アラサー女子のゆるふわな日常に、共感必至のショートコミック。
アラサー女子が主人公を務めると、とかくヒリヒリした展開になりやすいのがフィクションの世界。結婚やキャリアなどの悩みが切実すぎる分、やむなしではあるけれど、もっと肩の力を抜いて読めるマンガとかないのかな…と思う女子たちにオススメしたいのが、雁須磨子さんの『かよちゃんの荷物』。完結から6年ぶりに、描き下ろしエピソードを加えて復刻したエバーグリーンな作品だ。
「最初は、かよちゃんたちの10年後を描こうと思っていたんですが、周囲から『40歳になったかよちゃんたちの日常なんてしょっぱいかな』と言われまして(笑)。結局、地続きの作品に。あまり変わっていない彼女たちと会えて楽しかったです」
主人公のかよちゃんは、ぱんぱんに膨らんだバッグを提げて歩く30歳。「転ばぬ先の杖」という名の野心(いつか体調を悪化させた男性に薬などをあげて運命の出会いを釣る)を詰め込んだバッグの中身は、ケータイやお財布、化粧ポーチなどマストアイテムの他、数種類の薬など。さらに、万華鏡やヘアピン1ダースなど「いまそれいる?」的なグッズが入っていて、周囲をのけぞらせる。
「かよちゃんのモデルは特にいないのですが、強いていえば、おっとりしているのにとんでもないポカをやらかすかよちゃんの雰囲気は、長女揃いの私の友人たちに似ていて、次女である私がやりがちなことを、かよちゃんにやってもらっている。合体させて作り上げたキャラですね」
恋人はいないけれど、心を許せる友達はいるし、再就職した雑貨屋の職場環境も楽しい。そんなかよちゃんのマイペースな日々を眺めていると、自然とほんわかした気分に。
かよちゃんの周辺には、イケメン若社長なのに残念な<てるひこ>や、ビジュアル系オタクなのに年下ナイスガイの<アニメ君>などがいて、ときどき恋の予感をのぞかせるが、その先に進まないのも、ある意味、現代のリアルかもしれない。
「連載していた媒体の特性もあって、どの回にもボケやオチを入れるよう意識したショート作品なんです。クリスマス、猫、試着室などをめぐってこんなことを考えちゃうよねという、いわゆる“女の子あるある”を楽しんでもらえたらうれしいです」
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