10分に1回の絡みも…新旧の日活ロマンポルノが熱い!

2016.8.18
昭和時代に人気だった、セックスを描いた映画の数々。その筆頭が、日活ロマンポルノと呼ばれるレーベル。
『風に濡れた女』塩田明彦監督作品。高介(永岡佑)の前に奔放な女・汐里(間宮夕貴)が現れ、濡れた肢体で一晩泊めてくれと言い…。今年のロカルノ映画祭のコンペティション部門へ正式招待された話題作。(C)2016日活
『風に濡れた女』塩田明彦監督作品。高介(永岡佑)の前に奔放な女・汐里(間宮夕貴)が現れ、濡れた肢体で一晩泊めてくれと言い…。今年のロカルノ映画祭のコンペティション部門へ正式招待された話題作。(C)2016日活

いま映画界で活躍している名監督たちが、新作のロマンポルノの制作に挑戦し、今冬から新宿武蔵野館ほか劇場で公開する「日活ロマンポルノ リブートプロジェクト」が始動。その中の一作を撮り下ろしたのが塩田明彦監督。

「初めて日活ロマンポルノを観たのは大学を入学して間もない頃。煙草を吹かす観客がいるシュールな劇場で、紫の煙の向こうに女性たちの肌色が躍るという、素敵な体験をしました。ロマンポルノの魅力は、俳優たちの肉体と存在感だけを武器に、人生の全てをいかに描き出すか、その一点にあります。

『恋人たちは濡れた』浮遊感、倦怠感を切り取った神代初期ロマンポルノの傑作。主演・中川梨絵のファッションも見どころ。海辺の寂れた町の、3人の男女の青春物語。(C)日活
『恋人たちは濡れた』浮遊感、倦怠感を切り取った神代初期ロマンポルノの傑作。主演・中川梨絵のファッションも見どころ。海辺の寂れた町の、3人の男女の青春物語。(C)日活

特に、今回リブートにあたり僕がオマー『恋人たちは濡れた』は、俳優たちの肉体とその動きが映画に奇跡の一瞬をもたらすことを、僕に教えてくれた名作。

今回の企画は、世の中にこれほど名誉あるオファーはあるだろうかというのが、偽らざる気持ちでした。僕が手にした2人の役者が肉体をぶつけ、絡ませた結果、リアルでありながらどこかおとぎ話のような映画が完成しました。現代の女性たちにもこの映画を通じて“生きる歓び”を感じてもらえると思います」

他にも、『日本で一番悪い奴ら』の白石和彌監督、『ヒミズ』の園子温監督、『リング』の中田秀夫監督、『ピンクとグレー』の行定勲監督らがメガホンを握る。詳細は公式サイトで。www.nikkatsu-romanporno.com

『白い指の戯れ』普通の女の子がスリの仲間に。'70 年代当時の渋谷、新宿の風景も魅力。1972 年公開作品。『あぶない刑事』などで知られる村川透のデビュー作。(C)日活
『白い指の戯れ』普通の女の子がスリの仲間に。’70 年代当時の渋谷、新宿の風景も魅力。1972 年公開作品。『あぶない刑事』などで知られる村川透のデビュー作。(C)日活

≪そもそもロマンポルノって?≫

’60年代後半から、日本ではセックス描写が中心の“ピンク映画”が人気に。その中で’71年に日活が、「日活ロマンポルノ」をスタート。低予算の成人映画である一方、“絡みを10分に1回入れること”“上映時間は70分程度に収める”など、一定のルールさえ守れば比較的自由に制作できる側面があり、その自由さに惹かれた新進気鋭の監督がこぞって参加した。

映像、内容ともに斬新な作品が多く、当時の若者の知的好奇心を刺激し、一大ムーブメントに。後の日本アカデミー賞受賞監督も輩出した。女優たちのコケティッシュな色気と自由な空気感は、いま観ても新鮮。映画の本編はオールカラー。

『白い指の戯れ』普通の女の子がスリの仲間に。'70 年代当時の渋谷、新宿の風景も魅力。1972 年公開作品。『あぶない刑事』などで知られる村川透のデビュー作。(C)日活
『白い指の戯れ』普通の女の子がスリの仲間に。’70 年代当時の渋谷、新宿の風景も魅力。1972 年公開作品。『あぶない刑事』などで知られる村川透のデビュー作。(C)日活
しおた・あきひこ 映画監督。宮﨑あおい主演作『害虫』で、ナント三大陸映画祭審査員特別賞・主演女優賞を獲得。近作に錦戸亮と北川景子出演作『抱きしめたい』など。

『風に濡れた女』塩田明彦監督作品。高介(永岡佑)の前に奔放な女・汐里(間宮夕貴)が現れ、濡れた肢体で一晩泊めてくれと言い…。今年のロカルノ映画祭のコンペティション部門へ正式招待された話題作。(C)2016日活

『恋人たちは濡れた』浮遊感、倦怠感を切り取った神代初期ロマンポルノの傑作。主演・中川梨絵のファッションも見どころ。海辺の寂れた町の、3人の男女の青春物語。(C)日活

『白い指の戯れ』普通の女の子がスリの仲間に。’70 年代当時の渋谷、新宿の風景も魅力。1972 年公開作品。『あぶない刑事』などで知られる村川透のデビュー作。(C)日活

『秘色情めす市場』大阪の西成を舞台にした、売春婦の母と娘の物語。シリーズを代表する女優・芹明香と宮下順子の演技が光る名作。1974年公開作品。(C)日活

リバイバル上映は常に大人気! ’12 年には、日活の創立100年を記念し、特集上映(写真)が行われ、大盛況。今も世界各国で回顧上映が行われるなど、根強い人気がある。

※『anan』2016年8月17・24日号より。

(by anan編集部)