伊達朱里紗「麻雀は人の輪廻転生を象徴するゲーム」 高宮まりと語る“麻雀”の魅力
Mリーグで、同じKONAMI麻雀格闘倶楽部(ファイトクラブ)のメンバーとして活躍する伊達朱里紗さんと高宮まりさん。対局(試合)中は常にポーカーフェイスの二人だけれど、心中ではさまざまな思いが渦巻いているのだとか。心理戦としての麻雀の奥深さを語ってもらいました。
写真左・高宮まりさん、右・伊達朱里紗さん
――まずはお二人が麻雀プロを目指そうと思ったきっかけから教えてください。
伊達:私の場合は『咲‐Saki‐』という、女子高生が主役の麻雀アニメ。ルールは分からなかったけれど面白くて、夢中になりました。その後、声優になってからも声優仲間と麻雀スキルを磨き合い、気付けばここに。
高宮:私は、ファンだった女性漫画家さんの作品に麻雀がよく登場したことから興味を持ちました。サブカル的な憧れもあったし、もっと勉強したいと思って麻雀店で働き始めて、そこからプロの道へ。
――若い女性たちの間でも最近、サブカルとしての麻雀人気が高まっているようです。
高宮:そうだとしたら嬉しいですね。麻雀は、13枚の牌をパズルのように入れ替えて「役」を作りながら、14枚目であがるゲーム。ただし、自分が捨てた牌が他の人の待ち牌(完成牌)になっていると、その人に点数を払わなければならないので、それを回避しながら自分の牌をうまくまとめていくのがコツです。複雑だけれど面白い、そういうところに純粋にハマる人が増えているのかな。
伊達:各自が捨てた牌が分かるので、そこから人の手の内を推測できるのも麻雀の特徴ですね。反対に、自分はなるべく気取られないように…。
高宮:基本、他の人を上手に出し抜ける人が強い(笑)。
――まわりも視野に入れての駆け引きが大事なんですね。
高宮:ただ、周囲に合わせる対応型の戦い方だけが勝ち続けられるわけでもなくて。
伊達:自己中心的な要素も必要で、そのさじ加減が大事ですよね。私はこれまで主に対応型だったんですけど、他のMリーガーが自分の手の内に集中して勝っているのを見てそれも格好いいな、と。目下“自分勝手”を練習中です。
高宮:私はどちらかというと自分のことに邁進するタイプ。でもここ2年くらいはまわりを見る戦い方にシフトしてきています。
伊達:一筋縄ではいかないけれど、だからこそ、すべてがぴたりとはまってあがれた時の爽快感は格別ですよね。
―― 一方で、勝負事なので大きく負けてしまうこともあると思うのですが…。
伊達:もちろん、たくさんありますよ。特に麻雀って「これが正解だ」と自信を持って打って(戦って)いるのに負け続ける、という悪い展開になることが時々あるんです。
高宮:ありますね。噛み合わせがうまくはまらない。
伊達:そうなると私の場合、頭がカッカしちゃって。ツモ(自分が引いた牌)が思い通りじゃなかったりするとさらに頭にきて、ますます負のスパイラルにはまっちゃう。
――プロでもそんなことが。どう脱出するのでしょう。
伊達:いったん引いて自分を眺め、反省するようにしています。麻雀は人の輪廻転生を象徴するゲーム。人間ごときが麻雀牌に怒ったり逆らったりしてはいけない! って。
――すごい達観力!(笑)
伊達:そうすると冷静になれて調子が戻るんです(笑)。
高宮:伊達ちゃんは、逆境でナチュラルに打てるのが強み。私はあがくかな。たとえこれが運命だったとしても変えたい! というタイプなので。
伊達:まりさんの麻雀はすごいんです。意外な牌を鳴いて(他の人が捨てた牌をもらうこと。点数は下がるがあがりやすくなる)、起死回生のあがりに結びつける。クールに見えるのに、アツいんです。
高宮:「絶対死なないぞ」っていつも思ってます(笑)。
――今季も間もなくMリーグが始まりますが、Mリーガーの心理に注目しながら見るのも楽しそうですね。
高宮:表情に出る人もそうでない人もいて、そこがまた面白い。推し選手やチームを見つけるとよいかも。毎回必ずドラマが起きるのですが、そういう時も推しと一体となって盛り上がれます。
伊達:実況も個性的で面白いので、ラジオ代わりに聴くのもおすすめ。そしてぜひ、KONAMI麻雀格闘倶楽部も応援してくださいね。
だて・ありさ 1991年生まれ。日本プロ麻雀連盟所属、声優。2021年にKONAMI麻雀格闘倶楽部に参入、当時のMリーグ史上最高得点を叩き出す。著書に『書いて覚えて強くなる! 麻雀点数計算魔法のドリル』(永岡書店)。
たかみや・まり 1988年生まれ。日本プロ麻雀連盟所属、2018年Mリーグ発足時よりKONAMI麻雀格闘倶楽部に所属。着実な麻雀で昨シーズンのセミファイナル進出をアシスト。天然キャラの持ち主としても知られる。
華やかな牌のデザインも魅力。そもそも麻雀ってどんなもの?
34種136枚の「牌(パイ)」を使って4人で行う中国発祥の卓上ゲーム。配られた13枚の牌を1つずつ入れ替えながら「役」と呼ばれる特定の組み合わせや状態を作り、14枚目を得てのあがり(完成)を目指す。最初にあがった人が、勝者として役の難易度に応じた点数を他のプレーヤーから受け取る。日本ではあがりまであと1牌であることを宣言する「リーチ」役のある、「リーチ麻雀」が主流。
「見る雀」ブームの火付け役、Mリーグにも注目!
2018年に発足、新しい未来のテレビ「ABEMA」で配信が始まった麻雀のプロリーグ。9チーム各4名ずつ集められた、36名の選り抜きのプロ(Mリーガー)が数か月にわたり、ポイント制でチーム戦を行う。個性的なMリーガー同士の手に汗握る頭脳戦の様子が、見ているだけで楽しめるとして未経験者にも人気に。「見る雀」ブームの牽引役となった。Mリーグ24‐25シーズンは9月16日に開幕。
※『anan』2024年9月11日号より。写真・内田紘倫(The VOICE) ヘア&メイク・潮 良子(The VOICE) 取材、文・新田草子
(by anan編集部)