
約4年ぶりとなる新作アルバム『KIYO-LOGUE』をリリースした、ピアニストの清塚信也さんにインタビュー。清塚さんに、本作、そしてクラシック音楽の楽しみ方について教えてもらった。
どれだけ親しみを持ってもらえるかが、私のこだわりたいところ
ピアニストとしての圧倒的な技巧と、テレビやコンサートで見せる軽妙なトーク。その両輪を自在に操り、既存のクラシック・ピアニストという枠組みを更新し続ける清塚信也さん。新作『KIYO- LOGUE』は彼のトークと演奏が同時に楽しめる画期的な作品になっている。
「クラシック音楽を楽しむもう一つの醍醐味は、人間模様です。彼らの生き様やドラマも演奏と一緒にお届けします。200年以上もこうして音楽とその名前が残っているわけですから、すごい人なんだぞというアピールはもう十分でしょう。あとは人間らしいエピソードでどれだけ親しみを持ってもらえるかが、私のこだわりたいところなんです」
トークでは作曲家たちの裏話や、楽曲解説など、クラシックに馴染みのない人でも親しみやすく楽しめるようなエピソードが満載。清塚さんの語る作曲家たちの姿は人間味に溢れている。例えば「シューマンとブラームス」で語られる恋愛ミステリーは、聞けば考察が止まらなくなるインパクトを残す。更に「荒城の月」で知られる滝廉太郎の遺作「憾(うらみ)」についての解説では、清塚さんの深い洞察が光る。
「この曲は志半ばで倒れた滝廉太郎が23歳で亡くなる直前に作った曲。ヨーロッパの音楽家は死を悟るとショパンなんかも最後は神様に導かれるような安らかさがあるんですが、滝廉太郎は『この恨みはらすぞ』という想いをこの曲に込めて亡くなっていく。非常に日本的でウェットなアプローチじゃないですか。でも彼がいなかったら日本の西洋音楽は遅れていたと思うし、キーマンでもあるんですよ。なので彼の『憾』をちゃんと世の中にお届けしたいなという思いがありました」
他にも「バッハとスカルラッティ」や「ドビュッシーとガーシュウィン」など、史実とユーモアを交えて解説。最後に清塚さんのオリジナル曲「Serendipity」と「人生の光」の2曲を収録し、しっとりと美しい音色で締めくくる。
「クラシックは病気や戦争など、人間のネガティブな側面を支えてきた音楽でもあります。そういう大きなテーマに触れてきたからこそ、今回はオリジナル曲も入れていいかなと思えました。このアルバムを聴いてライトに『クラシック楽しいじゃん』と思ってもらえたり、あるいは不安を抱えている人に寄り添えたりできたら嬉しいですね」
バイタリティ溢れる活動は幅広く、YouTube「きよりんチャンネル」では47都道府県ツアーの模様を公開中。7月12日に集大成となるサントリーホール公演が控えているが、その前日には神戸でSUPER EIGHTのTV番組発「EIGHT-JAM FES」への出演も。
「サントリー公演の前日に野外フェスに出るピアニストってあんまりいないですよね(笑)。でも人生なんてあっという間ですから、今できることをやっておきたいんです。コンサートでは、このアルバム以上にトークで笑いを取りにいきますよ!」
Profile
清塚信也
きよづか・しんや 5歳よりクラシックピアノに触れ、国内外のコンクールで優勝。モスクワ音楽院へ留学。ピアニストの枠を超え多くのTV番組に出演。YouTube「きよりんチャンネル」ではツアー密着動画を公開中。
information

『KIYO-LOGUE』
約4年ぶりの新作アルバム。ピアノとトークの両輪で魅了する4年ぶりの新作。ショパンの「ファウンド・イン・ニューヨーク」など全20トラック。 ¥3,520(ユニバーサル・ミュージック)
anan 2503号(2026年7月8日発売)より

































