『新テニスの王子様』跡部景吾役・諏訪部順一&忍足侑士役・木内秀信インタビュー「自立しているけれど心の中で静かに燃えている、そういうところが氷帝の魅力」

今年、惜しまれながら完結した漫画『新テニスの王子様』。アニメシリーズも放送開始から約25年が経ち、W杯決勝戦直前の『新テニスの王子様 U-17 WORLD CUP 決勝メンバー決定戦』が放送中だ。約25年、成長を続けるキャラクターとともに走り続け作品に命を吹き込んできた、跡部景吾役の諏訪部順一さん、忍足侑士役の木内秀信さんに、これまでの想いや“テニプリ愛”を伺いました。

Index

    諏訪部順一(跡部景吾役)「跡部は格好悪い姿を晒すことも厭わない、一見キザな努力家」

    ── ここまで跡部景吾というキャラクターを演じられていかがですか? 諏訪部さんから見た跡部の成長を教えてください。

    初登場時は、よろしくない絡み方をしてくる大変鼻持ちならない人でした。そんな彼のキャラクターは、原作発はもちろんのこと、公式、非公式を含めた多くの二次創作的なものによってどんどん膨らんでいったように思います。破綻しない範囲に収まるようアンカーマンとして、時に意見し、時に拒否し…。正直、悩むことも多かったですが、本当に多くの皆様に愛される存在に成長したことを、個人的にとてもうれしく思っています。

    ── 決勝メンバー決定戦では、ファンが待ち望んでいた跡部景吾vs忍足侑士の戦いが描かれます。跡部は忍足のことをどんな存在と捉えていると思いますか?

    忍足君は、同じ学校に通い、同じ学年で、同じテニス部に所属する人間です。U-17メンバーの中にあっても、最も信頼のできる近しい存在なのではないでしょうか。色々な面で陰ながらサポートしてくれているみたいですし、彼のテニスの実力も以前から認める発言をしていますし。

    ── では、氷帝学園中等部テニス部の魅力とはどんなところでしょうか?

    競合校が数々ある中、「ここが魅力!」とアピールできる突出した部分は…もっと癖が強い学校が、後からどんどん登場したので、今となってはちょっと薄味に感じるくらいで。強いて言うならば、「跡部景吾が在籍している」というところではないでしょうか(笑)。あ、監督がダンディでお洒落です!

    ── 約25年間、跡部景吾というキャラクターを演じる中で、諏訪部さんご自身が跡部から影響を受けて成長したこと、価値観が変わったことはありますか?

    キャラクターから直接影響を受けたことはありません。ただ、『テニスの王子様』という作品に関わったことによって、本当に多くの得難い経験をさせていただきました。それらを通じて、「かくあるべし」という私の声優としての根幹が育まれたのは間違いありません。常にファンの皆さんとガチンコで向き合う許斐剛先生の姿勢も相まって、作品やキャラクターを愛してくださっている皆さんが可視化される、距離を非常に近く感じられる機会がたくさんありました。「任された役は、誰かにとっての宝物」。だからこそ、自分も全力で大切にして、全力で愛す。そう考え、実践するようになったのはテニプリのおかげですね。

    ── 忍足との試合に臨む跡部に言葉をかけてあげるなら?

    この勝負に挑む彼にかける言葉は…「絶対に勝て」。これしかないですね。

    ── “王様(キング)”と呼ばれる跡部ですが、諏訪部さんから見た跡部とはどんな人物ですか?

    同性の大人である自分から見たら、なんだかんだいって「中3男子」です(笑)。負けん気が強く上昇志向。キザなヤツと思われがちですが、他者と比較して自身の劣っている部分をきちんと認めることができます。そして目標を達成するためには、地道な努力を重ねることや、格好悪い姿を晒すことも厭わない…。私は彼のそういう部分に共感を覚えています。

    ── 今回の決勝メンバー決定戦の見どころを教えてください。

    全部です。すべてが見どころです。一瞬たりとも目が離せません!

    ── 長きにわたり愛される『テニスの王子様』シリーズという作品の魅力を教えてください。

    お楽しみくださっている皆さん、おひとりおひとりが「魅力」と感じてくださっているところ、それが本作の魅力だと思いますので、私が推し量って総括的に語ることは控えさせていただきたく思います。ただひとつだけ個人的に思うことを申し上げておくと、「まだ誰も通っていない道は、ないか」と模索し続けてきた、許斐剛氏の「本気」が徹頭徹尾注ぎ込まれてきたからこそ、テニプリは他に類を見ないエンターテインメントたり得たと思います。

    関東大会 跡部vs手塚

    諏訪部さんのFAVORITE EPISODE

    今の跡部を作ったと言っても過言ではない、ファンからも大人気の名エピソード

    「ひとつを選ぶことは非常に難しいですが、強いて言うのであれば関東大会1回戦、氷帝vs青学のシングルス1ですね。跡部君と手塚君の対決は作中でも非常に人気の高いエピソードですし、コレがあったからこそ今日の彼があると言っても過言ではないと思いますので」

    Profile

    諏訪部順一

    すわべ・じゅんいち 3月29日生まれ、東京都出身。主な出演作に『僕のヒーローアカデミア』(相澤消太)、『呪術廻戦』(両面宿儺)、『ユーリ!!!on ICE』(ヴィクトル・ニキフォロフ)など。

    木内秀信(忍足侑士役)「忍足には、ずっと格好よくいてほしい」

    ── 木内さんは忍足侑士をどういう人物だと捉えていますか?

    たまに「関西人が全員、ボケやツッコミが上手いと思うなよ」って遺憾に思っている関西の方っているじゃないですか。忍足はまさにそれだと思っています(笑)。関西出身で関西弁こそ喋っているけれど別に面白いことは言っていない、“普通に格好いい人”。これだけ長くアニメをやっていると、たまに話の流れでツッコミをしたり、面白いことを言うポジションになることはあるけれど、僕個人としては忍足はあくまでクールで、いつまでも格好よくいてほしいなと思っています。性格だけじゃなく、ビジュアルもすごくいいですよね。たまに許斐先生がSNSに忍足のイラストをアップしてくれると「やっぱり格好いいな〜」ってずっと眺めちゃいます。

    ── 忍足の性格や心情に、共感する部分はありますか?

    どちらかというと性格は僕とはかけ離れていて、逆に演じやすいです。でも、心情的には理解できるところはあります。長く演じていると、だんだん自分自身と忍足が重なっていくというか。今の忍足には、どこか僕っぽさの要素も入っているのかもしれませんね。

    ── そんな忍足が、今シリーズでは氷帝学園中等部の仲間である跡部とシングルスで対戦します。

    こういう展開は全く予想していなかったので、原作連載当時は驚きましたが、忍足にもしっかり見せ場をいただけてうれしいなと思ったことを今でも覚えています。でも、忍足自ら跡部と戦う選択をすることについて、意外だとは思いませんでした。跡部と戦えるチャンスだし、跡部にさらに上に上がってもらうためにもここで忍足と当たるべきだし。もちろん忍足自身も、上に行きたいと思っていただろうし。一番いい落としどころだなと。

    ── 氷帝は跡部が圧倒的なカリスマという印象がありますが、木内さんは、忍足は跡部をどのように見ていると思いますか?

    もちろん跡部はテニスの実力はナンバーワンだし、みんなそこに挑みたいという気持ちはあるはず。常に背中を追いかけ、いつか追い抜いてやろうと静かに闘志を燃やしているのが氷帝の強さに繋がっていると思います。しかし、だからといって跡部を崇拝しているわけじゃなく、いい意味で対等に見ている。立海中や比嘉中のように分かりやすく熱くなるのではなく、スッとしていてそれぞれ自立しているけれど、心の中で静かに燃えている。そういうところが、氷帝の魅力なのではないでしょうか。これで跡部だけ年齢が30歳で…とかだったらまた違うかもしれないけれど(笑)、みんな同じ中学生で、普段は同じ授業を受けていて、すぐそこの日常に跡部がいて。氷帝学園の生徒の印象は基本的におぼっちゃん的な優秀な子が多い中、跡部家は圧倒的に裕福ですが、そこを僻んだり妬んだりすることもなさそう。外から見えているよりもフラットな関係性なんじゃないでしょうか?

    ── 木内さんは多数の有名作で声優としてご活躍されています。そんなご自身のキャリアにおいて『テニスの王子様』や忍足はどういう位置付けでしょうか?

    忍足役に決まった当時は、こんなに長く愛されるキャラクターになるとは思っていなかった。僕のことを忍足で知ってくださったという方も結構多くて、とてもありがたく思っています。僕はもともと演劇をやっていたので、当初はとにかく「演じる」ということが楽しかった。忍足は声色や喋り方も、僕の地声とは全然違うので、最初のうちは、素の自分とは全く違う忍足を、どう演じ切るかを考えていました。でも『テニスの王子様』ではキャラソンを歌ったり、イベントに出演したり、演技以外にもいろんなことがあって。アニメには、こんなに広い世界があるのかと学ばせてもらった作品です。

    ── 最後に、これから跡部との試合に挑む忍足に言葉をかけるなら何と伝えますか?

    「精一杯ぶつかってくれ」と言ってあげたいと思います。

    関東大会 跡部vs手塚

    木内さんのFAVORITE EPISODE

    少年漫画ならではの青春の熱さに感動! 初期の一つの山場はやはり両校部長対決

    「関東大会の跡部と手塚の試合は『テニスの王子様』の物語の中でも一つの山場だと思います。青学が都大会で優勝し、関東大会でようやく氷帝とあたる頃は、これぞ少年漫画の青春もの! という感じで、見ていて感動してウルッとくるシーンも多いんです」

    Profile

    木内秀信

    きうち・ひでのぶ 2月5日生まれ、兵庫県出身。劇団員を経て1996年に声優デビュー。主な出演作に『MONSTER』(天馬賢三)、『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』(水木)など。2025年、第19回声優アワードにて助演声優賞を受賞。

    Information

    『新テニスの王子様 U-17 WORLD CUP 決勝メンバー決定戦』

    『新テニスの王子様』最新シリーズ。W杯決勝・対スペイン戦の前日譚。リョーマたち日本代表は、決勝戦に出場するメンバーを決めるトーナメント戦で、それぞれのプライドと情熱をぶつけ合う。テレビ東京(毎週水曜24:00~)ほかにて放送中。

    越前リョーマ役・皆川純子さん&不二周助役・甲斐田ゆきさんのインタビューはこちら

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    取材、文・井上明日香 Ⓒ許斐 剛/集英社・NAS・新テニスの王子様プロジェクト

    anan 2514号(2026年10月7日発売)より
    Check!

    No.2514掲載

    上質なご自愛。

    2026年10月07日発売

    たまには自分をいたわり、ゆったりとした時間を過ごしたいもの。忙しない日常で疲れた心と体をリセットするための、ちょっと上質なご自愛のアイデアを集めました。

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