1、酸化、糖化、炎症を防ぐ生活習慣。
細胞にダメージを与える、テロメアを狂わせるなど、老化のあらゆる原因に関与する酸化、糖化、炎症。この3つを予防すれば、老化を遅らせることは可能なはず。
「酸化を起こす活性酸素やフリーラジカルは、紫外線、喫煙、ストレスなどで増えます。UVカットや日傘を使う、タバコの量を減らす、ストレス解消法を身につけるなどして対処しましょう。糖化対策は、糖化によって作られる有害物質AGEsを減らすことが第一。血糖値が高いとAGEsができやすくなるので、食事のときはパンやお米などの主食を減らす、野菜、おかず、主食の順に食べるなどして血糖値の急上昇を防ぎましょう。また、トンカツやステーキなど動物性脂肪を揚げたり焼いたりしたものは、AGEsが多いのでほどほどに。さらに、人工甘味料は、自然由来のブドウ糖に比べて約10倍の速さでタンパク質と結びついてAGEsを作ります。摂りすぎには注意してください」
炎症を防ぐには、ウイルスや細菌への感染を防ぐこと。肥満や運動不足、喫煙、歯周病も慢性炎症の原因になるので、思い当たる人は改善を。
「酸化、糖化、炎症それぞれを防ぐサプリメントもたくさん発売されているので、そういったアイテムを活用するのもおすすめです」
酸化対策
飲むアスタキサンチン AX
血中脂質の酸化を抑えるアスタキサンチンを配合。[機能性表示食品]60粒¥5,184(富士フイルム TEL:0120・241・946)
長命草 ドリンク N
抗酸化成分が豊富な与那国島の長命草と、果汁をブレンド。125ml¥220*編集部調べ(資生堂 TEL:0120・81・4710)
糖化対策
B.A リキッド
オリジナル複合成分が、肌の黄ぐすみなどを引き起こす糖化にアプローチ。20ml×12本¥9,504(ポーラ TEL:0120・117111)
エイジリリース
食生活に着目し、南米やインドなど世界各地の7つのハーブをミックス。60粒¥5,346(アムリターラ TEL:0120・980・0962)
炎症対策
リズムビューティー コールドプレスド ブレンドオイル
良質な脂質であるオリーブ油、アマニ油、インカインチオイルの組み合わせ。180粒¥6,264(THREE TEL:0120・898・003)
DHA&EPA+ セサミンEX
必須脂肪酸のDHAとEPA 、稀少な健康成分セサミンを配合。120粒¥5,940(サントリーウエルネス TEL:0120・333・310)
2、7時間睡眠がテロメアを守る。
睡眠不足は、DNAを守るテロメアを短くしてしまう。
「イギリスでの研究によると、睡眠が5時間以下の高齢者は、7時間以上の高齢者に比べてテロメアが短かったそうです。また、毎日7時間以上寝ている高齢者は、中年と同じかそれ以上にテロメアが長いという結果も。おそらく高齢者に限らず、睡眠が7時間を下回るとテロメアが劣化すると考えられます。毎日7時間眠るのが難しい人は、睡眠不足の翌日に30分から1時間早く寝て、3日以内に調整を。多少の睡眠不足なら、昼食後15分間眠る、あるいは目をつぶっているだけでも効果的です。また、寝る1時間前に入浴する、寝る前はスマホを見ないなど睡眠の質を高める努力も忘れずに」
3、ジョグウォークでサーチュイン遺伝子を活性化。
運動で体に適度なストレスを与えると、サーチュイン遺伝子が活性化。血流などがよくなって細胞が長生きするため、結果、テロメアの消費も抑えられる。
「約2400人の双子を調べたイギリスの研究から、運動量の多い人はテロメアが長いことが分かっています。最も運動量が少ない人と最も多い人を比べると、その長さには9年分も差があったそうです。ただ、やたらときつい運動をしても、体に負担がかかって逆に老化が進んでしまいます。そこで根来さんが開発したのが、ジョギングとウォーキングを組み合わせた“ジョグウォーク”。少し息が上がるくらいの速度で1~2分走ったら、10分くらい歩きます。これを、1日3回繰り返すだけでOKです」
4、今話題のNMNでテロメアをキープ。
NMNとは、ニコチンアミドモノクレオチドの略。若返りを叶える画期的成分として、今、世界中で関心を集めている。
「2011年にアメリカのワシントン大学で、今井眞一郎教授らが、マウスにNMNを与えると2型糖尿病の症状が改善することを発見しました。その後、NMNがマウスの骨格筋、肝臓、脂肪への抗老化効果を発揮することも明らかにしています。NMNは、体内でNAD補酵素に変化してサーチュイン遺伝子を活性化すると考えられます。ブドウの皮などに含まれるレスベラトロールという抗酸化物質も類似の効果を期待できますが、NMNもレスベラトロールも十分量を食品から摂るのは困難。サプリメントを利用するとよいでしょう」
Returner NMN15000
純度99.9%、国内製造のNMNを1粒に150mg配合。加齢で減少するNMNを補い、内側からキレイをサポート。100粒¥15,000(ICheck TEL:03・6630・0630)
レスベラトロール プラス
レスベラトロールを1日分に35 mg配合。オリーブ葉エキス、ビタミンEもブレンドすることで、抗酸化効果も。62粒¥3,334(山田養蜂場 TEL:0120・38・38・38)
5、カロリスな食べ方でサーチュイン遺伝子をONに。
サーチュイン遺伝子を活性化するには、摂取カロリーを減らして原始の過酷な環境を再現するのもひとつの手段。
「体に必要な栄養素をバランよく摂りつつ1日の総摂取カロリーを標準の7~8割に減らす“カロリー・リストラクション”略して“カロリス”な食事は、サーチュイン遺伝子を活性化します。腹八分目が苦痛な人は、ひと口につき30回噛みましょう。ハッピーホルモンのセロトニンが出て、ストレスを緩和できます。口に食べ物を運ぶ度に箸を置く、背筋を伸ばす、スマホやテレビはオフにして食事に意識を向けることも、満足感を得るポイントです」
6、マインドフルネスで細胞をストレスからガード。
強いストレスは、細胞にダメージを与える原因に。
「ストレスで交感神経が優位になると、血流が悪化して酸化や炎症が発生。細胞が傷ついて分裂が頻繁になり、テロメアが消費されると考えられます。そこで取り入れたいのが、ストレスへの耐性を高める“マインドフルネス”です」
瞑想が難しい人は、歩き方を工夫するだけでOK。
「まず呼吸を整えて、足裏に意識を集中する。“右足、左足、右足”と心の中でつぶやいて地面の感触を確かめながら足を動かし、雑念が浮かんだら“戻ります”とつぶやいて足裏に意識を戻して。5分実践するだけでも効果的です」
7、4・4・8呼吸法で細胞をパワーアップ。
呼吸を整えれば細胞が元気になり、ひいては健康長寿も叶う、と根来さんは提案する。
「人は肺呼吸で細胞に酸素を送り込み、細胞内のミトコンドリアで細胞のエネルギーとなるATPを作ります。体内で1日に作られるATPの量は、体重と同じくらい。このATPの量が減ったり質が低下したりすること自体が、細胞のダメージになります。よい肺呼吸とは、細胞呼吸の質を高めてくれる、老化防止の基本策なのです」
そこで根来さんが開発したのが、“4・4・8呼吸法”。
「“4・4・8呼吸法”は、腹式呼吸で行います。腹式呼吸初心者の人は、まず正しい舌の位置や横隔膜を動かす方法をマスターしてからトライしましょう。腹式呼吸で横隔膜をゆったり動かすと副交感神経が優位になって血流がよくなり、栄養や酸素の巡りがアップ。細胞が元気になって、テロメア浪費を防ぐことにもつながります」
1、舌の位置を知る。
上の前歯の中央、2本の歯の裏側に舌を当てる。そこから舌先を上にすべらせると、口内の天井にふくらみがあるはず。そこに舌先を当て、舌全体を天井に密着させるのが正しいポジション。舌の位置が間違っていると口呼吸になりがちになって、呼吸の効率が落ちる。
2、横隔膜を動かす。
バスタオルを折りたたみ、5~10cmの厚さにして床に敷く。椅子に足を置いてひざを90度曲げ、バスタオルをお尻の下に敷く。両手をお腹に置き、鼻からゆっくり呼吸する。こうすると、立っているときよりお腹がリラックスして、横隔膜を動かしやすくなる。
3、4・4・8のリズムで呼吸。
椅子に座って背筋を伸ばし、手はおへそに。鼻から軽く息を吐いたら、お腹を膨らませつつ4秒かけて鼻から息を吸う。背中側にも空気が入るのを意識して。次に4秒息を止め、お腹をゆっくり凹ませながら、鼻から8秒かけて息を吐く。この呼吸法を、数分間行う。
根来秀行さん 医師、医学博士。ハーバード大学医学部客員教授、ソルボンヌ大学医学部客員教授。新型コロナ感染症の新しい治療の仕組みを解明するなど、研究が注目を浴びる。近著『老化は予防できる、治療できる』(ワニ・プラス)も話題に。
※『anan』2022年11月23日号より。イラスト・伊藤ハムスター 取材、文・風間裕美子
(by anan編集部)