというお試し生活を始めることに。主人公の春花を演じるのは、石田ゆり子さんだ。
「この物語は、それぞれにキャラクターが立っている8人の男女のアンサンブルです。春花はスーパー専業主婦で、料理や家事をはじめ、周りが望むことを瞬時に察して行動できる器用さがある一方、繊細でもあって。一人だけ専業主婦であることへのコンプレックスを抱えていて、恵まれた人生ながらも、本当の意味で求められたいと思いながら頑張って生きています。細やかな芝居をしないと成り立たない役だからこそ、演じていて非常に面白かったですね。登場人物はみんな、チャーミングで、見ていてなんだか楽しい。3組の夫婦をシャッフルするというとんでもない物語が会話の応酬の中で転がっていくところは岡田惠和(おかだ・よしかず)さんの脚本ならでは。“こんなことないよ”と思う設定ながらも引き込まれ、“自分だったらどうする?”と考えたくなる、魅力にあふれた作品です」
春花の友人である夏希を坂井真紀さん、秋絵を中嶋朋子さんが演じる。
「お二人とは初めてお会いしたのですが、本当に表現力が豊かで、現場ではとても頼りになり、助けられました。親友という関係性なので、グループLINEを作って脚本のことや距離感、それぞれのクセについて語り合ったり、監督を交えてミーティングをしたりしました。一緒に演技をするたびに、いい感じに馴染んでいって。とてもいい出会いだったと感じています。大人たちの細かい芝居合戦を楽しんでほしいです」
パートナーのシャッフルという春花の突拍子もない提案の背景には、予定調和の人生への抵抗と、冬美の「一度でいいから自分じゃない人になりたい」という願いがある。
「私自身、思いつきで人を集めて何かをすることは多いですし、バカバカしいことをしてみたいと思うこともあります。一方で、自分じゃない人生を送りたいと思った経験はなくて。それは、自分がパーフェクトだと感じているわけではなく、誰かのことを素敵だとか羨ましいと思うことはありますが、結局、自分を捨てることはできないし、私でしかいられないと気づいたからです。同時に、自分以外の誰かを演じる仕事なので、ある種、冬美が抱いていた欲求を常に満たしているともいえますね」
それぞれの大人が抱える喜びや葛藤を描き、人間関係にまつわる問いを見る人に軽やかに投げかける本作。では、石田さんが思う、大事な人との関係をうまく紡ぐ方法とは。
「嘘をつかないこと、ではないでしょうか。嘘をつくと相手も嘘をつき、嘘を守るためにさらに嘘を重ねなければいけなくなる。それでは何も生まれないですよね。相手に素直な気持ちを伝えることで喧嘩になってもいいし、ぶつかることが何より大事。それさえできていれば、人間関係は結構面白いものになると思っています。私も若い時は素敵に見られたい、物分かりのいい人でいたいと思っていましたが、50代も半ばを過ぎると、弱音を吐いて誰かに頼ることの大事さに気がつきました。いつもちゃんとしている姿はもちろん素敵ですが、実は人って、人が弱っているところが見たいものだし、そんな姿を見せてくれる人のことを愛おしいと思うのかなと。本当の人間関係が欲しければ、自分の弱いところは見せざるを得ないだろうな、と思います」
Profile
石田ゆり子
いしだ・ゆりこ 1969年生まれ、東京都出身。'88年にNHK『海の群星』で俳優デビュー。以降、ドラマ・映画・舞台・執筆など多岐にわたり活動。近年の主な出演作品は、ドラマ『TOKYOMER~走る緊急救命室~』、映画『汝、星のごとく』など。劇場版『虎に翼』2027年1月15日公開予定。
information

連続ドラマW『マイ・スイート・ホーム』
脚本家・岡田惠和によるオリジナルストーリー。還暦を目前にした女性たちが、親友の死をきっかけにパートナーを交換する2週間の“お試し生活”に挑み、自らの人生を見つめ直す姿を描くヒューマンドラマ。共演は仲村トオル、中嶋朋子、三宅健、坂井真紀、椎名桔平ら。10月31日より毎週土曜22:00~ WOWOWにて放送・配信。
anan 2517号(2026年10月28日発売)より






























