
小説『探偵小石は戻らない』の作者、森バジルさんにインタビュー。
恋愛はミステリーと相性がいいんです
福岡市で探偵事務所を営むヒロインの小石と、調査員の蓮杖(れんじょう)がホームズ&ワトソン役を務める『探偵小石は恋しない』。本屋大賞にもノミネートされた大ヒットミステリーの続編が、『探偵小石は戻らない』だ。探偵が一連の事件の「犯人」だと指摘される、衝撃の場面を描いた「第21章」から始まる物語は、そこから過去へと戻っていく。オビに記された惹句は、「絶対に事前情報なしでお読みください!!」。……これ以上何も書けません。
「できる限り情報を出さない、というのは編集者さんからの提案なんです。今どき内容がわからずに本を買う人ってなかなかいないと思うんですよ。なんならオチまで知った状態で安心して読みたいという人も多くいる中で、情報がないことで逆に興味を持ってもらえたのが、前作でした。今回も、僕はもうちょっと情報を出してもいいかなと思ったんですが、編集さんから“いや、なしで!”と止められました(笑)」
実は本作、前作以上にネタバレなしでは語りにくい。物語全体の構成そのものに仕掛けがあるのだ。
「シリーズの2作目って、どうしたって1作目と比較されてしまう。できるだけ比べられないため……というのもヘンですが、全く違う構成にした方がいいだろうと思ったんです。実際に書き始めてみたら“誰がこんな構成にしたんだよ!”と、自分で自分に激怒しました(苦笑)」
この構成だからこそ、ミステリーとしての驚きが跳ねる。恋愛小説でもある本作の、ロマンティックさも最大値を更新。
「恋愛をしている時っておかしくなるというか、やばいことをしがちですよね。強い感情がなければミステリー的な事件は起きないよなって考えると、恋愛はミステリーと相性がいいんです。ただ、恋愛のエグみもがっつり書くけど、わりとロマンティックな仕上がりになっているとは思います。創作の中ぐらいは、創作でしか味わえないものを楽しみたいじゃないですか」
シリーズは今後も継続予定だ。
「1作目はミステリーを書くという意識が強かったんですが、2作目は恋愛小説としての比重が上がった気がしています。恋愛と推理のバランスを変えてみることで、意外とバリエーションは出せるのかもしれないなと思っているんです」
Profile
森バジル
もり・ばじる 1992年、宮崎県生まれ。2023年、第30回松本清張賞を受賞した『ノウイットオール あなただけが知っている』で単行本デビュー。’25年に『探偵小石は恋しない』でブレイク。
information
『探偵小石は戻らない』
名探偵のように事件を解決する日を夢見る、探偵の小石。しかしその日、蓮杖が目撃したのは犯人としての小石の姿だった。シリーズ第2作。
小学館 1870円
anan 2516号(2026年10月21日発売)より































