卵子の残りの数を調べる検査も。後悔しないために知っておきたい“プレコンセプションケア”

2023.7.7
ananフェムケア連載「Femcare File」。今回のテーマは、いつかのためのプレコンセプションケア。妊娠前の健康管理を意味する“プレコンセプションケア”。すぐに子供を望んでいなくても、後悔しないために知っておきたいことを伺いました。

いつかのためのプレコンセプションケア。

プレコンセプションケアとは、将来の妊娠・出産に備え体と向き合うことを指す言葉。予防医療の専門家で、女性の健康に関する研究も行う細川モモさんに“いつか”に向け、できることを伺った。

「排卵は女性ホルモンの影響を受け、女性ホルモンの分泌は体重や体脂肪率に左右されます。ですから、適正な体重や体脂肪率をキープすることが大事。またビタミンDも生殖に影響を与えます。ビタミンDは太陽光線を浴びることで生成されるので、適度な日光浴も必要。ダイエットや美白などの、美容と引き換えに失うものがあることも忘れないでほしいです」

さらに、プレコンセプションケアの一つとして覚えておきたいのがAMH(アンチミューラリアンホルモン)検査。これは、発育過程にある卵胞から分泌されるホルモンの数値を測り、残りの卵子の数を把握するための検査。’12年、細川さんは「卵巣年齢共同研究プロジェクト」を立ち上げ、多くの女性のAMH検査を行ってきた。

「AMH検査とは、卵子の“残りの数”を調べる検査。若い=数が多いとは限りません。20代の頃アメリカに滞在していたのですが、アメリカでは学生のうちにAMH検査を受け、その結果次第で、妊娠・出産を優先してから社会に出る人も。AMHの数値が低くても妊娠できる可能性はありますが、現時点での自分の生殖能力を把握し、ライフプランを立てる若い女性がたくさんいたことに衝撃を受けました。実際、卵巣年齢共同研究プロジェクトの被験者の中にも、数値が低いと知り、すぐに婚活・妊活を始めた人もいました」

“産むこと”がすべてではなく、多様な価値観を尊重するのは大前提とした上で細川さんは続ける。

「『子供は持たない』と今は思っていても、年を経て気が変わるかもしれないし、パートナーが子供を望む可能性も。だから、20代のうちにAMHの量を知っておいて損はないはず。プレコンセプションケアは体を管理し、健康な生活習慣を身につけるという点で大切なことでもあると考えています」

また、日本人はアジアの中でヘルスリテラシーが最低ランクとも。

「自分の体を守れるのは自分だけ。体の状態に関心を持ち、10年後の自分から『あの時、体を気遣ってくれてありがとう』と感謝される生き方をしてほしいですね」

今から体のためにできる4つのこと。

1、バランスのとれた食事
2、適正体重のキープ
3、適度な日光浴
4、禁煙

バランスのよい食事を摂り、絶食など過酷なダイエットは避けるのが基本。「BMIは19~23を、体脂肪率は20%台をキープしましょう。体脂肪率が15%を下回ると約半数が月経異常になり、BMI24以上で排卵障害が出てくるといわれています。また、生殖機能に重要な役割を果たしているビタミンDは、太陽光線を浴びることで皮膚で作られるので、適度な日光浴をお勧めします」(細川さん)。喫煙も卵子の質を低下させるので、注意する必要があります。

自分の卵子の“残りの数”がわかるAMH検査って何?

検査で何がわかるの? 費用は高いの? など、AMH検査とは具体的にどんなことをするのか…気になる内容をマンガでわかりやすく説明します。

femcare

Q. AMH検査で何がわかるの?
自分の卵子の“残りの数”がわかります!
27歳、30歳、32歳、35歳…“タイムリミット”の目安を把握できます。
※妊娠の可能性を把握できるものではありません。

Q. どんな検査をするの?
問診後、5ccほど採血をするだけ! 1時間ほどで結果がわかるところも。

Q. いくらくらいかかるの?
施設によって異なりますが5000~7000円程度。最近は郵送でも調べられるんです!

Q. いくつまでに受けたらいい?
20歳を過ぎたら受けるのが理想。ぜひ30歳前後までを目安に一度検査を!

→いつかのために知っておくと人生プランが明確になる検査です。

ほそかわ・もも 予防医療コンサルタント。1982年生まれ、東京都出身。アメリカで栄養学を学ぶ。「卵巣年齢共同研究プロジェクト」をはじめ、女性の健康に関する研究を行っている。

※『anan』2023年7月12日号より。イラスト・二階堂ちはる 取材、文・音部美穂

(by anan編集部)