
目立たずとも、良心に従い誰かを助ける人をとらえた映画を紹介。選者の杉谷伸子さんは、「今年はそうした映画が多いのですが、世の中全体が“普通の人が自分のやるべきことをやる”ことの大切さを感じているからでは」と分析。早速チェック!
見て見ぬふりをするか助けるか。葛藤そのものが良心の証し

『決断するとき』
石炭商のビルは出入り先の修道院で目を背けたくなる現実を目撃、そこに身を置く少女に救出を懇願される。アイルランドに実在した「マグダレン洗濯所」での人権問題が背景に。「ビルは地元の権力者である教会を敵に回し、自分の仕事や家族の将来が失われることを覚悟してまで彼女を助けるべきか、葛藤します。その姿は、良心に従うことさえ難しい現実社会を映し出しつつ、それでも人としてどうあるべきかを見つめさせてくれます」。劇場公開中、DVD発売予定。
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患者と真摯に向き合う献身的な看護師は私たちのヒーロー

『ナースコール』
人不足が常態化した病院で働く看護師のフロリアの身に降りかかる激務とトラブル、重大な試練を通じて、病院の実態をスリリングに描く。「病気の人の心身を支える看護師の方々は、身近な英雄です。激務の中、不安や孤独を抱える患者一人一人に真摯に向き合い続けるフロリアの日常に、看護師がいかに大変な仕事かを痛感。看護師のみならず、すべての医療従事者の方々の献身に感謝せずにいられなくなります」。全国公開中、8月5日にBlu-ray&DVD発売。
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難民や困窮者のために食堂を作るオーナーに学ぶ“連帯”の姿勢

『オールド・オーク』
寂れた炭鉱町に残るパブ『オールド・オーク』は、町が始めたシリア難民の受け入れにより、住民の憩いの場から居場所を争う諍いの場に。オーナーのTJはシリアから来たヤラと友情を育みながら、難民や困難に直面する人々のために食堂を開こうとする。監督は市井の民を見つめてきたケン・ローチ監督。「TJ自身、人生や生活が苦境にある中、連帯が大事だとして店の奥を開放します。“自分にできることをする”ことの大切さが、胸に響きます」。全国公開中。
Ⓒ Sixteen Oak Limited, Why Not Productions, Goodfelas, Les Films du Fleuve, British Broadcasting Corporation, France 2 Cinéma and The British Film Institute 2023
治安の悪い環境下で探究する喜びを教える子どもたちのメンター

『型破りな教室』
麻薬と殺人が常態化したメキシコのマタモロスにある小学校にやって来た、新任教師のフアレス。ユニークで型破りな授業を受けた子どもたちは学ぶ楽しさを知り、国内最底辺だった学力は飛躍的に上昇する。実話を映画化。「子どもに勉強する面白さを教えたり、世界を広げるのは大人の役目。フアレスみたいな先生に出会えたら、人生の可能性も未来への希望も大きくなりますよね」。Blu-ray ¥5,170 発売元:アットエンタテインメント 販売元:TCエンタテインメント
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行動の連鎖こそが巨悪に立ち向かい真実を暴くきっかけに

『SEASAID/シー・セッド その名を暴け』
映画プロデューサーのハーベイ・ワインスタインによる性的暴行を告発した2人の女性記者の実話を映画化。脅される恐怖や業界の隠蔽構造など被害者が罪を告発する難しさが映し出される。「声を上げる人、力を貸す人、報道する人。それぞれの行動が繋がっていくことで事件の全貌が明らかに。人として立ち上がらなければいけない時にちゃんと動くこと、動ける環境を作ることの重要性を感じます」。DVD ¥3,980 発売・販売元:ハピネット・メディアマーケティング
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国や民族の壁を越えて子どもを守ろうとする戦時下の親たち

『キャロル・オブ・ザ・ベル 家族の絆を奏でる詩』
第二次大戦が迫る中、同じ屋根の下で暮らし始めたウクライナ、ポーランド、ユダヤの3家族。戦争に翻弄されながらも、ウクライナ人夫婦は、隣人家族から託された子どもたちを我が子同様に守り抜こうとする。「さらに主人公は、ドイツ人将校の息子まで匿うことに。戦争で時どきの支配国が変わっても貫かれる、人としてのあるべき姿が胸アツ。極限状況の中でも良心に従える強さを尊敬します」。DVD ¥4,180 発売元 :彩プロ 販売元:TCエンタテインメント
Ⓒ MINISTRY OF CULTURE AND INFORMATION POLICY OF UKRAINE, 2020 ‒ STEWOPOL SP.Z.O.O., 2020
お話を伺った方
Profile
杉谷伸子
映画コラムニスト。『anan』や『SCREEN』、Yahoo!ニュースなど、さまざまなメディアで映画レビューやコラム、インタビュー記事を執筆。『anan』の最新エンタメ紹介ページで隔週連載中の「お杉とB子のMOVIETALK」のお杉でもある。好きなアメコミヒーローはアイアンマン。
anan 2503号(2026年7月8日発売)より

































