
東京の真ん中、新宿の高層ビルの中にある美術館で「種と根っこ」という名の展覧会が開催される。
自然と循環に関心を持つ10名のアーティストが参加
「種と根っこ」という名の展覧会が東京の真ん中で開催される。一見、都市と自然は対立するものとして捉えられがち。しかし、生活者の視点に立つと違う景色が見えてくるとキュレーターの瀧上華さん。
「当館は新宿の高層ビルの中にある美術館ですが、都市にも植栽があったり、空き地に草が生えていたりと自立した植生があり、環境に順応し新しい生態系を築いています。本展ではそうした生活の中にある自然と私たちとの繋がりに着目しました」

浅野友理子《綯い交ぜの庭》2021年 撮影:嵯峨倫寛

鈴木初音《葉にとまる》2026 photo:小川大和
参加アーティストの一人、浅野友理子さんは土地の食文化にまつわるリサーチをもとに絵を描く。今回は美術館が入るビルの植栽に実のなる木が何種類も植えられていることに着目し、ヤマモモの果実を題材に新作のペインティングを発表。また、鈴木初音さんは自分で栽培した食用の菊芋の繊維を使って支持体(絵画ではキャンバスや紙に相当するもの)を作り、食べ終えた牡蠣の殻を粉にした石灰を使ってフレスコ画の技法で新作を描く。本展に参加するのは自然と循環に関心を持つ10名のアーティスト。

板坂留五《近くと遠く》(専用住宅、愛知県、西澤徹夫との共同設計)2025 photo:Ryo Adachi

保良 雄《house》2024 photo:Akihiro Itagaki(Nacása & Partners) Courtesy of Fondation d'entreprise Hermès
「こちらでトマトを育てている人がいたらそちらではナス、あちらは草が茂っていたりという共同菜園のような会場をイメージしています」
注目の若手建築家・板坂留五さんの関心は、アイコニックな建造物を建てることより、その場所に元からある素材や環境を生かし、場にささやかな変化をもたらすことにあるようだ。今回は過去の展覧会で使用した資材を再利用し、人が集える空間を設計。会期中には、アーティストトークなども開催される。
「建築家だからかもしれませんが、自己表現より環境に沿った形で提示する、そういったアプローチの仕方はとても新しいと思います。目的に合わせて作ることより、環境に沿わせ、その中で何ができるかというスタンスは参加するアーティストの間で共通するのかもしれません」
福島などでフィールドワークを行い、作品を立ち上げる保良雄さんらのダイナミックなインスタレーションや他の作品と連関するようなパフォーマンスも楽しむことができる。
「作品が自然との繋がりを思い出す種になり、自分の足元や生活している場所で受け取った何かが根っこを張って育っていく。そんな循環が起きることを願っています」
information
種と根っこ−都市の耕し方
東京オペラシティ アートギャラリー(ギャラリー1、2) 東京都新宿区西新宿3-20-2 東京オペラシティタワー3F 10月17日(土)~12月20日(日) 11時~19時(入場は18時30分まで) 月曜(11/23は開館)、11/24休 一般1800円ほか TEL. 050-5541-8600(ハローダイヤル)
anan 2515号(2026年10月14日発売)より
































