『頭のいい人が話す前に考えていること』から学ぶ、“相手に伝わる話し方”7つの黄金法則

2024.3.3
数あるコミュニケーション本の中でも、いま大注目の『頭のいい人が話す前に考えていること』。この本のメソッドから相手に“伝わる”話し方を養えば、仕事はもちろん、プライベートの人間関係も円滑になること間違いなし!

書籍『頭のいい人が話す前に考えていること』とは?

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“思考の質”に焦点を当てたコミュニケーション本。
この本の特徴は、話し方のスキル的なことではなく、話す前に考えるべきこと、つまり“何を話すか”の本質について掘り下げているところ。話す内容を精査するには“思考の質”を高めることが大切だとして、本書では様々な角度から思考の質の高め方を伝授。コミュニケーション法を根本から見直せる一冊として多くの支持を集め、発売から約10か月で48万部超えのヒット!

この本で学べるのは?

思考の質を高めることで、相手に“伝わる”話し方が養える。
著者の安達裕哉さん曰く、人間には頭のいい人の話を聞こうとする傾向があるという。本書が指す“頭のいい人”とは学力の高さではなく、相手の聞きたい話ができる“社会的知性”を持つ人のこと。思考の質を高めれば、誰もが頭のいい人と周囲から認識されるようになり、結果、自分の話が相手に伝わりやすくなって、コミュニケーションが円滑に。

人間関係が円滑な“頭のいい人”とは? まずは心得ておきたい7つの黄金法則

人との会話でピリッとしたり、話を聞き入れてもらえなかったり…。アン子の日常を例に、仕事やプライベートで起こりがちなコミュニケーションの不具合をチェック。そして、その解決に繋がる「7つの黄金法則」とは? “頭のいい人”の特徴から導き出した法則で、自分の意図したことが伝わりやすい関係性を目指そう!

CASE 1

会社にて。アン子は上司にプレゼン用の資料作りを頼まれ、言われた通り作っているのに、思いつきのように作り直しを命じられ…。

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【法則1】とにかく反応するな

理不尽な状況だったとしても、その場で感情的にならないこと。
アン子はたまりかねて上司に怒りをぶつけてしまったけれど、感情的になるのはNG。「人は怒りなど強い感情の渦中にいると、正しい判断ができづらくなってしまうんです。もちろん頭のいい人も感情的になることはありますが、いったん冷静になったあとで導き出した答えのほうが有益だと知っているため、その場で反応することはありません。キレないための心がけは、イラッとした時はすぐに口を開かないこと。その間にどう反応したらいいかいくつか案を考え、冷静さを取り戻しましょう」

CASE 2

ある日の企画会議。メンバーそれぞれが自分のやりたい企画を提案する中、アン子も自分の企画をプレゼン。力が入りすぎてしまい…。

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【法則2】頭のよさは、他人が決める
【法則3】人はちゃんと考えてくれてる人を信頼する

社会的知性を意識して、相手との信頼関係を築き上げよう。
このケースを解消するには、2つの法則を意識すべき。「一つは『頭のよさは、他人が決める』ということ。人間は、頭のいい人の話を聞こうとすると前述しましたが、頭がいいと判断するのは自分ではなく他人です。社会的には、他者の思考を読み、信頼を得て、他者を動かす能力を持っている人が、頭がいいと認識されます。そのうえで有効なのが『人はちゃんと考えてくれてる人を信頼する』という法則。頭のいい人と思われる要因の一つに、他者からの信頼がありますが、人は自分のことを真剣に考え、言葉にしてくれる相手を信頼します。例えばアン子さんのケースでいうと、他のメンバーのことを考えた企画のほうが、受け入れられる可能性が上がるのです」

CASE 3

引き続き企画会議。アン子の提案に待ったをかけたのは、同僚のB氏。冷笑系の彼に痛いところを突かれ、ライバル心がメラメラ…。

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【法則4】人と闘うな、課題と闘え

相手に勝つことを考えるのではなく、問題の本質に目を向けよう。
B氏が指摘しているのは、アン子の企画の懸念点。「ただ、このケースのように議論が白熱してくると、『相手に負けたくない』とライバル心に火がつき、本来争点であるべき課題ではなく、人と闘ってしまうことがあるのです。近年、相手を論破することが流行しましたが、実際のビジネスにおいては賢い態度とはいえません。本当に頭のいい人は、議論の勝ち負けにこだわらず、その奥にある課題を見極め、解決しようとします。相手の言いたいことに思いを巡らせ、話すことができるのです」

CASE 4

ある週末。マッチングアプリで知り合った人と、初めて会うことになったアン子。タイプだったため、印象よく振る舞おうとするが…。

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【法則5】伝わらないのは、話し方ではなく考えが足りないせい

うまく話そうとしなくていい。大切なのは相手目線で話すこと。
アン子の渾身のアピールが相手に響かなかったのは、テクニック調の会話に原因があるよう。「自分ではよかれと思っていたとしても、相手の話に対して、その都度、型にはまった返事をするのは逆効果。マニュアル的な印象を与え、むしろ『適当に聞いている』と疑われかねないのです。淀みなく話せる人が、コミュニケーション強者と思っている人もいるかもしれませんが、そうとは限りません。たとえたどたどしくても、相手のことを真剣に考え、発した言葉であれば、相手の心に届くのです」

CASE 5

友人C子とお茶をしている時。C子がハマっているアイドルの話をし始めたものだから、アン子も自分の推しの魅力を語りたくなり…。

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【法則6】知識は誰かのために使って初めて知性となる

自分が言いたいだけの知識は相手にとって無意味である。
これは“知識の披露”に関わること。「アン子さんが話しているのは自分の推しの魅力、つまり自分の知識を披露しているだけ。これが友だちの好きなアイドルについての知識なら、相手にとって役立つ可能性があり、相手のために知識を使ったことになります。人は、自分にとって有益な情報を与えてくれる相手に、知性を感じるのです。それを踏まえて、話す前に心がけたいのは『これは相手のためになるのか』と考えること。そう立ち止まることで、“言いたいだけ”の自分に気づけます」

CASE 6

再びC子の推しの話。激戦のチケットが取れて嬉しそう。なんだか羨ましくなったアン子は、自分も自慢できそうな話をひねり出し…。

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【法則7】承認欲求を満たす側に回れ

相手に称賛を与える側が実はウワテという真実。
アン子のこの言動は、いわば承認欲求を満たされたい気持ちの表れ。「承認欲求は、多かれ少なかれ、誰しもあるのではないでしょうか。そう考えると、自分の承認欲求は抑え、相手の承認欲求を満たすことができれば、コミュニケーション強者になれるということ。それでは自分が舐められてしまうと思うかもしれませんが、そんなことはありません。人は自分の承認欲求を満たしてくれる相手を、大事にしたくなるものなのです。相手の承認欲求を満たす側に回って、上手に信頼を得ましょう」

お話を伺った方 著者・安達裕哉さん マーケティング会社「ティネクト」代表。22年のコンサルタント歴で培ったコミュニケーションの奥義を綴った著書『頭のいい人が話す前に考えていること』(ダイヤモンド社)が大きな話題に。

※『anan』2024年3月6日号より。写真・中島慶子 イラスト・サヲリブラウン 取材、文・保手濱奈美

(by anan編集部)